その優しい星で… Navi:25 後編
「こんばんわ!」
「どうも、本日はお世話になります」
「どうぞどうぞ」
初めに着いたのはキサラギ母子だった。背伸びをした感じのおしゃれをしているアミが実に可愛らしい。
母親の方は、別段何を着飾ったわけではなく、いつも通りの服装だった。きっと「普通でいいのよ?」「やだ!」というやり取りがあったに違いない。
「席はご自由にどうぞ。時間になりましたら出発します」
「はーい!」
アミと母親の手を取り、船内へ導く。
そういえば、母親の名前を聞いていなかったか。いつまでもアミの母親、なんていうのも失礼だし、だからといって「お母さん」などと呼ぶわけにもいくまい。変な誤解をされるのも勘弁してもらいたいからな。
「失礼。まだお名前をお聞きしていなかったと思いまして」
「あら、そうだったかしら。アミの母親の、アキナです。よろしくお願いします」
深々と頭を下げての挨拶。いやに丁寧で、こちらが委縮してしまうほどだった。
人の上に立つような仕事をしているのかもしれない。そこまで聞こうとは思わないが。
「キサラギ・アキナさん、ですね。こちらこそよろしくお願いします」
一通りの挨拶を終えて、俺は船の外へ戻る。
数分程待っただろうか、キョロキョロと挙動不審なスーツで全身を固めた、いかにも場違いな奴が来た。
言うまでもない。アントニオだ。
「っす」
「なんだ、その格好」
「スーツっす」
「何を着ているかを訊いてるんじゃない。なんでスーツなのかを訊いてるんだ」
「やっぱ……勝負服っすね」
「……燕尾服でも着て出直して来い」
全力で皮肉ってやった。アイナだったらお固いスーツより、イジリがいのある燕尾服の方がウケるだろうと思っての発言だったのだが、どうやらアントニオは本気にしてしまったらしい。オドオドとさらに挙動不審になって、どうしましょう、とすがってきた。
「どうしましょうってな、真に受けるな。冗談だ。ただスーツは着替えて来い。さすがに固いぞ、いつも通りでいい」
「そうっすかねー?」
「うんうん、スーツは固いね君。エミヤンの屋台船だし、ちっちゃい子もいるみたいだし、ね」
「ほああああ!?」
アントニオは驚きの余り飛び上った。比喩ではなく、本当に。
その拍子に、アントニオが陸と船とを繋ぐ連絡通路から足を踏み外し、
「あ」
どぼん!
そのまま海に落下。急いで引き上げるも、当然スーツはびしょ濡れ。必然的に着替えは必要になる。
なんてベタな奴。しかも今にも泣いてしまいそうだ。そりゃ、このアイナのどこを見たのか“天使”“女神”と称する彼女の前でこんな無様を見せてしまえばしょうがない気がしないでもないが、当のアイナはケラケラ笑ってるぞ、気がつけアントニオ。
彼はそのまま走り去ってしまった。帰ってくるだろうか……。
「ねね、あの愉快な彼は一体どこのどなた様?」
「花屋の倅のアントニオって奴だよ。仲良くしてやってくれ」
「エミヤンの頼みなら断れないなぁ。しょーがない、面倒みてやるぜ!」
「…………今日は妙にテンションが高いな」
「そうかな? 気のせい気のせい、気にしたら負けだよん」
「気にしたらって、やっぱり何かあるんじゃないか」
なんでもなーいなんでもなーい、と歌いながら、勝手に船に乗り込んでいく。
アミもいるし、変なことはしないだろう。きっと。幸先が不安になってきた。こんな状態で成功するのか、俺のレデントーレは。
これ以上何も無いことを祈りたい。
次に来るとしたら、誰だろうか。
いや、待て。その前に誰かを忘れている気がする。
「…………アイナ。お前、女将さんはどうしたんだ?」
「ぎっくり腰」
返ってきた答えはこれ以上ないほど簡潔なものだった。
荷物運びで無茶でもしたんだろうか……。どうか養生してほしい。
しばらくすると、船の中からは談笑が聞こえ始めた。
やはりアイナがいるといないのとでは場の雰囲気が違うらしい。こういう点では呼んで正解だったかな。
俺だけだとどうにもここまで盛り上げる自信がない。
「エミヤン、エミヤン! ねぇねぇ、このお酒あけてもいいの〜? 食前酒〜」
「おい、何勝手に物色してるんだお前は! 我慢しろ、我慢! アミだって待ってるのに大人のお前が堪えなくてどうする?」
「ちぇー。なんだー。けちー、けちー、どけちー」
「ケチじゃない、我慢しろって言ってるんだ」
「お金じゃない、時間の事を言ってるのよ」
「屁理屈言うな、いい加減にしろ」
「ありがとうございましたー」
あははは、うふふふ。
アミとアキナさんが笑う。アイナはふんぞり返ってどんなもんだい、とえばっている。
なんでいつの間にアイナと漫才してる事になってるんだ。
こいつ、実はもう出来上がってるんじゃないだろうな……。心なしか顔が赤い気がする。
誰か、女将さんの代わりになるストッパーが必要だ……。こいつは止めないと加速し続けるに違いない。
「……すみません」
「あ、はい」
声をかけられ、振り返ると見知らぬ女性が立っていた。
深い藍色の膝まで伸ばした長髪に、グラデーションのかかった薄赤い瞳。どちらかというと、落ち着いた感じの女性である。そんな彼女の服装は、なんとシスター服であった。
はて……?
「衛宮士郎さまの屋台船はここで?」
「はい。ところで……?」
「あ、申し遅れましたね。アイラ・フェンデ・バラライカと申します。以後お見知り置きを」
どうもご丁寧に、とこちらも頭を下げながらの挨拶。
「……と、挨拶はこのあたりで。アイナから聞いてはいませんか?」
「アイナですか……?」
「彼女は学友です。今回のレデントーレは教会側でも出していて、私もそちらへ顔を出す予定だったのですが……。親友の頼みとあっては無下には出来ません。そうでしょう?」
頷いて返しておく。
なんとまぁ、アイナの友達だったのか。それにしちゃえらく落ち着いた女性だ。そう言ったらアイナに失礼ではあるが、まぁ構わんだろう。
「アイラ! 久しぶりっ、元気してたー?」
「アイナ……! えぇ、そちらもお変わりなく」
屋台船からアイナがひょっこり顔を出してきた。どうやら声を聞きつけてきたらしい。
「衛宮士郎さま、今日は楽しませてもらいますね」
先程までの感覚はふっと消え、打って変って、歳不相応の少女のような笑顔で言う。
いきなりだったのと、その笑顔の可憐さとで、少しドギマギする。
上手く返事を返せたは分からないが、アイナとアイラは姦しく船内へ入って行った。
そういえば、女将さんが行けなかったら友達を呼ぶ、なんて言ってたなぁ。
「ただいま戻りましたー」
「あぁ、おかえりアントニオ。そろそろ船を出すから、中で待っていてくれ」
アントニオが戻ってきた。
というかよく戻ってこれたな。それほど諦めらめられない、ということなのだろうか。
衣服も普段のカジュアルな格好に戻っており、薔薇の花束がその手に握られていた。
「? 花なら買っただろう。今さら何に使うんだ?」
「告白っす、告白。もう、失うものは何も無いんすよ……あと捨てるものがあるならば、それは彼女への愛。しかし! この愛だけは決して捨てること敵わない……なぜなら! その愛は、オレの魂に根深く住み着いてしまったのだから……!!」
ばさばさっ。
手振り身振りでその愛の大きさを伝えてくる。手に持たれた薔薇の花束が右に左に上に下と飛び回る。
おかげで花弁が散り、彼の周りにだけ花吹雪が吹雪いていた。
「役者にでもなったらどうだ」
精一杯の皮肉のつもりだった。
しかし、その言葉になぜだかアントニオは感激したらしい。俺の手を持ってぶんぶん振ってくる。
「旦那ぁ、あんたは本当に出来た人だぁ……! 親に話しても『そんな夢語ってる暇があったら花の一本でも手入れしてろ!!』っていうんですよー!!」
「役者になりたいのか……」
意外なところで皮肉が裏目に出たようだ。
アントニオのこの大仰な身振り手振り、感受性があれば決して敵わない夢だとは思わないのだが……それでも親は親として心配しているのだろう。もしくは、アントニオの父親は、彼が自らの言葉に逆らうことを待っているのかもしれない。そうしてまで説得しようという気がないのなら、はじめからそんな夢はどぶに捨ててしまえ、と伝えたいのかもしれない。
なんだかんだで親はやはり、子思いなのだ。
しかし、『親の心子知らず』という言葉もあるわけで……。
「どうやったら、親父は許してくれるんすかねぇ」
見知らぬアントニオの父親さん。貴方の息子は、まだもう少し時間が必要なようですよ。
口には出さず、空を見上げて心の中で言う。
「まぁ、とにかく頑張れ。応援してやろう」
アイナには悪いが、勝手に応援させてもらおう。
それから、出発時間ぎりぎりに、いつものスーツ姿でアレサ女史がやって来た。
仕事上がりだろうか、少し疲れて見える。
「こんばんは、衛宮さん。今回はお招きありがとうございます」
「いえ。以前からお誘いは受けていたので、いい機会かな、とも思っていましたし」
「む。私を誘ったのは、そういう……その、事務的な理由だけなんですか?」
「? いえ。私は元々知り合いと言うか……誘えるだけ親しい人物もそうそういないので、貴女にもと思っていたのですが」
「そ、そうですか……! し……親しい、ね」
どことなく、嬉しさ半分、悔しさ半分のように見える。
なにか拙かったのだろうか……。
「とにかく、どうぞ。もうすぐ出発します」
「はい」
さて、あとはアテナだが……まさか迷ってなんかいないよな……?
