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2010-01

アウグーリオ・ボナーノ

ども、草之です。
男三人の友人宅からの更新になります。
新年一発目がこれでいいのかという気にもなりますが、まぁ、いいでしょうよ、細かいことは。
と、いうことで。
 
新年明けましておめでとうございますっ!
 
ア・ハッピー・ニュー・イヤー!
アウグーリオ・ボナーノ!
 
去年一年はたくさんのコメントと拍手の数々、そして人の輪の広がり。
本当にありがとうございました。
 
そして今年一年も、どうぞ『歯車屋敷』と草之敬をよろしくお願いします。
今年はいろいろと挑戦したいこと、することがあります。
そのためにこちらの更新が今以上に不安定になることがあるかもしれません。
ですが、今以上によりよい作品を書いていくことを目標にすることに変わりはありません。
 
ということで、今年最初の更新でした。
 
以上、草之でした。
ありがとうございましたっ!!
 
 
 
 
 
追伸。
拍手レスは後日させていただきます。
 
 
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テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

背徳の炎  track:31

 
 「待たせたなっ!!」
 
 見目麗しき少女たちと共に、砂浜を駆ける。
 あっちを見ても、こっちを見ても、どこを見ても水着だヒャッホーゥ!!
 
 跳ねる水しぶき、弾ける笑顔。照らす太陽はさんさんと。
 
 「まーぶしぃーぜー! ははははっ!」
 
 しかも、ネギを覗けば男は俺だけ。なんて天国。
 と、考えてもいいんだろうか。なんせ、相手は中学生。喜んでいいのかが、とても微妙だ。
 福眼であることにはかわりない。だって可愛いから。
 
 「いやー、それにしてもアヤカちゃんがここまでのお金持ちだとは思わなかったわ、俺」
 
 「それはどうも――――……、じゃなくて、なんでアクセル先生までいるんですのっ!?」
 
 「流れだよ流れ。気にしたら負けだし、怒ったら可愛い顔が台無しだぜ、アヤカちゃん」
 
 「あやかちゃんって呼ばないで下さいませんかっ!?」
 
 「あれ、そう? じゃあ、アヤカで」
 
 「よ、呼び捨てぇぇ――――!?」
 
 あはは、面白い面白い。
 適度にアヤカちゃんをいじりつつ、しか……もとい、保護責任者として、みんなが安全に遊べるように、常にみんなのことを視界に納めておく。
 それにしても、男の俺が言うのもなんだけど、本当に無防備だよなー、水着って。
 というか、南国の海と言う環境がみんなを開放的にしてるのかもしれない。ビバ・南国の海。
 初めて仙人のいいなりになっておいて良かったって思った。
 
 「……それにしてもさ、なんで俺のところには誰もこないんだよ」
 
 ヤシの木の下でぼやく。ヤシの実でも落ちてきたら、コメディ的には最高だな、こりゃ。
 と、思っていたら――――
 
 「頭が痛いッ!?」
 
 見事にヤシの実が脳天に命中。いや、ありえないだろ。そう思って振り向くと、機嫌の悪そうなメイがいた。
 
 「ちなみに、メイちゃんとちゃん付けで呼んでいる方がこちらの世界の、呼び捨てが俺たちの世界のメイなのだ」
 
 「誰に説明してるの、あなた。どうでもいいんだけどさ、なんでボクまでここに来なきゃいけなかったと思う?」
 
 「さてね。もう、みんなから友達だって思われたんじゃない?」
 
 「友達、か……」
 
 なんとなく嬉しそうな顔で、メイが呟く。
 それにため息を吐きつつ立ち上がり、メイの頭をポンポンと叩く。うざったそうに手を払われたのはご愛嬌ということにしておくとして、クラスの女の子の集まりを指さすと、彼女は肩をすくめてそちらにむかって歩き出した。
 それについていくように歩き出すと、じとりと睨まれた。
 
 「なんでついてくるの?」
 
 「翻訳は必要だろ?」
 
 「……まぁ、そりゃあ」
 
 しぶしぶといった様子でメイが頷く。それに笑いかけて、少し後ろをついていく。
 こちらが近づいていくのに気がついたのか、水着姿のみんなが手を振ってくれた。あー、あの子たちが中学生なんて嘘だよなー、まったく 
 