さすがに同じ場所だと間違える人もいるだろうから、ARIAカンパニーの近くの船着場を使ってるし、迷うことはないと思いたいがな……。
「こんばんは、士郎さん」
突然、隣から声をかけられた。
その声は、つい最近聞いたばかりの優しくて包み込むような――――
「グランマ……」
「貴方の船も出てるってアリシアから聞いてね。なかなか楽しそうなレデントーレになりそうでよかったわ」
船の中ではついに我慢しきれなくなったのか、アイナが食前酒をみんなに振るまい始めている。
止めようかとも思ったが、止めておいた。せっかくの空気を壊すのも悪い。
というか、グランマはわざわざ俺のところまで様子を見に来てくれたのか……。
「すいません」
「あらあらあら。どうして謝るの? 私は私で好きなようにしたのよ」
「それでも、すいません」
「ほっほっほっ、しょうがない子ねぇ」
それから2分程の世間話をし、グランマはそろそろ時間だから、と灯里達の屋台船の方へ向かった。
その背中を見送りながら、こちらもそろそろか、と考える。そう考えだすと、アテナのことが余計に心配になってくる。
本当に迷ってないだろうな……。
「ふむ……よければ一曲謡ってもらおうかとも思っていたんだがな」
残念だけど、時間だ。
こういう選択も、久しぶりかもしれないな……。あの頃よりも、だいぶ楽ではあるけど。
「す、すいませんっ」
「お?」
振り返ると、遠くから駆けてくる姿。
アテナだ。
「お、遅れましたっ」
「いや、ギリギリセーフかな。さ、どうぞ」
アテナと一緒に船内へ入っていく。
が、その中たるや、すでに宴会気分だった。食前酒でよくここまで盛り上がれるものだ。
「すまないな、こんなので」
「ううん、楽しいですよ」
「そうか」
全員に合図して、出発する。と言っても、そこまで遠くに繰り出すわけじゃない。
近隣の、混んでいないところに停泊させて、改めて挨拶とする。
「えー、今晩の時間を私に預けて下さり、どうもありがとうございます。去りゆく夏の一夜の宴、どうぞお楽しみください。では、皆様、グラスを拝借」
すっと全員がグラスを掲げる。
アミのグラスにはしっかりとジュースが入ってあるのを確認してから、一声。
「乾杯!」
『かんぱーい!!』
どっと声が膨らむ。
挨拶に傾けていた神経を、食事と会話につぎ込んでいるのだろう。
しばらくは場の流れに任せ、俺もその空気を堪能するとする。
アイナとアイラは寄り添うように座り、和気藹々と話しこんでいる。
アイナの方の酒のペースが早く、アイラが程ほどに制しながら食事もつまむ。なんだかんだでいいコンビなのかもしれない。
そして、件の青年アントニオ。
彼女らの会話をじっと眺めている。手元には薔薇が持たれたままで、まだ告白にまでは至っていないようだ。おそらく、アイラの存在が予想外だったに違いない。
なにより、本人は早く酔いたいらしく、酒のペースがアイナよりも遥かに早い。すでに顔が赤くなってきている。
キサラギ親子はオレンジぷらねっとの二人と話していた。
アレサ女史は最初アテナを見たときはぎょっとしたのだが、それもどこ吹く風、今は何でもないように振舞っている。
アテナとアミはどちらが年上なのか、よく分からないやり取りをしていた。小皿に分けた料理をアテナがつまみ、時々ホロリと落ちる時がある。それをアミが拾って、「きをつけてね」と微笑んでティッシュにくるんでごみ箱へ捨てに行く。
なかなか雰囲気が良かった。
「うーい、エミヤン全然飲んでないじゃーん」
「主催だからな、酔ってちゃ働けない」
「相変わらずだねぇー。ほら、飲みなさい飲みなさい」
こいつは話を聞いていたのだろうか。
あっという間に俺のグラスに並々と発酵酒が注がれていた。
注意しようとも思ったが、俺自身としては別に弱いわけではないので、軽く口に含んでから改めて注意することにした。
じわっと広がるしっとりとした旨味に、発酵酒独特のツンとくる香り。そこまで発酵酒が好きだというわけではないが、これはなかなか、自分で選んだからだろう、しっかりと旨いと言える。
……さて。
「アイナ、人の話を聞け。酒を嫌がる人にあんまり無理矢理勧めるんじゃない。その人が単なる酒嫌いだったらまだいいがな、アルコール耐性の低い人だったらどうするんだ。急性アルコール中毒っていうの、知ってるか?」
「アレサさーん、これ美味しいですよー、飲んで飲んでぇー」
「言った傍から」
「……衛宮士郎さま。許してやってくれませんか」
立ち上がろうとしたところで、アイラに止められる。いくら親友だからと言って、これだけは譲れない。
だが、向こうの言い分もあるだろう。一応聞くとする。
「御覧ください」
そう言われて、アイナの方を見る。
すると、不思議なことに、お酒は遠慮する、と言ったアレサ女史に対しては、すんなりと引き下がった。
そのままアミ達のところに行って、ワイワイ騒ぎ始めた。
「アイナは、あの子はきっと、貴方のためにと……そう言う子ですから」
「……まったく。おしゃべりなのに言葉が少なすぎるぞ、あいつ」
「ふふ、そう言う子ですから」
そう言うことらしい。
「……学友って言ってたけど、学生の頃のあいつってどうだったんだ」
「変わりませんよ、今と、全然。少々騒ぎ過ぎで教諭に怒られることが多かったですが、私達学友は知っています。彼女がただ意味もなく騒ぎたてることなどないことを。だから、きっと衛宮士郎さまへの行為も、きっとなにか意味があるんですよ。それが公的なものか私的なものかはまったくわかりませんけど、ね?」
さすがだな、と思う。
俺は、そこまでアイナの事を知らなかった。本人を見た時の性格と、女将さんから聞かされた話だけ。
…………アリシアのことは、どうなんだろうか。
「ん?」
「どうかしましたか?」
「あ、いや。なんでもない」
……どうしてここでアリシアの名前が出たんだ?
人と人なんて内側が分からないことが当たり前なのに、なぜアリシアに限って“知っているだろうか”などとおもってしまったのだろうか。
「…………」
アリシア、と考えるだけでパッと顔が鮮明に思い出せることも不思議だ。
どんなに仲のいい友人同士だとしても、顔なんてぼんやりとしか思い出せないのに、だ。
どれだけの間ワイワイと騒いでいただろうか。
料理も出し尽くし、酒の足も停滞気味。会話も、アイナでさえしゃべり疲れたのか、はたまた酔ってしまって上手くしゃべれなくなったのか、しん、と静まり返る。
波と、風。そして屋台船に吊るしておいた風鈴が涼しく鳴り響く。
ぽそっとアテナに耳打ちする。
「舟謳、謡ってくれないか?」
「え?」
「ダメか? 俺は聴きたい」
「…………っ」
なぜだか急に俯いてしまった。
やはり、事前に了解を取っておくべきだったか……。
「いや、無理強いはしないよ。すまないな、急にこんなこと」
「構いません。謳は、誰かに聴いてもらうためにあるから」
そう言うと、彼女は音もなく立ち上がった。
全員が、声にも出さず彼女に注目する。彼女のお腹がすぅっと膨らむ。
「La――――」
口蓋垂――俗に言うのどちんこ――が引き上げられ、鼻を通して声が爆発的に広がる。
俗に言うところの“いい声”である。
マイクなどの拡声器を介さず、自らの体のみで発音する。それは声ではなく、音でもなく、つまることろ“歌声”なのだ。
決して聞き苦しいことなどなく、甘く、切なく、楽しく、悲しい。感情が溢れ出し、歌声に乗る。
技術云々ではなく、誰かに、何かを感じさせることの出来る謳こそが、本当の意味で“歌”と言うのかもしれない。
ふわっ、と声が夜に溶けた。
しっとりと謳の余韻が場を支配し、誰も何も言えなくなる。
アイナの口がぴくりと動いたかどうか、というタイミングだった。
――――ひゅるるるる…………どどん!!
花火だ。
時間を見れば、ちょうど日が変わった時刻、零時。
次々に打ち上がる火の玉。弾けては消え、弾けては消え……。とめどなく続く火炎の花。
暗い水面に鏡のように花火が映り込む。
空に咲く花は、水面にも咲く。まるで、ここが水面ではなく、ちょうど真ん中。
不思議な浮遊感。屋形船が、空を飛んでいる。そんな気分。
「…………綺麗」
アテナが呟く。
綺麗なものが“キレイ”なのか、綺麗だと思う心が“キレイ”なのか。
そんな問答は『鶏が先か、卵が先か』と問うようなものだ。
綺麗だから、綺麗だと思う。
つまり、どちらとも綺麗で、どちらともが鶏なのだ。
「あぁ、綺麗だ」
うつろうつろして眠りかけていたアミも、これには目を覚ました。
ぼんやりとした瞳は、次第に輝きを取り戻し始めた。
「わぁわぁわぁっ」
ピョンピョンと船の上で跳ねまわり、みんなの微笑みを誘った。
「ほら、落ち着きなさいアミ。座って、ね」
「はぁーい」
アキナさんに促され、アミはすとんと座り込んだ。
花火が途切れ始める。また、同じように静かな時間が訪れ始めた。
「はーい、エミヤンちゅうもォーく!」
若干呂律が怪しくなっているアイナが俺を呼んだ。
空から視線をそらすと、アイナを中心に、全員がグラスを掲げこちら見ていた。
「きょーはっ、お招きいたらき、ありがとォーございましたっ」
周りの人はアイナに苦笑しながらも、ひとりひとりが頷いている。
ありがとう、と言外に言っているような気がした。
「ほんのささやかれは、ありましゅが……っ、脱がせていたらきます!」
「あぁ、ありが…………はい?」
一気に場の温度が下がる。
気がついたときには、アイナは服を脱ぎかけていた。酔っていて上手く脱げないのか、まだ下着は見えていない。
アントニオが目に入った。彼は期待半分、見てはいけないという理性がもう半分を占めているようだった。止める分には彼に期待できそうもない。と、そこで突然アイナがふっつりと倒れた。
気を失っていた。
他全員は倒れたタイミングと、突発性からもしやと疑い、駆け寄るも俺には見えていた。
一番後ろでニコニコと微笑んでいるアイラが、アイナの首筋に手刀を入れていた。一般人には認識できないほどのスピードで、だ。
しかも接近してではなく、それなりに遠い距離を、リーチギリギリで鞭をしならせるように。ともあれば、スパン、と音を出してしまいそうな速度を以て。
「大丈夫ですよ。この子、昔っからこうなんです」
くすくす。
そういって彼女はアイナを寝かせた。
代わりに、彼女が音頭を取り始めた。
「ほんのささやかではありますが、この乾杯をお礼とさせてもらいます」
乾杯、とみんながグラスを掲げた。
「あ、あぁ……。ありがとう……」
アイナのおかげであまり感動的とは言えなくなってしまったが、ありがたかった。
その夜、俺たちは最後まで楽しんでいた。
* * * * *
「士郎さん!」
「あぁ、おはよう、灯里」
レデントーレの翌朝、半日ぶりくらいで士郎さんに会った。
士郎さんは、ぼうっとして空を見上げているところだった。
「どうでしたか、昨日は」
「あぁ、成功したかな。楽しめたよ」
「はいっ、私もです!」
士郎さんはまたぼうっと空を見上げることを始めた。
なにかあるんだろうか、と私も見上げてみても、鳥が朝焼けの中を飛んでいただけだった。
「……綺麗だな、ここは」
「?」
「アクアさ。景色はもちろんだけど、まぁ、なんていうんだろうな……」
恥ずかしそうに、頬をかく。
ぎこちない笑顔を向けて、士郎さんは言った。
「なぁ、灯里。俺は、ここにいてもいいと思うか?」
「もちろんです!」
「それは、どうして……?」
「えっと、だって、士郎さん言ったじゃないですか。『ここは綺麗だな』って。それだけあったら、きっと。でも、本音を言うと、私がいて欲しいだけって言うのも……あるんですけどね」
言っててちょっと恥ずかしくなった。
いくら士郎さんといっても、男の人にいて欲しい、なんていうのはやっぱり恥ずかしいから。
士郎さんは、今度こそ声を出して笑った。
「はははは……! そうか、そうだよな。いてもいいんだよな」
士郎さんは、笑っていた。
Navi:25 後編 end
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
下書き中。そしてWeb拍手レス
ども、草之です。
投稿しようと思っている作品を書いているんですけど、下書きで。
講義中にルーズリーフに手書きでガリガリと。もともとノートに書いてた人なのでそこまで苦にはならずすらすらと書けている。まだ完成すらしていない上に、10分の1くらいが書けたかな、というところ。
というか、ほとんどネタ書き中。
どこに投稿してみようかとか、全然全く考えてない。
こういうことはたまによくある。
久しぶりに手で書くとなんだか気持ちイイ。
ノート取りながら、片手間で書くから一時限中書く文字数が結構半端ない。
でも楽しい。ランナーズハイみたいになってます(笑)。
高校の時から友人には
「お前、授業中絵描くか、小説書いてるもんな」
とかよく言われてたことを思い出した。
草之は高校の時から変わってないよ。友人諸君。
さて、そんなことは結構どうでもいい。
更新予定です。
『背炎』を金曜日に更新。
『B.A.C.K』を月曜、または火曜に更新。
背炎はだいぶ遅れてしまいましたね。すいません。今度こそ間に合わせます。
以上、草之でした。
では、追記から拍手レスです。
投稿しようと思っている作品を書いているんですけど、下書きで。
講義中にルーズリーフに手書きでガリガリと。もともとノートに書いてた人なのでそこまで苦にはならずすらすらと書けている。まだ完成すらしていない上に、10分の1くらいが書けたかな、というところ。
というか、ほとんどネタ書き中。