 「アクセルせんせー楽しんでるー?」
 
 「おう、楽しんでるぜー」
 
 「メイちゃんって結構着やせするんだー」
 
 「?」
 
 マキエちゃん、アコちゃん、アキラちゃん、ユウナちゃん、サクラコちゃん、マドカちゃん、クーちゃんの7人に囲まれて、メイがあたふたとこちらに助けを求めるような視線を送ってきた。
 それに笑いながら翻訳してやると、自慢げに胸を張っていた。言われてみれば着やせしてるよなぁ。
 
 「ねぇねぇお兄さん、イルカさん呼んでも大丈夫かなぁ?」
 
 「イルカさん?」
 
 「そ。山田さんとか、五所川原さんとか」
 
 「あー、あの子らって呼べるの?」
 
 「呼べるよ。呼んだらみんなで遊べるじゃん」
 
 「いや、待って待って。俺的には呼んでくれても問題ないんだけど、仙人に聞いただろ? こっちの世界じゃ、そういうのはご法度なんだって」
 
 「んー、ケチ、イイじゃん別に」
 
 「よくねえよ!」
 
 英語でぺらぺらとしゃべっているからか、ある程度勉強のできる子が集まっているこの集団でも理解している子はいなさそうだった。それはそれで都合がいいんだけど。
 とりあえず、メイには呼び出さないことを言い聞かせておいて、俺は翻訳係としてそばで遊ぶことにした。
 砂浜で遊んでいるメイは楽しそうに笑っていて、翻訳の俺がいることで意思の疎通も出来たいたみたいだし、まぁ、結果オーライというところかね。
 とりあえず、普通に遊べてるんなら良かった。別れとか、今から気にしててどうするって話だよ、まったく。
 
 「アクセルせんせー審判してよー」
 
 「おー、いいぜ」
 
 ということで、ビーチバレーが始まった。
 チーム分けは、クーちゃん・アコちゃんチーム対メイ・マドカチーム。
 さすがのメイもビーチバレーのルールくらいは知っているようで、説明しようとしたらかなり睨まれた。
 おとなしく審判をすることにしよう。
 
 「んじゃ、アコちゃんサーブ!」
 
 「よっしゃー、行くでーっ」
 
 それー、とビーチボールが弧を描いてマドカちゃんの真ん前に落ちていく。
 これをチャンスと取ったマドカちゃんが綺麗なトスを上げる。
 
 「ゴー! メイちゃんゴー!」
 
 「O.K!!」
 
 だん、と踏み切ったメイは、砂煙を巻き上げながら、ネットをゆうに飛び越え、まるでイルカのジャンプを見ているような気分になった――――ってオイ!?
 バレーボールらしくない“ドスン”という音を響かせ、クーちゃんアコちゃんチームの砂浜に突き刺さった。
 突き刺さったという表現がおかしいのはわかってるんだけど、そうとしか見えないから困る。
 いや、笑いごとじゃなくて。
 
 「ちょっと何してんの!?」
 
 「なにって、ビーチバレーだよ。でも、力加減難しいなー。ちょっと割りそうになったよ」
 
 楽しそうに笑っているメイ。
 楽しそうならいいんだけど……ってよくはない。
 どうすんだ、これ。どう説明したら……って、ンな心配はいらなかったっけ。超人的なもんなら、この子らは受け入れちゃうんだもんなぁ、ったく。そもそもクーちゃん自体、とんでもなく強いんだっけ?
 
 「す、すごいアル、メイ!!」
 
 「カワイイし、チアリーダー部に入らない!? そのジャンプ力は魅力だわ!!」
 
 「なに言ってるアルか! この力は中国武術研究会にこそ入るべきアルね!!」
 
 「じゃあ、水泳部とかもどうかな」
 
 「えっと、えっと……サッカー部は?」
 
 「ジャンプと言えばバスケだよ!」
 
 「じゃあじゃあ、新体操とかもいいんじゃない!?」
 
 いつの間にか勧誘が始まっていた。
 わいのわいのと騒いでいるただ中で、メイが助けてほしそうにこちらに視線を寄こした。
 残念だが、割って入れるような余裕はないんだな、これが。無理に入ったらなんか言われそうだし。
 
 とにかく、がんばってくれと手を振るだけしかできなかった。
 うん。平和だ。
 
 「お、覚えてろっ! このーッ!!」
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 「君をここに呼んだのは他でもないのじゃ」
 