どこに投稿してみようかとか、全然全く考えてない。
こういうことはたまによくある。
久しぶりに手で書くとなんだか気持ちイイ。
ノート取りながら、片手間で書くから一時限中書く文字数が結構半端ない。
でも楽しい。ランナーズハイみたいになってます(笑)。
高校の時から友人には
「お前、授業中絵描くか、小説書いてるもんな」
とかよく言われてたことを思い出した。
草之は高校の時から変わってないよ。友人諸君。
さて、そんなことは結構どうでもいい。
更新予定です。
『背炎』を金曜日に更新。
『B.A.C.K』を月曜、または火曜に更新。
背炎はだいぶ遅れてしまいましたね。すいません。今度こそ間に合わせます。
以上、草之でした。
では、追記から拍手レスです。
背徳の炎 track:25
誰にも気がつかれていない。
そう確信して林の中へ歩を進めた筈だった。
いま私の手にあるのは、夕凪一刀のみ。制服を着て、悪いとは思ったが、後の荷物は長の屋敷に置いて行った。
それで、少なくとも時間が稼げるはずだからだ。荷物を置いておけば、お手洗いか、洗面か、と思うだろうしな。
「…………お嬢様」
呟くのは彼女の肩書。
名前など、呼ぶもおこがましい。彼女は私に、業を背負えと言ったが……私は、弱いのです。業など背負える筈もない。
それこそお嬢様の傍でなど、潰れる方が先だ。
「……Dam(ちくしょうめ)」
「っ!?」
低い声が響いた。
ざりざりと腐葉土を踏みながら近づいてくるその姿は、見間違える筈もない。
「What do you do?(何してやがる?)」
これくらいなら、なんとか解るか。
『なにしるんだ』、と言ったところか。
「私の勝手だ」
「Hun……」
鼻で笑い、そのまま振り返って屋敷の方へ帰って行った。日本語が分かるかどうかは定かではないが、雰囲気で感じ取ったのだろう。
随分苛立っていたようだが……当然か。いや、それより昨晩のことで文句を言い忘れたな。無事だったから良かったものの、運が悪ければあれで全員お陀仏になるところだった。
「結果、生きている私は何なのだろうな……」
出来ることならば、あそこで死んでしまいたかったのかもしれない。
背負う業と一緒に、燃えてしまいたかったのかもしれない。忌子としての業すら捨てて、ただ真っ白な灰になる。
そうすれば、体ごと風になって……。
「行くか……」
歩を進める。しかし、妙に歩みが重い。
腐葉土はしっとりと湿り気を帯びており、歩きにくいせいかもしれない。
どれほど歩いていただろうか……、不意に後ろから声がかかった。
「Miss……!(お嬢さん……!)」
「?」
振り返れば、あの白い青年が立っていた。
心配そうにこちらを見、何事かを語りかけようとしている。
「Where do you go?(どこに行かれるのですか?)」
「…………ファー」
遠くへ、と言う意味で放った言葉は、どうやら彼に届いたらしい。
そろそろ気づかれる時間か。もたもたしている暇はない。
「もう、追わないでください。私は……遠くへ行くんです」
ばさり、と翼を広げる。
どこまでも白い、忌子の証。それが背へ現れる翼とは……まるでこれが私自身の業そのものを表しているようではないか。
だが、しかし。
『きれー。なんや、天使みたいやなぁ』
天使。
その言葉が、どうにも頭から離れない。
私は、私は…………思い込もうとしているんだ。たかが家畜になり果てようと、道具のように使い捨てて欲しいと、そう、思い込もうとしているだけなのかもしれない。
だけど、だけど……そうとでも思い込まなければ、化け物の私は耐えられない。
人間である彼女らと私が並ぶには、彼女らは眩し過ぎる。
「セツナちゃんっ」
だと言うのに……。
「刹那さん!!」
声が聞こえた。
「刹那さーんっ!!」
声が、聞こえたんだ。
「せっちゃぁぁああ―――――んッ!!」
声が、聞こえてしまったんだ。
* * * * *
「ダンナ、セツナちゃん見なかった!?」
「あの化け物の子供か。森の中で見た。もうどこかへ行ってしまっただろうよ」
「そっか。ありがと、ダンナ」
「礼を言われる覚えはねえな。それに、あいつを連れ戻す気かどうかは知らんがな……止めておけ。今はまだいいが、いつかあいつは主人を食い殺すことになるぞ」
ダンナが言おうとしてることは分かってるつもりだ。
あの子は、セツナちゃんは、危うい。
「それでも、俺は今は教師なんだよ。だから、行かねえといけないじゃん?」
「ハ。いよいよ脳が蕩けてきたか」
「なんとでも言ってくれていいさ」
ダンナをほったらかして走り出した。
森に入る手前で、ネギたちと合流した。ネギたちは突然いなくなったセツナちゃんを心配して、探していたそうだ。
なぁ、セツナちゃん。本当に、こいつらを切り捨てていくのかよ。
「どうして、お前らはセツナちゃんのところに行くんだよ……? 酷いこと言われただろ、見限られたことだってあるんだろ。それでもなんで、お前らはセツナちゃんを迎えに行くんだ……?」
「そんなの……!」
「決まってます!」
ネギとアスナが答える。それに続くようにして、コノカちゃんが少し怒ったような声音で言った。
「せっちゃんは、ウチらの友達やもん!」
『そういうこと!!』
三人は一気に走るスピードを上げていく。昨日あんなことがあったとは分からないほどのスピードだ。
若さってのはこういうところにも出てくるのねー、なんて言ってる場合じゃないか。
「同感だね、そいつぁさ!」
林の中を全力で駆け抜けていく。
俺が先頭になって走るが、迷う気が全くしない。分かってなのか、それとも気紛れか、ダンナが剣で木に印を付けている。
これを辿れば、ある程度セツナちゃんに追いつける。切れたら、そこからは勘に任せる!!
そう思っていたら、切れるのは意外に早かった。
森に入ってからこっちへまっすぐ走ってきたが、このまままっすぐ行っていいものか。
……いや、まっすぐ行かなきゃいけないね、こりゃあ。
「このまままっすぐだ、もうすぐ追いつくぞ!」
「はいっ」
「りょーかい!」
「わかった!」
足音を聞いて彼女が隠れるともわからない。
だけど、“そんなことを彼女はしない”。なぜかって、まだだ迷ってるからに決まってるだろ。
迷ってないなら、それこそ、昨日みたいなセツナちゃんのままなら、みんなが寝静まった瞬間に出て行くはずなんだ。
出ていくか、出ていかないか、別れるか、別れないか。それをまだ決めかねてるってことじゃないのかよっ。
俺の勝手な解釈だってのは判ってるつもりだ。それでも、そうだって信じてるんだよ。信じるんだよ……!
「見つけたぜぇ!!」
あの大きな翼は目立つ。
ネギたちから聞いた話じゃあ、烏の妖怪とのハーフなんだって?
……へっ、綺麗じゃねえかよ。それが化け物の証だって……?
冗談じゃねえ、その通りだぜ。“化け物”じみた、綺麗さの証だろうがよ……っ!!
「セツナちゃんっ」
「刹那さん!!」
「刹那さーんっ!!」
彼女が振り向く。
驚きで見開かれたその瞳には、一体何が映っているのか……。
考えるまでもねぇ。
仲間ってやつだろ、なぁ、セツナちゃん!
「せっちゃぁぁああ―――――んッ!!」
一段と大きく、コノカちゃんが腹の底から声を出す。
その声に打たれたように、セツナちゃんはよろけた。必死で、涙も堪えているように見える。
「来ぉへんといてっ!!」
返された言葉は、彼女からは聞き慣れない訛りの強い言葉。
言葉通り、俺たちはその場に止まった。ていうか団長さんはなんでここにいるのよ?
「来ぉへんといて……お願いやから」
「せっちゃん、一緒に帰ろっ? また、小さい時みたいに、一緒に遊ぼっ?」
「うるさいわっ!! もう……もう、ウチは、一緒におられへんねん。掟できまっとんねん、正体見られたら、去れって」
「そんな……そんなの悲し過ぎます! 掟がなんだって言うんですか、僕たちは絶対に口に出しません!!」
「そうよっ。班長としても、急に班員がいなくなったら困るんだからね!」
ネギと、アスナちゃんは冗談めかして引きとめる。
しかし、セツナちゃんは頑なにそれを良しとはしない。もう、掟とかそういうのじゃなくて、意地になってるのかもしれない。
別れなくては、と。
「なぁ、セツナちゃん。すぐ行かなかったのは、まだ迷ってるからじゃないのか?」
「迷ってなんかない。ウチはもう、耐えられへん。化け物の自分に、耐えられへん」
「……もう、守ってくれへんの? おらんなるって、そういうことなん?」
コノカちゃんが祈るように、手を合わせてセツナちゃんの方を見た。
願わくば、遠くからでも守ってくれますように、と。
そのコノカちゃんの言葉に、セツナちゃんはこう返した。
「ウチは……もうおっても意味ないから…………。ウチよりもずっとずっと強い、先生やそこの男――ソルやっておる。もう、ウチは用済みやったんやよ、この人らが来てから、ずっと」
曰く、私ではなく彼らに守ってもらえばいいではないか、と。
その言葉を聞いたコノカちゃんの反応は、誰が言うよりも早く、セツナちゃんに届いた。
「せっちゃんの、アホォ―――――――――――ッ!!!」
はぁはぁ、と肩で息をしながら、コノカちゃんが声を荒げる。
普段お淑やかな彼女からは想像も出来ない、怒気の籠った一声だった。
勢いだけはそのままに、コノカちゃんは続ける。
「アホアホアホぉっ!! ずっとウチの事守ってくれてたことも、全部……全部嘘にする気なんかぁっ!?」
「う、嘘もなんもあらへん!! ウチは、ウチはこのちゃんのこと守られへんかったんやもん!!」
「じゃあ、じゃあ今ここにおるウチはなんなん!? 今せっちゃんが言うてるんは、ウチなんかおらへん言うてるのんとおんなじなんやよ!? ウチは、せっちゃんに……ちゃんと守ってもらえてたのに…………な、んで、そんなこと言うんよぉっ!!」
ウチはウチは、ただひたすらにそう言い続ける。
感情は音をたてて流れ出てくる。すべてを出すまでは止まりそうにもない。
「京都の方帰ってきてからな、せっちゃんがずっとウチの周りにおるのん気ぃついててん。でも、やったらなんで一緒にいてくれへんのやろうって、ずっと、麻帆良におるときからずっと思ってた。ずっと、ずっと寂しかった。でも修学旅行で一緒の班になって、気持ち見てくれてる時間が増えた気がしてたんよ。……せっちゃん、自分のこと人とちゃう、いうてたやんか……。うん、翼は人にはついてへんもん。普通やったら、気持ち悪いとか思うかもしれへん! でもな、ウチはそんなん思えへん。思われへん。やってな、人とか人やないとか言う前に、せっちゃんはせっちゃんやもん。人やないとか、全然気になれへん。騙されてたとか、内緒にされてたとか、そんなん全然思えへん。やって、ウチが訊かんかってんもん。騙すとかないやろ? やから、ウチが怒っとるんはそんなちいちゃいことやないねん。せっちゃんがウチの事『守られへんかった』とか『守ってもらえ』とか、そういうのんに腹立ててるんやで? やって、せっちゃんは中学入ったときからずっとウチの事『見守って』くれててんやろ? きっとウチが知らんときでも絶対守ってくれてた。ウチはな、中学で久しぶりにせっちゃんに会って、でも素っ気のうて、でもでも、ホンマは守ってくれててんやって、分かったときホンマに嬉しかったんよ。でも、それでもせっちゃんは『守られへんかった』言うた。違う。ちゃうよ、せっちゃん。そんなん、せっちゃんが決めることとちゃう。ウチが『守ってくれた』っていうたら、せっちゃんがどう思ってても、ウチは『守ってもらえてた』んやよ! ウチは、ウチはな……せっちゃん。せっちゃんらに返されへんくらいの恩と優しさをもらってん。やから、どっかに行くとか、言わんといてよ。ウチに、恩を返させてや。せっちゃん、お礼、言わせてや……!!」
セツナちゃんは、そんな支離滅裂な、怒りにまかせたコノカちゃんの言葉に何を思ったのだろうか。
長い長い、鍔のない刀を抜き放つ。キシン、と空間が軋む。それほどの緊張感を彼女ひとりが放っていた。
「……確かに。私は迷っていた……」
剣先をゆっくりと上げていく。
徐々に徐々に上がっていく剣先は――――
「なら、その迷いごと……ここで断ち切る。迷いは、置いていく!」
ダンナを指し示した。
* * * * *
刹那は、木乃香の問いに答えることなく、ただ剣先をソルに向けた。
ソルは不敵に笑うと、アクセルに通訳を頼んだ。
「……随分賢い奴だな、お前は」
「なに?」
「…………ガキが、めんどくせぇ生き方してんじゃねえ」
その場にいた全員が一歩退いた。
怒気。ただそれだけのプレッシャー。
誰よりも早く態勢を整えたのは刹那だ。夕凪を構え、いつでも飛び出せる用意をする。
まるで目の前に溶岩が流れてくるような威圧感。じりじりと肌を焼き、集中力を溶かしていく。
初めに倒れたのは木乃香だった。明日菜、ネギとそのあとに続いて腰を抜かしていく。
「く」
「迷いを断ち切る? 置いていく……? 出来るのか、お前に」
汗がどっと流れ出る。
ソルの一挙手一投足に、刹那は確実に何かを削られていく。
体力、精神力、集中力、胆力。胃液がさかのぼってきそうなほどのストレス。
「説教か、似合わないな!」
「説教? んなもん受けたけりゃもっとガキしてろ」
刹那が耐えきれず奔った。
足元の腐葉土が土塊となって弾ける。一瞬で縮めた距離はしかし、あまりにも“遠い”距離だった。
隙のない抜きをしたはずだった。刹那が振り抜く夕凪は、ソルの持った封炎剣に遮られた。
「てめえは化け物だ。その事実に変わりはない」
「だからっ、だから、私はァアッ!!」
――――斬空閃!!
零距離で放つ不可避の一撃。ソルはその斬撃を受けながらも、傷は負わない。
フォルトレスディフェンス。完全無欠の防御と銘打たれた法術。
「あの方の傍にはいられない、いちゃいけない!! ――――あんたに、ウチのなにがわかんねんッ!!」
感情の昂り。
地の言葉に戻ってところで、強くなることなどない。
吹っ切れた攻め。慎重な連撃から、大胆な烈撃への変動。折れよとばかりに夕凪が振るわれる。
「そんなに強ぉても、守るもんも何もないあんたにィ……!!」
「黙れ……!!」
夕凪の閃光を無視して、ソルの左腕が刹那の胸倉を掴みあげる。
ソルの二の腕に深々と刀傷が刻まれる。
「あ……ぐっ……!?」
「ガキらしくしとけばいいって言ってんだ。ごちゃごちゃと……」
封炎剣の柄を握る右拳に、目に見えて力が込められる。
その衝撃が刹那を襲うまで数瞬。
「御託はいらねぇっ!!」
「ぎゃっ!?」
ごきん、と殴られたにしては生々しい音が響いた。
頭蓋骨すら砕く勢いで放たれたぶっきらぼうな拳。二転三転と転がる刹那を見て、生きている方が不思議とも言える。
ソルが無言で倒れ伏す刹那に歩み寄る。翼の適当な位置を掴みあげ、さらに放り投げた。今度は森に群生する木々を薙ぎ払いながら、刹那は吹き飛んで行く。それにまたソルが歩み寄り、今度は寝転がる刹那の腹を蹴り上げた。
ぶぎ、となにかが潰れる音がした。
「お、げ……ぇええ……っ」
ほとんどが血で埋められる吐瀉物を吐きながら、刹那は痙攣をおこす。
ソルがまた近づいて行く。しかし――――
「や、やめてぇ……っ!!」
ソルの前に、木乃香が立ち塞がった。
その行動に対しソルはどう思ったのか、封炎剣を地面に突き刺し、“聴き”の態勢に入った。
「せっちゃん、今、治したるから」
アデアット、来れと木乃香は詠うように唱える。ふわりと、花弁のような光が舞い、木乃香の手に双扇一対のアーティファクトが握られた。それらを刹那に向かって扇ぐと、破れていた肌はみるみるうちに閉じていき、壊れていた骨や弾けていた内臓も元へ戻っていく。
ただ、血液だけはどうしようもなく、倒れ伏したまま胡乱な瞳をした刹那が木乃香を見上げた。
「お、じょう……さ、ま」
「アホ。やっぱりせっちゃんはアホやよ」
「ごめ……ん、な」
「…………なぁ、ウチと一緒におったら、せっちゃんは苦しいん?」
「……そんな、こと……ううん、ちょっと、惨めになる、かも」
つぅ、と刹那の頬を涙が伝う。
木乃香はそんな刹那を見下ろしながら、誰もが今まで見たことのない様な、決意が籠った、とでも言うべき瞳になった。
そんな彼女が口にする言葉は――――
「やったら、ウチが惨めになんてさせへん。ウチとおったら、絶対に幸せにしたる。……でもきっと、今のウチにはわからへんことやっていっぱいあるんやと思う」
木乃香が刹那の頬の涙をぬぐう。
刹那は黙って木乃香の言葉を待った。
「でも、そんなん関係あらへん。せっちゃんはせっちゃんやもん! 言うたやろ、気になれへんし、騙されてたとかも全然思ってへん」
「おじょう、さま」
「あん、お嬢様言うたらアカン〜。昔みたいに“このちゃん”言うて〜」
――――木乃香は言う。
私と一緒にいて欲しい。
私と一緒に幸せになろう。
嘘の混じらない言葉に、刹那は本当に迷い始めていた。
別れるか否かではなく、私と一緒にいて木乃香が幸せになれるかどうかをだ。
「……あー。その顔はあれやな、私といても幸せになんか〜とか思とる顔やな〜?」
「あ、う……」
「大丈夫やもんねー。ウチがせっちゃんを幸せにしてくれたぶん、せっちゃんはウチを幸せにしてくれるんやもん」
「だ、だから、私はそれを心配して……!」
「ん〜。ほんじゃ訊くけどなぁ、せっちゃんっ!」
木乃香は有無も言わせず、刹那を抱きしめた。
修学旅行中はもちろん、これまでの事にも“ありがとう”を伝えるために、力強くぎゅっと。
たまらず、刹那は赤面した。
「お、おじょじょじょおおじょさま!?」
「なぁ、これでも悲しいとか言うん?」
「え?」
「ウチは大好き。幸せ。またせっちゃんとこうやって話せて、笑えて。なぁ、せっちゃんはどうなん?」
「私は……ウチは……」
刹那は思う。
どうして私は別れようなんて思ったのだろうか、と。
この翼が醜くて、卑しくて、嫌で嫌で嫌で。
――――それを、木乃香はどう言ったのだったか。
『きれー。なんや、天使みたいやなぁ』
忌々しいこの白い烏の翼を、彼女は天使のようだと言った。
意地だったのかもしれない。
「ウチも……ウチもなぁこのちゃん……っ!!」
「うん」
「一緒にいたいぃ……っ!!」
「うん!」
刹那は、木乃香は泣いた。
悲しみではなく、今までの悲しみを流すほどの喜びで涙を流した。
「…………ふん」
ソルは封炎剣を引き抜き、屋敷の方へ戻って行った。
カイはそれを見て、彼の背中を追う。
「ソル」
「なんだ、坊や」
「……わかって来てたのか?」
「…………さぁ、何のことだか」
だが、その返答を聞いてもカイは納得しなかった。
この男が意味もなく動くはずがないということを知っている手前、余計に。
「お前は、どうしていつも……」
「うぜぇ。知らねえっつてることにいつまでもグジグジ言ってきてんじゃねえ」
「ソル!!」
「来たか、頭に。目の前で女が嬲られているのに止められない自分が情けねえとでも思ってんのか? 筋違いも大概にしとけ。お前は甘いんだよ、だから“アイツ”のことも殺さねえでいる」
「甘さと優しさは違う……!」
「ハ。入れ込み過ぎて後で後悔するなよ…………カイ」
「ソル、今――――」
カイと、と言い終わる前にソルは歩きだしていた。
もう問答する気はない、ということなのだろう。
カイが振り向けば、刹那と木乃香を中心に、ネギと明日菜、アクセルまでもが笑い合っていた。
なんと気持のいいことか。
受け入れてもらえる場所があって、見詰めるべき自分が判る。
「……願わくば、貴女が彼女の答えの一端を担う事を」
今のカイには、そう呟くことしか出来なかった。
修学旅行、3日目。
苛烈にして残虐に満ちた夜は明け、わだかまりさえもが晴れ渡った。
修学旅行が終わる――――。
track:25 end
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
20万ヒットです!!
20万ヒット、ありがとうございます!!
ども、草之です。
簡単ではございますが、ここにご来館者の皆様にお礼を申しあげようと思います。
本当に、ありがとうございます。
これはあれですね、100万を目指しなさい、という啓司ですね。わかります。
ここにきておこがましいお願いではありますが、これからもどうかよろしくお願いします。
開設一周年もあと一ヶ月程で迎えるこのタイミングがいいのか悪いのか(笑)。
とりあえず、お礼SSや拙い絵の方は、一周年と一緒に更新させてもらいたいと思います。
今回は挨拶、お礼だけという内容ですが、これで締めとさせてもらいます。
これからも、『歯車屋敷』と管理人草之をどうぞよろしくお願いします。
以上、草之でした。
ども、草之です。
簡単ではございますが、ここにご来館者の皆様にお礼を申しあげようと思います。
本当に、ありがとうございます。
これはあれですね、100万を目指しなさい、という啓司ですね。わかります。
ここにきておこがましいお願いではありますが、これからもどうかよろしくお願いします。
開設一周年もあと一ヶ月程で迎えるこのタイミングがいいのか悪いのか(笑)。
とりあえず、お礼SSや拙い絵の方は、一周年と一緒に更新させてもらいたいと思います。
今回は挨拶、お礼だけという内容ですが、これで締めとさせてもらいます。
これからも、『歯車屋敷』と管理人草之をどうぞよろしくお願いします。
以上、草之でした。
B.A.C.K Act:4−3
風が強い。
耳元で轟々と唸りを上げながら、いわゆるジェット気流が流れていく。
高高度、管理局地上本部のレーダーに引っ掛からない程度の高さまで上昇し、上空からサーチャーで下の様子を把握する。
「…………」
状況確認。
スカリエッティ側が大変有利。
管理局側は、おそらく陳述会中ということもあり、本部内部の高ランク魔導師の武装が出来ていなかったこともあって防衛線へ持ち込んだんだろうが……それではダメだ。
地上本部のシールドは思っている以上に強固だ。ガジェットがあれだけいてやっと弱まっている。
そのシールドを過信することなく、信じ、攻めに転じることが必要だった。
「…………砲撃、4時方向」
自分を墜とした砲撃手だろうか。
だが、今は関係ない。まだ出ていくには早い。
Sランクオーバーがふたり、戦闘空域に侵入……。
「ミーアは無事……じゃなさそうだな。何だあれ」
《Perhaps, it seems that a strong mental operation has been received(おそらく、強力な精神操作を受けていると思われます)》
「だろうな。そうでないと、ミーアがスカリエッティに協力するとは思えない」
どうやら、ヴィータとリィンが迎撃に向かったようである。
精神操作を受けているとはいえ、実力が落ちているとは思えない。ヴィータとリィンには悪いが、勝てないだろう。
《Lightning division faced LPRF6(ライトニング分隊が機動六課へ向かいました)》
「妥当だな。だけど、六課に心配はいらない」
……今オレは自分のエゴで動いている。
助けようと思えば、六課に駆け付けることだって出来た。ミーアの前に立ち塞がることだって出来た。
それでもオレが出なかったのは、戦闘機人、その姿にある。見覚えがあった。
青系統のジャケットに、女性型。
「見つけた……ハラオウン女史のところか。行くぞ、初陣だ!」
《Yes,sir》
飛行魔法を解く。
自然と体は重力に引っ張られ、下へ下へ。轟々と風が耳元で鳴り叫ぶ。雲を抜け、肉眼で戦闘域全域を視認。細かいことまで分かるわけではないが、それでも状況を把握するには十分な情報量だ。徐々に方向を変えながらハラオウン女史の戦闘域へ近づいて行く。
自分が落ちている感覚から、地面が押し迫って来る感覚へ。もし飛行魔法で近づいていたなら、誰かの魔力探知に引っかかる。隠蔽魔法を行使しつつ、フリーフォール。これが一番気付かれにくい。
《Enemy and catching(敵、捕捉)》
「コード・SSACS[サックス]!!」
《Yes,sir.Strike mode,Super Sonic A.C.S.standby》
デバイス起動。ストライクモードA.C.S。
形だけは変わらないヘッド部分がバクリと割れ、その間から魔力刃を展開。
魔力翼も順次展開。しかし、その数が“通常”のA.C.Sの比ではない。4対8翼の蒼い翼が羽撃たく。
「敵は?」
《Here has not been noticed yet. It concentrates on hostilities(まだこちらに気付いていません。戦闘行為に集中しています)》
「一気に貫くぞ……、翔けろ流星!!」
――――ガガン!!