 「どうしたというのですか?」
 
 私こと、カイ・キスクは学園長の呼びかけに応じ、学園長室にまで足を運び、その内容を聞こうとしているところだった。なにやら不穏な空気が漂っている。これはただ事ではない。
 力強く頷いて、なんでも言ってください、と視線で私の意思を伝える。
 
 「実はの」
 
 「はい」
 
 「フランス語の教師をしてもらえんかのー?」
 
 「……確か、今夜は新月でしたか」
 
 「ちょっと待って、待つのじゃ、なんじゃその据わりきった目は!?」
 
 フランス語の教師。まぁ、確かに、それくらいなら受けないこともない。
 だが、そうなると、ディズィーさんは誰が見るというのだ。そもそも、私は日本語が話せない。
 確かに、クリフ団長から少しは習ってはいたのだが、それもほとんどよくわからない単語ばかりを教えられ、とてもあぶないものだ。
 軽々と頷ける案件ではない。
 
 「冗談はさておき、私の今の生活環境を鑑みてもそれは少し無茶です。出来ないとはいいません。しかし、問題が多すぎると思うのですが」
 
 「そうじゃのう。たしかに、あのGEARの少女と、日本語かのう」
 
 「わかっていながら、なぜ私に言うのですか。確かに、フランス語が出来そうなのは私くらいでしょうけど、外部から雇うなど、やり方もあるでしょう?」
 
 「聖ウルスラの教師なのじゃよ。女子高じゃぞ?」
 
 「……なおさら、なぜ私にいうのですか」
 
 「だって君にはディズィーちゃんという子がもうすでにいるじゃろ? 手の出しようがあるまい」
 
 「なっ!? か、彼女と私はそのような関係では……っ」
 
 不敵に笑う学園長には、なにを言っても無駄のようだ。
 そもそも、学園長から聞いたソルの予測では、もう間もなく帰られるとの話ではないか。なぜそんな人物を採用しようとしているのだろうか、このお方は。
 クリフ団長もそうだったが、ご老人の考えることはよくわからない。
 
 「とんかく、受けるつもりはありません」
 
 「そうかのぉ。それはこまったのぉ。どうしようかのぉ」
 
 これ見よがしに困った困ったと連呼する学園長。
 こうなると弱いのが私の悪い癖と言うか、なんというか。お人好しなんだろう。
 
 「臨時」
 
 「ほ?」
 
 「臨時教師としてなら、考えなくもありません。担当するのは一クラスだけ、期間も学園祭が始まるまで。それまでにそちらでも教師を見つけ、しっかりと引き継ぎが出来る様に手配してください。それで手を打ちましょう」
 
 「ほ、ほほっ! そうか、やってくれるかのぉ!」
 
 まんまと誘導された気がしないでもないが、まぁ、言ってしまったのだから仕方がない。
 それに、本当に困っていたらただの冷徹な馬鹿者になってしまう。臨時とはいえ、しっかりやらせてもらおう。
 人に座学を教えるのは騎士団時代にもやっていた。それほど難しくもないだろう。
 相手が淑女ばかりだとはいえ、こちらは教える身。厳しく行かなくてはな。うん。
 
 「ところでカイ君」
 
 「あ、はい。なんでしょうか」
 
 「惚れられぬように気をつけてのぉ。こちらが困っちゃうんじゃよ」
 
 「ほ、惚れ……あの、どういう意味ですか?」
 
 「どうもこうもないわい。これは大事なことじゃ」
 
 「教師と生徒がそのような……断じてありえません」
 
 「そうかの。ならいいんじゃ。受けてくれて助かった、改めて礼を言わせてもらうとするわい」
 
 そう言って、学園長は深々と頭を下げた。
 こういうきっちりしたところを見れば、人格者であることがうかがえるというのに、遊び心が過ぎる。
 少し、懐かしくもあり……か。
 
 「それでは後日、詳しいことを聞きに訪ねさせてもらいます」
 
 「うむ。すまんかったの、呼び出して」
 
 「いえ」
 
 学園長室を出る。
 廊下を歩く間、どうしても女子の視線が気になってしまう。なぜ学園長という立場でいながら女子中等部に学園長室を設けているのだろうかと甚だ疑問だ。大学部にでも設ければいいものを。
 
 学園から一歩出ると、すぐ目の前には街が広がっていた。
 日本らしいものではなく、どちらかというと西洋風のそれらは、異国・異時間にいるなかで、落ちつける要因のひとつになっていた。
 出来れば、ディズィーさんも一緒に歩いて気分を晴らすことが出来ればいいのだが、そうも言っていられないのが問題ではある。
 