大口径のカートリッジが二発炸裂する。カートリッジ分の余剰魔力は全て推進魔力へ変換。
余剰魔力が漏れ出し、空気中の魔力素が輝きを帯びる。
《Stardust strike》
スターダストストライク。
星屑の疾駆。音速を軽く超えた速度を以て、撃ち貫く。
一瞬で詰まる距離。一息で目の前に顔があった。
「――――ばっ!?」
一瞬の衝突。
かろうじて防御したようだが、右腕を貰った……!
「覚えているか、この顔を!」
「き、さま……!!」
若干速度を落としながらも、右腕を貫通しながら戦闘機人を圧し続ける。
苦痛にゆがんだ顔が、オレを睨みつける。
「ラインハルトの、あの時の小僧か……!!」
「そうだ、トーレとかいったな、お前は! 覚えているか、お前が殺したズィルバー公を!!」
「私がロールアウトし、初めて敗北を味わった……忘れる筈もない!!」
「その仇、今討たせて貰う!!」
――――ガキキキン!!
残った三発を全て消費。魔力が迸り、光が収束する。
「ソニック!!」
《Acceleration buster》
「――――な、にィ!?」
敵に向けての砲撃ではない。砲撃反動ブレーキを解除し、“進行方向とは逆に砲撃を放つ”。
ソニックアクセラレーションバスター。
ストライクモードの、真骨頂。ソニックスピードでの、戦闘行為!!
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!」
あっという間に地面が近づいてくる。
瞬きすれば、フィルムが吹き飛んだように景色が変わっていく。
とろける視界。
「全てを――――貫けええええええっ!!!!」
《Heat edition》
着弾。
そう表現した方がいいほどの衝撃と魔力爆発。
地面と衝突する瞬間のファイナルブレイク。これが直撃して、貫けぬものなどない。
……直撃すれば。
「IS・ライドインパルス。貴様だけがその速域で存在するとは思わないことだ」
何でもない様にトーレは佇む。ぶら下がった右腕だけが妙に生々しい。
マガジンを交換。新たに5発の大口径カートリッジがジークフリードに取り付けられる。
初めての機動にすれば、上々の仕上がりと言いたいところだが……。まずいな。
《Frame damage 13%(フレームダメージ13%)》
思った以上にダメージが蓄積している。
強化前のストライクチャージを思えばかなりの強化だが、それでもだ。
手にとって確認したときからとんだ暴れ馬だとは思っていたが、実戦で使って改めて思う。
――――嵐馬だ。
「自らの攻撃でダメージを受けているようでは、私には勝てんぞ」
「痛み分けだろ……固いこと言うなよ」
「ふん、直線だけの攻撃で私を捉えられるとでも思っているのか?」
「直線だけかどうか、その高性能な御眼眼で確かめてみやがれ……!」
飛び上る。
トーレもオレを追うようにして飛び上った。
1対1なら、こちらに勝機がある。リミッターがついているとはいえ、ハラオウン女史が負けるとは思えない。
彼我戦力は、傾きつつある。
「IS発動・ライドインパルス!」
瞬間移動とも例えるべき速さでトーレは目の前に踊り出た。
そのスピードは先程見た。もうその速さに驚くことはない。脳にしっかりと焼きつけた。
ゆえに、慌てずに行動できる。
《Division step》
軽い幻術を応用した移動魔法。
移動と同時に幻術による分身を造り出し、それぞれを別方向へ飛ばす。
一瞬の視覚奪取と、混乱を誘う攻守一体の移動魔法。消費魔力が大きく乱発出来ないのがネックか。
「…………見えているぞ!」
「だと思ったよ……!!」
《Dragon Smasher――》
迷いなく本体へ攻撃を仕掛けてくるトーレ。
戦闘に特化した彼女らの眼が、幻術を破ることが出来ないほどお粗末なものだとは思っていない。
残り2秒もなく殴られる、と言うタイミングでドラゴンスマッシャーを置く。それに反応したトーレは若干の軌道修正。砲撃の直撃を防ぐためだろう。だが、ここは射線軸から体をズラすのではなく、後退が正解だったのだが……こちらの情報を掴み切れていない相手ではそれも無理もない。
《――Wide range・Impact》
拡散型ドラゴンスマッシャー。
広範囲をフォローする、花開く砲撃。ただし、代償として射程距離が著しく縮む。
だが、今回の相手は火に突っ込んできている蛾だ。火に飛び込んだ蛾が焼かれるのは道理。
「づ――――ッ!?」
寸でのタイミングで防御を展開。
即座に距離を取られる。円を描くように飛び、牽制しつつ一定の距離を保ち思考する。
この状況、どうすれば勝ちに持っていけるだろうか……。
「どうした、あれがお前の言う直線だけではない攻撃か……!?」
「ちぃ……」
手札が少なすぎる。
より強襲特化型となったジークフリードだが、それゆえに攻撃に汎用性がなくなった。
扱い切るには、まだ早かったか……?
「違う」
勝利を導くんじゃない。
勝利するための方法を導くんだ。
必勝戦法などない。必勝の術があるのだ。
その術を確実に狙える道を考える。それを出すには、一体どうやって戦場を彩ればいいのか。
「ジーク、無理させるけど、イケるな?」
《Yes》
別にコード・SSACSだけが切り札だというわけじゃない。
まだ、戦える手札はある。サードモード・スカバード。
しかし、それも肩透かしに終わった。
「ふむ……時間か」
「なに?」
「……残念だったな、ラインハルト。撤退命令が出た」
トーレは構えを解き、深く息を吐いた。
撤退。
これ以上の戦闘はナンセンスであり、だが――――
「分かっているだろうが、次に会うとき……貴様に『勝利』の二文字はない。貴様の戦闘データは記録され、私達の中でリチューンが施される」
「…………くれてやるよ、そんなもん。お前が持ち帰るのはオレの戦闘データであって、オレの戦闘理論じゃない。次に会うとき、勝つのはオレだ……!!」
「強がりを。データはそのまま理論に直結する。あらゆる可能性がそこから弾き出されるからな」
一際大きな光が放たれる。
転移か……。
どうやら、上の戦闘も終わったらしい。リミッター付きだからだろうか、とどめを刺せずに撤退させてしまったようだ。
見上げると、ゆっくりとこちらに降りてくる影が見えた。ハラオウン女史だ。
「ユークリッド……」
「……ハラオウン隊長」
「帰ってこない? 六課に」
「帰れないだろ。名目上、オレは次元犯罪者の片棒を担いだ奴だぞ」
ハラオウン女史は苦虫を噛み潰したような表情をしてから、それでもぎこちなく笑って見せた。
「ほら、やっぱり」
「なにがやっぱりなんだよ」
「“名目上”でしょ? 証明する方法はいくらでもあるよ」
「……世話好きだな、年下だからか?」
「そ、そんなのじゃないよ……!?」
「なんで慌ててるんだよ」
「……うん。ユークリッドは憧れの人だから」
…………はい?
自分の役職を棚に上げて何を言い出しましたか、この人は。
ていうか、臆面もなくよく面と向かって言えるよな、そういうこと。
「もちろん、好きだとかそういうのじゃないよ。なんていうか、私が持ってないものを持ってる人だから」
「そうか……? ハラオウン隊長が持ってないものなんて想像できないね。容姿端麗、頭脳明晰、執務官としても優秀。そのうえ魔導師ランクはSランク」
「うん。名目上はね」
皮肉のつもりなのか、同じような言葉を使って返された。
名目上でも、そこまで言われていて内容全部が嘘ってことはないだろ。美人だし、スタイルだっていいし、執務官試験に合格したってことはそれだけの実力を持ってるってことだろ。なにを持っていないって言うんだか。
「例えば、ユークリッドが今実際にしてる事なんて、私には出来そうもない」
「そん――――」
言葉が区切られた。ハラオウン女史もその圧力に気づいたのか、振り向く。
管理局地上本部、その上空の召喚魔法陣。
呼び寄せられたのは、竜。見間違えようもない。あれは『サベージ』だ。
『サベージ』として呼び出される最強の擬似真竜……。
「冗談でしょ……あんなのどうやったら……っ!?」
その時、『サベージ』へ向かって一筋の閃光が走る。『サベージ』へ直撃し、爆炎を吹き上げる。
もう一発、さらに一発。だが、そのふたつはふたつとも、大きく狙いがそれていた。
「あれは……シグナムのファルケン?」
ハラオウン女史とともに訝しむ。
なぜ外す? シグナム程の騎士がそう易々と狙いを外すとは思えない。
外しているうちに『サベージ』は完全に態勢を立て直し、さらに口元に魔力を収束し始めた。
竜の砲撃。すなわち、ブレス。あれはどうしようもないぞ……!?
「シグナム……!!」
「避けてくれ……!!」
収束された魔力が臨界を超え、炸裂するその数秒前。
――――ボゥッ!!
「きゃっ!?」
「うっ!」
鼓膜を震わせ、衝撃を後に引いて、何かが極超音速で頭上を飛翔していく。
その閃光は一寸の狂いなく『サベージ』の頭部に直撃し、砲撃をズラす。雲を引き裂き、さらに上空で膨張した魔力が爆散する。
あんな砲撃、地上に喰らったらひとたまりもない……。
「い、今の何……? 六課から……?」
ハラオウン女史が呟くが早いか、第二射が六課方面から飛んでくる。
第三、第四、第五と、閃光は降り注いでいく。
雨は降り止まない。鳥肌が立った。なんてタイミングだ……。
「アヴァランチ・レーゲン……!」
「え?」
「古代ベルカ式超長距離射撃魔法……正式名称、弾道射撃魔法。古代ベルカにして、蹂躙魔法とまで言わしめた最凶の射撃魔法……」
「古代ベルカ……? でも、今六課にいる古代ベルカ式術者といえば、シャマルかザフィーラだけだよね……?」
「違う。もう“ひとり”いるんだ」
「え?」
説明をしようとしたとき、また視界に巨躯が映り込む。
また六課方面から飛んでくる。
「あれは……キャロ!?」
黒い鱗に、赤い鎧のような外殻。紛い物ではない、正真正銘の真竜。
地上本部上空の『サベージ』に比べれば小さいが、それでもかなり大きい。キャロが指の大きさほどしかない。
「フェイトさん……にユークリッド隊長!?」
「元気だったか?」
「はい! じゃなくて……今からヴォルテールと私で、あの竜に白兵戦を挑みます! 許可を、フェイトさん!」
「な――危険だよ、そんなの!」
どうやら、この真竜の名前はヴォルテールと言うらしい。
キャロの持つ竜が2騎だとは聞いていたが、まさかこれほど巨大だとは思わなかった。
ヴォルテールがギロリとオレを睨んだ。私怨が込められているような視線で、唸る。
「ヴォルテール……?」
「何でもないだろう。白兵戦、オレが許可する」
「ユークリッド!?」
「まともに戦えるような戦力は今はキャロのヴォルテールぐらいだ。ハラオウン隊長はスターズに連絡。警備部隊と連携をとりつつ、あの竜を撃破する……!」
キャロの「行けます」という言葉と、彼我戦力を冷静に判断し、ハラオウン女史はオレの作戦案を許可してくれた。
最後に、問答を設けた。
「キャロ、六課は今どうなってるの?」
最初にハラオウン女史がキャロに確認を取った。
一瞬暗い顔になったが、決意を込めた表情で言った。
「エリオ君が先頭に立ってガジェットを殲滅しています。それと……ヴィヴィオが連れ去られました」
「なんだって!?」
思わず声を荒げてしまった。失敬、と謝ってからキャロに続きを促す。
“アイツ”がいたのに、か?