 異形の羽根と尾。
 今は、エヴァンジェリンについて早朝に散歩をしているが、人のいる街といない街では、その感覚が違う。
 それでも楽しいと微笑む彼女を、私は直視できないでいる。
 学園長が言うには、学園祭中なら仮装行列が出ているので心配する必要はない、と言ってはいたが、それもどこまで信じていいのかが、今の私にはわからない。
 そもそも、学園祭まであと一ヶ月以上の時間がある。それまでディズィーさんをエヴァンジェリンのログハウスに閉じ込めておけというのか。
 それこそ、私の心の方がどうにかなってしまいそうだ。
 
 「おや、カイじゃないか。どうした、暗い顔をして」
 
 「む。エヴァンジェリ……ええ!?」
 
 「本当、どうしたんですか、カイさん」
 
 目の前には、エヴァンジェリンと、ディズィーさんがいた。
 例によって、早朝に出かけるときによく着ているゴスロリファッションだった。
 エヴァンジェリン曰く、「かさばっていて羽根と尻尾が隠れやすい」とのことだが、よく似合っていたりするので、これはこれで目のやりどころに困ったりする。
 ――――じゃなくて!
 
 「なんで出てきてるのですか!?」
 
 「そう心配するな。バレんよ。認識阻害の魔法薬を染み込ませた布で出来ている。魔法使いの常套手段さ。まぁ、本物の認識阻害魔法と比べると、見劣りするものではあるのだがな。ボロン、と出てしまえばお終いさ。それ以外、少し見えた程度では誰も気にせんよ」
 
 「それなら、いいのでしょうけど……。ディズィーさん、あなたもそうだ。少し不用心がすぎます」
 
 「あ、はい……。すいません」
 
 「あ、いえ」
 
 まただ。
 クセになってしまっているのかもしれない。
 もっと優しい言葉をかけてあげられないのか、私は。
 楽しいですか、とか、似合ってますよ、とかあるだろうに。
 
 「ほらほら、また暗い顔をしているぞ」
 
 「……すいません」
 
 「はぁ。坊やと言い、お前と言い、クソ真面目なのはいいんだがな、もうちょっと融通を利かせて生きられんのか」
 
 「出来れば、いいんですが」
 
 「ち」
 
 エヴァンジェリンは舌打ちして、ずいっと顔を近づけてきた。
 いかにも不機嫌そうな顔をしている。
 
 「な、なんですか……」
 
 そう訊くと、彼女は楽しそうに顔を歪めた。
 このうえなくいたずらな笑顔だ。
 
 「ふふん? ディズィー、私は用事を思い出してしまった。こいつと先に帰っていてくれないか」
 
 「あ、はい。いってらしゃい。気を付けてくださいね」
 
 「ああ、それではな」
 
 「ちょっと、エヴァンジェリン!?」
 
 おいてけぼりにされてしまった。
 最後に、彼女の口が声を出さずに唇だけが動いていたのを見たが、「がんばれよ」とはどういうことなのか。
 まったく、どうもこうも…………。
 
 「…………」
 
 「それじゃあ、帰りましょうか。カイさん」
 
 緊張するなと言う方が無理な話だと思う。
 それにしても、これからどうしろというんだろうか。
 と、とりあえず、話を……。
 
 「た、楽しいですか?」
 
 「? はい。毎日が新鮮で、とっても楽しいですよ」
 
 「さ、寂しくは、ありませんか?」
 
 「……はい。少しさびしいです。でも、メイさんもカイさんもいますし、それにエヴァンジェリンさんにもよくしてもらっています。あと茶々丸さんに、チャチャゼロさんにも。お別れも、確かに悲しいでしょうけど、お別れがあるなんて、当り前ですものね!」
 
 「――――」
 
 言葉がなかった。
 なんて強いんだろう、と思った。
 この人は、とても強い。とても尊い。愛しい。
 ああ、この恋は、禁忌に触れる。理解している。理解はしているが、納得はしたくない。
 なぜならば。
 
 私はとっくに、彼女に心惹かれてしまったのだから。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 「……何の用だ」
 