「えっと、私達が到着した頃には……もう」
私達も頑張りましたが攫われた後でした、と頭を下げながら言う。
間に合わなかったのか……。あぁ、クソ。後悔するくらいならこんなこと、初めからしちゃいないっていうのに。
…………いや、ヴィヴィオが連れ去られた?
「……よし、散開。それぞれの行動に移ってくれ」
『了解!』
気になることはまだまだあるが、今はあの竜を倒すことに専念するべきだ。
あの竜が『サベージ』……つまり『母なる竜の揺り籠』であるのなら、まだ大丈夫。
いろいろなことを聞いて、心を動かすのはまだ先でいい。
今はただ、感情を、心を止めておく。
最後に笑って立っていられるように……。願わくば、はやての隣で。
「いくぞ、ジークフリード!」
* * * * *
『スバル、先行しすぎ!』
ティアが怒鳴る。
それも風を切る音で、まだマシだと思えるほどに小さくなっている。
直角の曲がり角、壁を蹴って無理矢理にスピードを落とさずに方向を変える。
そういえば室内訓練の時、ユークリッド隊長もこんな感じで飛んでた気がする。
「ごめん、でも、大丈夫だから――――!」
ギン姉が心配だから。
より一層スピードを上げる。唸りを増していくローラーと、高まりを上げていく心臓。
近づけば近づくほど焦りが大きくなって、それだけで心臓が潰れてしまいそうになる。
涙が、出そうになる。
「マッハキャリバー!」
さらに回転数を上げていく。
目標地点が近い。――最終確認。
リボルバーナックル内のカートリッジシステム、状態良好。
カートリッジの残弾、計18発。
関節各部、異常なし。状態良好。内、膝関節に若干の疲労が見られるが許容範囲内。戦闘行為に支障はない。
行ける。今行くよ、ギン姉……!
通路が開ける。
広い空間。戦闘の余波だろうか、そこここに崩れた後がある。
その中心。正面に捉えたのは、さっき戦闘したばかりの戦闘機人の少女たち。さらにその少し奥。
「あ」
言葉が途切れた。何も考えられない。目の前の光景だけが、金槌で叩かれたような衝撃を伴って脳髄に響いてくる。
さぁっと鼓動が鳴り止んでいく。はち切れんばかりだった心臓の高鳴りは、いやに落ち付いている。
破かれたバリアジャケット。とめどなく流れる血液。四肢が粉々。
でも、それでもその人を見間違える筈もない。
「――――」
息が詰まる。
上手く呼吸できない。は、は、という息遣いだけが耳に届いてくる。
私の中で、なにかがキレタ。
崩れそうになる身体を押しとどめ、全身に力を張り巡らせる。
今までに感じたこともないような、ナニカが私を支配する。
これはそう――――きっと、怒り。
「うぅ……わあああああああああ――――――――あッ!!!!」
視界がクリアになる。
やけに体が軽い。今なら、たとえ誰が相手でも勝ててしまいそうだ。
いや――――勝つなんて生易しい。
……毀してやる。ギン姉を、そんなにして、捕まえるだけなんて絶対に嫌だ。
ギン姉は、苦しいに決まってる。ギン姉は、痛いに決まってる。ギン姉は、お前らなんかに負けるような人じゃない。
毀してやる……!!!!
「返せ……」
でも、ギン姉がいたら危ない。先に安全な所に連れて行ってあげなきゃいけない。
カートリッジ全弾ロード。
リボルバーナックルが唸りを上げる。
「ギン姉を、返せぇえ――――!!!!」
射撃が飛んでくる。関係ない。
見据えるのはギン姉だけ。邪魔するんなら、先に毀す。
「だっぁああああああああああああああああああっ!!!!」
肌を掠めていく弾。
関係ない、関係ない、関係ない……!!
邪魔を――――するな!!
「ぶぁあッ!!」
息とともに放つ拳。
防御……なんて、一緒に砕いてやる……!!
邪魔をするな、邪魔をするな――――
「どぉけぇえええええええええッ!!!!」
腰を限界まで捻り上げる。
鞭のように、鋭く、疾く、しなやかに蹴り上げる……!!
「だァッ!!」
衝撃、爆発。
勢いよく吹き飛ばされても、関係ない。
私のお姉ちゃんを――――ギン姉を返せよ……!
それから、それからお前らを毀してやる……!!
立ち上がってシリンダーを排除。
替えのシリンダーの装填中、周囲を爆発が包む。
体がよろける。視界の端で、ギン姉を入れた箱が持ち去られていく。
ダメだ、行かせるもんか。
「うぅあっ」
ギシリギシリ。
走り出そうとして、また爆炎に押し止められる。
邪魔を――――邪魔をォッ
「邪魔ァ……!!」
ゴキキ! ギギギギッ。
フレームが軋む。肌が張り裂けていく。人工筋肉がはち切れていく。
関係ない。関係ない。ギン姉はきっともっと痛い。これくらいで弱音を吐いてちゃ、いつまで経ってもギン姉に心配をかけちゃう。
だから、私ももう立派なんだよって言いたいから、私がギン姉を助けるんだ。
取り戻すんだ――――!!
「すんなァ――――――――アッ!!!!」
防御を張られる。関係ない。
殴って、殴って、殴って殴って殴って殴って。
蹴って、蹴って、蹴って蹴って蹴って蹴って。
ぶち破ればいい、ぶち毀せばいい――――!!
「うあああ!?」
やった、やっと、やっと破れた。
これでギン姉を追える。今ならまだまだ間に合う!
「いか、せぬ……!」
何かが聞こえ、気がつくと正面に針山のようにダガーが壁を作っていた。
一瞬後には、全てが私に襲いかかって来る。
《Protection!》
マッハキャリバーが咄嗟に防御を張ってくれた。
ジャケットもパージしてまで、ダメージを抑えてくれた。
そうだ、まだだよ。もっと、ギン姉を――――
「返せ…………ギン姉を、返せよォ!!」
「ッ!」
ギン姉に届くまで走るんだ。
私のこと、きっと心配するから、心配ないよって教えてあげたいから、私は――――!
「セインさん到着ぅ!」
「助かった……!」
するり、と敵が地面の中へ消えていく。
消え、た。もう、追えない?
「あ、あああ……うああ」
《The main body was... The system re st s(本体全損、システムダ ウ ン)》
「うぁあ、あああ、うわあああああああああああああああああッ!!!!」
ギン姉、ギン姉……!!
なんで、なんで……なんでこうなっちゃうんだよぉ!!
もっと強くなりたいって、情けない自分を変えたいって思ったのに、なんでこうなっちゃうんだよぉ!!
「うああああああああああああああああああああ!!!!」
なんで、なんだよぉ――――!!
ちくしょう……、ちくしょォ……!!
私は、私はなんでこんなに、なんで、強くないんだよ……ぉ!!
「ああ、うあああああッ」
「スバル、スバル!!」
一瞬、我に返って横を見ると、ティアがいた。
なのはさんも隣に立っている。
…………ティア、ティア……!
「私、わ、たしィ……!!」
「もういい! もういいから……!!」
ギン姉…………。
ごめん、なさい…………!
Act:4−3 end
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
俺のライフが忙しさでマッハなんだが? あと拍手レスをしたのは確定的に明らか
ども、草之です。
どうやら『東方陰陽鉄』にハマってしまったようです。
まだ全部見てませんが、20ちょっとまでちびちびと。あぁ、何やってるんだ。他にすることなんて色々あるだろ、自分。暗譜とか暗譜とか暗譜とか……!!
ていうか、帰宅時間が平均11時半ってどういうこった。
部活が本番前になってきたのでかなりハード。ていうかトンフルのせいで練習が少なくなってしまったのもある。野外活動ぐらいOKにしといてくれないか……。
まぁ、その時間帯で、岸和田周辺で自転車に乗って「隣に…」を熱唱してるアホがいたらそれは草之です。だって、人がいないと歌いたくなりません? 寂しいし。そういってるわりには悲恋歌なのにね、「隣に…」って(笑)。
さて、そんなことは割とどうでもいい。
この一週間、まともに作品に手をつけられていません。
ということで、とりあえず更新予告。
『優星』を来週水曜日までに更新予定。
『背炎』を来週土曜日までに更新予定。
あくまで予定ですので遅れる場合もあります。
あしからずご了承ください。
では以上草之でした。
以下、拍手レスです。
どうやら『東方陰陽鉄』にハマってしまったようです。
まだ全部見てませんが、20ちょっとまでちびちびと。あぁ、何やってるんだ。他にすることなんて色々あるだろ、自分。暗譜とか暗譜とか暗譜とか……!!