 「御挨拶だなソル。私とお前の仲じゃないか」
 
 「お前となにかをする仲になった覚えはねえな」
 
 「いいから付き合え。飲みに行くぞ」
 
 「昼間からいい趣味してやがる」
 
 そう言いながらも、ソルは私のあとについてきた。
 子供についていく野郎というのも、なかなか面白い絵面だな。
 
 「お前、その格好で酒場に入るつもりか」
 
 「おっと。そうだな、ふむ。手を出せ、ソル」
 
 「ああ?」
 
 しかめっ面――はいつものことか。いつも通りの表情を崩さず、ソルは私を見下ろしてきた。
 そうか、こいつにはある程度説明しないといけないのか。くそ、面倒だな。
 
 「とりあえず簡潔に説明すると、お前の血が必要だ。魔力を補充する」
 
 「……やめとけ」
 
 「あん?」
 
 やめろ、ではなく、やめとけ?
 どういう……ああ、そういうことか。
 
 「なら、私はジュースでいい。いくぞ」
 
 「チ」
 
 「なんで舌打ちをする。いいからいくぞ」
 
 結局酒場からは追い出され、仕方なくいつもソルが使っているオープンカフェでお茶をすることになった。
 無愛想な表情で椅子に座ったソルの正面に、私が座る。いつものポジションだった。
 なるほど、いつもの、などと言えるほどにまで関係が長くなっていたのか。気がつかなかったな。
 
 「コーヒー」
 
 「私は紅茶でいい」
 
 ウェイターもすでに見慣れたのか、自然な態度で店の中へ戻って行った。
 それにしても、ここの順応速度にはいつもいつも驚かされる。そういう魔法でもかけてるのか、ここは。
 
 「ところで、ソル」
 
 「…………」
 
 無視されるのも慣れたものだ。
 相槌をうっていないだけで、こいつはしっかりと話を聞いている。
 
 「学園祭、どうするつもりだ?」
 
 「どうするだと?」
 
 「ジジイの話によれば、お前らは世界樹の魔力を利用して元の世界に帰るつもりだと言っていたが、それだけで十分なのか、と訊いているんだ」
 
 「…………」
 
 なにかを考える素振りを見せたとき、ウェイターがコーヒーと紅茶を運んできた。
 相変わらずの気の抜けた笑顔を向けてから帰っていく。それを見送ってからソルに視線を戻してみると、いかにもな態度でコーヒーを飲んでいた。
 
 「予想のうえでは、大量のエネルギーだけで事足りる。が、保険は必要だろうな」
 
 「その保険とやらの見当はついているのか?」
 
 「…………」
 
 ふむ?
 紅茶を一口飲む。相変わらず、味はいい。
 仙人はもっと露骨だったが、なるほど、ソルの態度を見て理解した。
 だが、訊いてみたとて素直に話すとは思えんしな……さて、どういったかたちで聞き出してやろうか。
 取引をするにしても、こちらは十分な情報を持ち合わせてはいない。持ち合わせていたとしても、それがこいつらの有益たりえるかは不明瞭。
 偶然にしては、面白くない状況だな。
 
 「お前、隠してることがあるだろう」
 
 だから、素直に訊いてみた。
 コーヒーを飲む手が止まり、ヘッドギアから覗く赤い瞳が獰猛に光る。
 
 「……だったら、どうした」
 
 「個人的にとても気に入らない」
 
 「ガキが」
 
 「まぁ、そう言うな。どうだ、教えてはくれないのか?」
 
 コーヒーを飲む手がまた動き始める。
 しばらくの沈黙ののち、ソルの口が動いた。
 
 「俺の世界では、魔法が一般的に知れ渡り、誰もがその万能性に惹かれ、すがった。俺もその一人だ。……だが、人はその身に余る力で、GEARを造り出した。結果世界は混乱し、死は蔓延し、未曾有の未来がより予測のできない、歯車が噛み違ったような運命のうえに立たされた。『魔法』は罪だ。人類が手にした、二つ目の知恵だ」
 