ていうか、帰宅時間が平均11時半ってどういうこった。
部活が本番前になってきたのでかなりハード。ていうかトンフルのせいで練習が少なくなってしまったのもある。野外活動ぐらいOKにしといてくれないか……。
まぁ、その時間帯で、岸和田周辺で自転車に乗って「隣に…」を熱唱してるアホがいたらそれは草之です。だって、人がいないと歌いたくなりません? 寂しいし。そういってるわりには悲恋歌なのにね、「隣に…」って(笑)。
さて、そんなことは割とどうでもいい。
この一週間、まともに作品に手をつけられていません。
ということで、とりあえず更新予告。
『優星』を来週水曜日までに更新予定。
『背炎』を来週土曜日までに更新予定。
あくまで予定ですので遅れる場合もあります。
あしからずご了承ください。
では以上草之でした。
以下、拍手レスです。
その優しい星で… Navi:26
「もしもし」
『ん? あぁ、アテナか』
「お久しぶりです」
挨拶もほどほどに、本題を切り出すことにした。
まぁ、お話しするって言っても私はそこまで口がうまくないから面白くはないでしょうけど。
「今日灯里ちゃんがお泊りするみたいなんですけど、連絡はしてましたか?」
『いや、初耳だ。ちょうど今買い物から帰って来たところなんだが……あぁちょっと待ってくれ。テーブルの上に書置きがある』
ことん、と受話器を置く音が向こう側から聞こえ、衛宮さんの足音が遠ざかって、近づいて、最後に紙の音が聞こえた。
書いてあることを棒読みで流しながら、彼は「だそうだ」と言って受話器の向こうで笑った。
「そうですか。私じゃ頼りないかもしれませんけど、ちゃんと面倒は見ますね」
『この前みたいに面倒を見られるようなことにはなるなよ?』
くつくつと意地悪そうに笑われながら、それがレデントーレの時のことなんだと解った。
アミちゃん、きっと将来はいいお嫁さんになるんだろうなぁ。
あんな小さいのに面倒見が良くて、優しいし、可愛いし。きっと学校でも人気者に違いない。
「そういえば、アリシアちゃんはもう帰ってますか?」
『いや、まだだな。今日は久しぶりに夜の方にも予約を入れたから、帰ってくるのは8時か……9時前になるだろうな』
「そうですか」
『なんだ? 用件だけなら聞いとくぞ?』
「いえ、ちょっとお話ししたくなっただけですから。いないんならいいんです」
そうか、とそれ以上のことは言わず衛宮さんは黙ってしまった。
別に彼に用事があるわけじゃないんだけど、なんとなく、もうちょっとお話ししたくなった。
「……アルトリアちゃん。あれから連絡は取ってるんですか?」
『いや……。もともと連絡手段なんて持たないような奴だからな。メールも電話も、行き先も分からない』
言った内容とは裏腹に、なぜかそこまで悲しそうには聞こえなかった。
現実的な色恋沙汰なんてこんなものなのだろうか。別に恋愛に理想を抱くような――――恋に恋してるわけじゃないけど、少し気になってしまった。
「衛宮さんはそれでよかったんですか?」
『ん?』
「あ、ごめんなさい」
『あぁ、いいよ。謝らなくても』
言ってから後悔した。
なんで衛宮さんを責めるような言葉になってしまったんだろう。離れ離れになって、一番つらいのは彼の筈なのに。
私、ちょっと無神経だな……。
『連絡は取ってないし、写真なんて色着いたモノもないけどさ。なんていうんだろうな……今になって寂しくはないんだ』
「そう、なんですか?」
『あぁ。そうなんだ』
電話の向こう側で、苦笑いしている彼の顔がありありと浮かんだ。
なんだか、私が励まされてるみたいになってきてる。別に励まそう、とか思って話していたわけじゃないんだけど、なんだか悪いな、こういうの。きっと衛宮さんは気になんてしてないんだろうけど、ちょっぴりへこむ。
「お互いに、それで納得したんですね」
『正味、俺はまだそこまで踏ん切れてるかどうかはわからない。たす……行かなくていいなら、行かせたくなかった』
「……本当に好きだったんですね」
『そう言われると照れるな。まぁ、正味どころは分からなくても、納得はしたつもりだ』
「強いですね、衛宮さんは」
『そうか? 俺なんて、中身を開けてみれば小さい奴だと思うがな』
衛宮さんは自分の事を小さい奴だと言った。
でも、私からすれば彼は本当に強い人で、大きくて……。
「……小さな巨人……」
『ん? なんか言ったか?』
見えもしないのに首を振りながら、いいえ、と言う。
彼は、なんでこんなにも遠いんだろう。いや、彼自身、自分を遠くから見ているだけなのかもしれない。だから自分の事を『小さい奴』っていうのかも。
今度、ちゃんとアリシアちゃんに言っておかなきゃいけなくなっちゃった。まぁ、もしかしなくても、彼女はとっくにそのことに気が付いてるのかもしれないけど、うん。
衛宮さんが自分自身を近くで見れない分、私達がちゃんと近くにいてあげないといけないのかもしれない。
主に、アリシアちゃんとかが。
「先輩、食堂行きますよ〜?」
「あ、うん。それじゃあ、また」
『あぁ。またな』
受話器が向こう側で置かれるのを待ってからこっちも置いた。
横にはアリスちゃんと、灯里ちゃん。仲よさそうに話すふたりは本当に楽しそうで、少し嬉しい。
今日の食事は、ちょっと賑やかだ。
* * * * *
「ふぅ……」
受話器を置く。
時計を見れば、少ない会話ながら結構な時間話していたらしい。
「……さて、今日はひとり分少ないな」
さくさくっと食事の準備を進めていく。
もう出来上がるというところで、聞き慣れた声が下から響いてきた。
「おかえり」
「うふふ。ただいまかえりました」
「もうちょっとで出来上がるから、適当に座って待っててくれ」
「手伝いますよ?」
「仕事から帰ってきた人をすぐに働かせるほど俺は出来てないつもりはないよ」
「あらあら。なら、お言葉に甘えて」
すとん、とテーブルについて、小さな子供のように体を揺すりながら鼻歌なんかを歌っている。
そういえば、アテナが巧い巧いって言われているからあんまり聞くことはないが、アリシアだって人並み以上に舟謳は巧い。まぁそれでも別次元なのがアテナなわけだが。
「……そういえば、灯里ちゃんにアリア社長はどうしたんですか?」
「あぁ、どうもアリスのところにお泊りするらしい。だから今日は俺とアリシアとだけだな」
「へぇ、そうなんですか………………そーなんですか!?」
「きゅ、急にどうした?」
何でもありませんよ、といつになく上ずった声で返事をしてくるアリシア。
危うく驚いて器を落としてしまうところだった。
それにしても本人はなんでもないと言っているものの、アリシアがここまで取り乱すのも珍しい。
灯里とアリア社長がいないと何か、あるのだ、ろ…………まさか。
「アリシア……。もしかしなくても、俺がなにか変なことするんじゃないか、とか思ってないか?」
「へぇっ!? へ、変なことってどんなことですか……っ?」
「はぁ、やっぱり。俺はそんな奴じゃないから、安心しろ」
どう安心しろ、というのかは俺自身にもまったく分からなかったが、とにかく、そういうことをする気は毛頭ないのである。
というよりも、そうやって見られていた、ということに少なからずショックを覚える。そこまで信用ないか、俺って。
……まぁ、もう若くはないが、年頃の男がいればそう考えるのも不思議じゃないけどさ。
「ちょっと、くらいなら……」
「んー? なんか言ったか……?」
「え? い、いえ。何にも言ってませんよー?」
どうも落ち着かないようである。
言ったのが拙かったか。ん、やっぱり昔から言われてた「デリカシーがない」というのはこういうことを言うのだろうか。むしろ空気を読め、ということなのか。……悪いが、俺には一生分かりそうにもないな。
開き直るわけじゃないけど、今度から出来るだけ気を付けるとしよう。そうしよう。
「……さ、出来たぞ。そうだな、灯里達もいないし、久しぶりにお酒でもあけるか?」
そう訊いておきながらだが、実は結構酒に合う料理をチョイスしていたりする。
勧めておきながら自分が飲む気満々だな、これ。いやはや恥ずかしいことだ。
「うふふ。いいですね、お酒。あけましょう」
とんとん、と軽い拍子で冷蔵庫へ駆けていく。
瓶5本ほどを抱えて帰ってきたのを見る限り、あまり飲むと言うほど飲まないらしい。アリシアにしては。
「明日も予約ありますしね。ちょっとした息抜き程度のものですよ」
嬉々として、食事に手を付ける前に1本目をあけた。
並々とグラスに注ぐと、今度はどうやらお酌もしてくれるらしい。こちらに瓶の口を向けて、グラスを待っていた。
その行為に少し笑いながら、ご厚意に甘えてグラスを向けると、同じように並々と注いでくれた。
ちょん、とグラスを手に持ってニコニコしながら待つ様は、早く飲みたいと言っているようであった。
「それじゃ、乾杯」
「乾杯」
かちん、と綺麗な音をたててグラスを打ち合わせる。
中のお酒がこぼれそうになるのもご愛敬、ずず、と啜って量を減らし、それから半分ほどまで飲み干す。
対して、アリシアはくいっとお猪口でも煽るようにグラスを傾けると、一気に全部を飲み干していた。相変わらずのうわばみである。
「……」
「……」
黙々と食事が進む。
灯里や社長がどれだけ俺達の会話の繋ぎになってくれていたかがありありとわかってしまう瞬間だ。アリシアは決して口数が多いわけじゃないし、俺は話上手でもなければ気の利いたセリフも出てはこない。
別に気障ったらしく会話するつもりはないのだが……。
「ふぅ……」
「早いな、アリシア」
2本目を飲みきっていた。
食事が始まってまだ5分と経っていない。アリシアはなぜかやたらと飲んでいる。
3本目の瓶をあけ、グラスに注いでは飲んでいる。ひとりで椀子蕎麦でもしてるようにも見えてくる。
「お、おい。そんなに一気に飲んだら……」
「あらあら。大丈夫ですよ、うふ、うふふ」
「全然大丈夫そうに見えないんだが……」
アルコールの回りがやけに早い。というか、アリシアが酔い始めているところを初めて見た気がする。
いつもならどんなに飲んでも頬に軽く朱がさす程度なのに、今は鼻頭まで赤くなり始めていた。
止めた方がよさそうだ。
「ほら、今日はもうやめとけ。明日に響く」
「ん。明日、休みたいです」
「馬鹿言うな。明日はちゃんと予約が朝から入ってるんだぞ? …………もしかして、気分がすぐれないのか? なら、俺からちゃんとお客さまにはキャンセルの電話も入れるし……」
突然どうしたんだろうか。
今まで、どんなことがあっても自分から「休みたい」なんて言わなかったのに。
一応、熱があるかどうかだけは見ておく必要があるな。体温計はどこにあったか……。
立ち上がって体温計を取りに行こうとすると、くいっと袖を軽い力で引かれた。
「……士郎さん。今日、もう酔っちゃって帰れそうにないです」
「それだけじゃないだろ。本当に風邪とかじゃないのか?」
ふるふると首を横に振りつつ、袖を摘む指に力が入った。
アリシアが見上げてくる。潤んだ瞳と、火照った肌。その仕草がどうにもいつもの落ち着いたアリシアのものではなく、年相応、という彼女があまり見せない一面だった。甘えたい。そんな欲求がひしひしと伝わってくるようだった。
どうにも、らしくない。
「…………しろーさん」
「お、ちょっと……アリ、シア!?」
ずいずいと酔った勢いなのか、何なのか……。立ち上がったアリシアはどんどん距離を詰めてきた。
俺は一歩一歩歩み寄って来るアリシアを正面に、一歩一歩退いて行く。だが、摘まれていた筈の袖は、いつの間にかがっちりと腕を組まれていた。動けない。
「しろーさん……私……私」
「ちょっと待て……! 落ち着け、アリシア!」
虚ろな瞳に、俺が映っているのが見えるほどに近づかれる。はぁ、はぁ、と少し酒臭い吐息もすぐそこに聞こえる。
こちらまで当てられてしまいそうな臭気と、やけに色っぽいアリシアの表情。
このまま流されてもいいのではないか、とまで思いたくなってくる。だが、それでいいのか衛宮士郎。
「アリシア……!」
張り付いていたアリシアをぐっと突き放す。
「はぁ……はぁ……」
アリシアの言葉を待たず、掌を額に当てようとすると、はっとしたアリシアはすぐに俺の手を払いのけようとしたが、そう簡単にはいかない。ぐいぐいと力を込めて押し返そうとしてくるものの、俺の力には逆らえない。
「…………っ」
じゅっと音が出そうなほど熱かった。酒で火照っていることを除いても、だ。
掌が当てられた瞬間にアリシアは諦めたのか、申し訳なさそうに肩を寄せ上げ、俯き加減に顔を伏せてしまった。
腹が立った。無性に腹が立った。
「アリシア、なんで言わなかったんだ」
「……しろーさん。私、だって……」
「だって、じゃない……! すごい熱じゃないか。どうして黙ってたんだ!?」
「心配、させたくなくて……」
――――呆れた。
ガシガシと音が出るほど頭を掻いてから、ため息をついた。
アリシアはやっぱり顔を合わせようとはせず、俺は軽くアリシアのデコをはたいた。ぺちん、と可愛い音がして、アリシアは何が何だかわからない、という顔をして見詰め直してきた。
「……ばか」
「あっ」
今度は俺がアリシアを引っ張る。
ぐいぐいと引っ張って行って、灯里が寝泊まりしているベッドまで連れてきた。
「ここで待ってろ」
座らせるだけ座らせて、さっさと準備を始める。
氷枕に、冷水、手拭い、飲み水と一通りのものをベッドの横に運んでから、アリシアの着替えを取りにアパートまで走って行く。
それらしいパジャマやネグリジェ等を腕いっぱいに抱えて帰って来ると、アリシアは慌てて、
「そ、それくらいは自分でします……!」
と、腕いっぱいの着替えを奪ってしまった。
確かに、着替えてるところやらこういう服はあまり見ていいものじゃないことぐらい、分かってるつもりなのだが……。
心配なのだ。
「じゃあ、着替えたら呼んでくれ」
「あ……はい」
階段を降りて、もう一度ため息を吐く。
どうして一目見て分からなかったんだか……。それともアルコールが切っ掛けで出てきたとかか?
どっちにしても気がつけ馬鹿野郎……。
「し、しろーさーん?」
「あぁ、今行く」
不安げな声で呼ばれた。
それを放っておくことも出来ずにすぐに駆け付けるとする。
「じゃあ、今日はもう寝て、明日の予約は俺が断っておく」
「だ、大丈夫ですっ。寝たらよくなりますから、キャンセルしなくてもいいですよ」
「馬鹿。風邪は治ったって時が一番気をつけなきゃならないんだぞ? いいから、寝てろよ」
無理矢理ベッドに寝かせて、掛け布団をかける。
アリシアは顔を半分ほど埋めて、こちらを見上げた。
「すいません」
「全くだ。風邪なら風邪だってちゃんと言え」
今度こそ顔を全部埋めてしまった。
じゃらら、と氷枕が鳴る。
「頭、痛くないか?」
「大丈夫です。冷たくて、気持ちいいです」
「体は? だるいとか、怖気がするとか」
「ないですよ」
「喉は乾いてないか?」
「はい。着換える時に少しだけ飲んだんで、大丈夫です」
「なんか軽く食べるものいるか? 飯の途中だったからな、腹は減ってないか?」
「もう、大丈夫ですってば」
迷惑そうな口調とは裏腹に、その顔はとても嬉しそうだった。
しばらくは黙って横にいたが、どうも俺がいると落ち着いて寝られないらしい。さっきからそわそわと忙しない。病人に無茶をさせてはいけないな。……そろそろ降りておくか。
「――――あ」
「ん?」
階段に向かおうと椅子から立ち上がった時だった。
どこかしら切なそうに、アリシアが声を漏らした。
「……あの、寝るまで……私が、その」
「…………りょーかい。いるよ、アリシアが寝ても。隣にいる」
「あ……はい。ありがとうございます……」
ほぅっと、少し固かった表情が和らぐ。
とろんとした眼のせいでいつもの優しい笑顔、と言うわけではなかったが、ほにゃりとしたやわらかな笑顔をくれた。
それから、ただなにも話すこともなく、濡らした手拭いが温かくなったら冷水に浸して冷まし、アリシアの額にのせる、という行為を続ける。
アリシアはさっきまでの妙な緊張はどこにいったのか、安心しきった表情でこちらを見ている。
「しろーさん」
「何だ?」
「うふふ。呼んだだけです」
「そうか」
こうやって俺をからかい始めたところを見る限り、それなりに落ち着いてきたらしい。
酒が効いたかな。風邪の症状が出てしまったのは酒で酔ってしまったせいかもしれないが、逆に、酒を飲んで全身の体温を上げ、代謝を高めることでより早く快方へ向かっているのかもしれない。
飲んで正解だったのかもな。
「…………しろーさん」
「何だ?」
「んみゅ……すぅー……」
「……寝言か。子供みたいな寝言だな」
まるで、親に甘える娘のようだ。
そんなことを考えて、ふと違和感が残った。
――――親、か。
「……ありがとう、アリシア」
「すぅ……すぅ……」
なんとなく、お礼を言っておきたかった。
一晩中、アリシアの隣で、アリシアだけを見つめていた。
* * * * *
「……う、ん……」
目を開けると、自分のアパートの天井じゃなかった。
懐かしい、下宿時代の朝一番の景色だった。それなのに気持のいいことがないのは、汗でべたべたになっているからだろう。
「…………しろーさん?」
見回してみると、部屋のどこにも彼の姿がなかった。
昨日、寝る前のまま、部屋は整えられている。下の階からも朝食を作る音もしない。
風邪のせいじゃない。ぞくりと背筋が凍ってしまいそうな気がした。
「し、しろーさんっ」
慌ただしく階段を駆け下りていく。窓から見える空はまだ暗く、ちょうど夜明け前らしい。
こんな時間にいなくなるなんて、絶対におかしい。
「お」
「あ」
――――そんなわけがなかった。
冷水が入った器を持ちながら、呆然と私を見下ろしてくる士郎さん。その視線に、どうしてだか少し腹が立った。
「おはよう、アリシア――――っと!?」
有無を言わさず、士郎さんの胸に飛び込んだ。
背中に腕をまわして、力いっぱいに抱きしめる。汗でぬれた体や服のことも気にしないで、全身をなすりつけるように。
胸に顔をうずめながら見上げると、士郎さんは困惑した顔つきでこちらを見ていた。
「ど、どうしたんだ?」
「士郎さん」
「お、おう」
「風邪ひいたときって、とっても心細くなるんです。知ってましたか?」
もう一度ぎゅっと抱きしめる。すると、士郎さんは片腕だけだけど、抱き返してくれた。
子供をあやすように後頭部をぽんぽん、と軽く叩かれて……。少し腹が立っていた気分も一気になくなってしまった。
「ごめんな、アリシア」
「いいんです。でも、だから……約束はちゃんと守ってくださいね」
「約束……?」
「隣にいてくれるって、言ったじゃないですか」
「……あぁ。そうだったな。そうだ」
士郎さんがどういうつもりで「そうだ」って言ってくれたのかは知らない。
でも、私は勝手にこう思ってる。
――――私が永眠《ね》るまで、隣にいてください。
とても勝手な、本当にわがままな約束。
一方的すぎて、自分自身でも嫌になるくらいに卑しい約束。
きっとこんな私の思いは彼に伝わっていない。
「…………ちゃんといる。言っただろ、俺もお前に見ていてもらわないといけないんだ」
「そうでしたね」
……一方的?
そういえば、私だけじゃなかった。一方的な約束を取り付けてたのは私だけじゃなかったっけ。
安心したわけじゃない。ただ、嬉しかった。
何が、なのかは自分でもよく分からない。お互いが一方的な約束を取り付けることで、相互の約束になったからなのか。
それとも、ただ純粋に“いる”と言ってくれたことに対してなのか。
「さて、アリシアも起きたことだし、朝食でも作るか。おかゆとかがいいか?」
「はい。士郎さんが作ってくれたものなら」
そうか、と言ってから士郎さんはキッチンへ向かった。
昨日の残りの冷ご飯を冷蔵庫から取り出して、言う。
「あのさ、アリシア。くっつかれてたらやりにくいんだけど……」
「いやです。寂いしいんですもん」
「……〜〜。まったく、怪我しても知らないからな」
「はい」
背中から胸の方へ腕をまわしてぎゅっと抱きつく。
今さらだけど、なんで今日はこんなに大胆になってるんだろう。風邪のせい、だけじゃない気がする。
「……士郎さん」
「なんだ?」
「呼んでみただけです……」
「そうか」
安心する。
こうやって抱きついて、すぐそばにいるととても安心する。
それは、士郎さんが無意識のうちにどこかへ行ってしまいそうな人だということもあるけど、たぶんそれだけじゃない。
いつも近くで見てるけど、ここまで近くにいたことは、たぶん、ない。
良くても手を繋いだくらい。
「出来たぞ」
「もうですか?」
「もうって、10分はあったけどな……」
「え?」
……10分?
そんなにずっと抱きついてたの?
「す、すいません……っ」
「なんでさ。寂しいから一緒にいたんだろ。アリシアが謝ることじゃない」
「あ、う……ほんとですか?」
「あぁ。なんていうか……むしろありがたかった」
「ど、どうしてですか?」
「……どうしても。俺にもわからない。けど、ありがとう」
その一言が、無性に嬉しかった。
だから、その言葉をもう一度聞くことが出来るように……いつも通りに戻ろう。
日は昇り切り、空には小鳥が飛び交っている。
今日も空は青く、雲は白い。波は荒れておらず、静かな波音を響かせている。
「本当に大丈夫なのか……?」
「はい。無茶はしてません」
真っ白な自分のゴンドラに乗り移る。
「ならいいが……」
「士郎さんのおかげでもう十分元気になりましたよ」
体中にちゃんと力は入る。
バランスが崩れるほど疲れてもいない。熱もないし、頭もスッキリしている。
オールを水面につけ、思いっきり漕いでみせる。
「ほら、ね?」
「みたいだな。じゃあ、無理だけはするなよ」
「はい! 行ってきますっ」
「いってらっしゃい」
手を振り合いながら今日もお仕事に出掛ける。
いつも通りの朝。
だというのに、いつもの朝よりも断然清々しい。
境界線が曖昧な地平線を眺めながら、手前にあるサン・マルコ広場を視界におさめる。
絵に残しておきたいと思うほど、輝かしい光景だ。
「お客様、お手をどうぞ――――!」
今日も元気に、お仕事しましょう!
Navi:26 end
テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学
メッシュ。そして拍手レス
ども、草之です。
ここ3ヶ月で白髪が急激に増えました。元々白髪は多い方だったのですが、ヤバいです。
前髪に、下手するとメッシュが入ってるみたいに白髪が……!! 草之はまだ未成年ですよ……?
染めてないんですよ。ワックス類も使うのは嫌いだし。髪自体を痛めつけるようなことはしてないつもりなんですけどねぇ?
ストレスで白髪が増える。
なんてよく聞きますけど、思い当たる節が多すぎる。
ストレスの7割以上が妹絡み。兄を苦労させてくれるな……。
さて、そんなことはわりとどうでもいい。
本当にどうでもいい。
更新予告がこの頃外れ過ぎていて意味をなさなくなってきてしまっている。
これはゆゆしき事態だ。
ということで、来週からわりと楽になってくるので、ここらへんで信用回復と行きましょう!
更新予告です!!
『背炎』を火曜日に更新。
『B.A.C.K』を土曜日に更新。
遅れるなんてことはしたくありません。ていうかしません。今回に限らずしばらくは。
やむを得ぬ事情が入らない限りこれが外れることはありません。
あと雑談になりますが、今回の『優星』の感想でなぜか「小さな巨人」のフレーズが大人気だった(笑)。ミクロマンどうのこうの、から始まって果てはボンボンの作者人がどうのこうの(笑)。
こういう感じのコメントなら許容してますので、もし他の小ネタを仕込んだ回の感想にもぜひ。草之の分かる範囲で熱く語り合いましょう(笑)!
では以上、草之でした。
以下、拍手レス。溜まってました、すみません。
ここ3ヶ月で白髪が急激に増えました。元々白髪は多い方だったのですが、ヤバいです。
前髪に、下手するとメッシュが入ってるみたいに白髪が……!! 草之はまだ未成年ですよ……?
染めてないんですよ。ワックス類も使うのは嫌いだし。髪自体を痛めつけるようなことはしてないつもりなんですけどねぇ?
ストレスで白髪が増える。
なんてよく聞きますけど、思い当たる節が多すぎる。
ストレスの7割以上が妹絡み。兄を苦労させてくれるな……。
さて、そんなことはわりとどうでもいい。
本当にどうでもいい。
更新予告がこの頃外れ過ぎていて意味をなさなくなってきてしまっている。
これはゆゆしき事態だ。
ということで、来週からわりと楽になってくるので、ここらへんで信用回復と行きましょう!
更新予告です!!
『背炎』を火曜日に更新。
『B.A.C.K』を土曜日に更新。
遅れるなんてことはしたくありません。ていうかしません。今回に限らずしばらくは。
やむを得ぬ事情が入らない限りこれが外れることはありません。
あと雑談になりますが、今回の『優星』の感想でなぜか「小さな巨人」のフレーズが大人気だった(笑)。ミクロマンどうのこうの、から始まって果てはボンボンの作者人がどうのこうの(笑)。
こういう感じのコメントなら許容してますので、もし他の小ネタを仕込んだ回の感想にもぜひ。草之の分かる範囲で熱く語り合いましょう(笑)!
では以上、草之でした。
以下、拍手レス。溜まってました、すみません。