 「ふん。罪の果実か。なるほど、それで、それがどうしたというのだ?」
 
 「この世界と俺の世界の『魔法』の定義は違う。だが、『魔法』という単語の存在は間違いではない。つまり」
 
 「この世界が、お前たちの世界の過去である可能性がある、だと? ハ。馬鹿馬鹿しい………………待てよ、お前らの世界で、魔法が世界に広まったのは、いつ頃の話だ?」
 
 「理論化の初めての成功例は2010年。認知され始めたというのなら、それ以前ということになるだろう」
 
 「今年が2003年。時期的に考えても……おかしくはない、か」
 
 「……何の話をしている?」
 
 「…………これは、どうするかな」
 
 はっきり言って、口止めされている。
 超の計画。魔法を全世界にバラし、未来で起こったなにかを食い止めるために動いているのだという。茶々丸を強協力に出しているが、私は干渉していない。中立を貫くつもりでいた。
 もし、ソルがこれを知れば、間違いなく今すぐ行動を開始するだろう。
 ソルやイノの話にもあった日本消滅。それを考えれば、この麻帆良の住人の大半が死んでしまっても釣りがくる。
 こいつはすべてをかけて、超を殺しにかかるだろう。
 
 どちらに転んでも絶望の未来とは、この世界もとんだ運命の道を往くらしい。
 だが、とすれば。
 明確に解っている未来と、不明確な未来。
 どちらを取ると訊かれて、取るとすればどちらだ?
 
 「すまない。時間をくれないか」
 
 「……急げ」
 
 ダン、とテーブルをたたいて、ソルは立ち去って行った。
 ソルがテーブルをたたいた場所を見ると、コーヒーと紅茶の代金が置かれていた。
 クソ、どうしろというんだ。
 
 私の選択で、今この瞬間の命が左右され、その後の時間の命すら左右される。
 一介の吸血鬼が背負うにしては、重すぎる十字架だ。
 
 「くそ……訊くんじゃなかった」
 
 後悔しても遅い。
 今の会話を『おかしくない』と言ってしまってはなお遅い。
 イライラする。胸焼けがひどい。吐きそうだ。どうしたというのだろうか。
 今まで殺してきた命なんて、塵芥ほどある。だが、それとは違う。それは理解しているし、納得もしている。
 だからこそ、だろう。
 
 「あー、くそ。訊くんじゃなかった」
 
 禿げてしまいそうだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
               track:31  end
 
 
 
 
 
 

テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

夢想回廊

それはきっと、あなたにも体験しうる『夢』の世界。
こんな夢の世界を見れたら、あなたはきっと幸せです。
なぜならそれは、『夢』、だから。
 
  
よおこそ、『夢』の回廊へ。
 
 
 
 
 
 

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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

改めまして、あけましたおめでとうございます。

ども、草之です。
今日になってやっと新年のご挨拶になります。
と、いうか、あれです。
拍手コメント・コメントを一気に返信したいと思います。
以下、拍手レスから。
 
では簡潔ではありますが、以上草之でした。
あけましておめでとうございますっ!!
 
 
 

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テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

B.A.C.K   Act:Last-3

 
 『……来るか、塵芥』
 
 夜明けよりもまだ早く、夜と言うには遅すぎる。
 彼方の空に、地に、ヴィルヘルムは動く気配を感じ取っていた。
 閉じていた翼を大きく広げ、眼下の森が大地が空が鳴動する。
 次の瞬間、ヴィルヘルムの影が肥大した。
 
 肥大した影は、次々に形を整えて行く。
 現れたのは、数百という『サベージ』の群れ。ヴィルヘルム自身の別れ身。
 が、それ一個体が意思を持ち、それ一個体が生命を持っている。
 単純な分身などではない。まさに、生成・創造とでも言うのだろうか。
 
 その群れの中には、地上本部を強襲した際に出現した、桁外れのサイズを持つ竜までもが2体ではあるがいた。
 天地数千の大部隊と、数百の竜の群れ。あまりにも、戦力が違いすぎていた。
 
 そのうえ。
 
 『愚かな屑どもに、これは我からの手向けの砲だ、受け取れ……!!』
 
 光が凝縮する。
 蒼昏い夜明け前の空の色が集まり、ヴィルヘルムの翼に抱き込まれていく。
 光が、飽和する。
 
 『おおおおおおおああああああああああああああああ!!』
 
 音が消える。
 光だけが支配する世界。ヴィルヘルムから放たれた光の柱は空間を砕きながら突き進む。
 まるでそれ自体が生物であるかのような鳴動を引き連れながら、まっすぐにアースラを狙う。
 
 「ユークリッド指揮官!」
 
 「耐えられる! シールドを前面に集中展開!! キャロ、ルーテシア!!」
 
 『了解ですっ』
 
 その殲滅砲撃を、迎え撃つはヴォルテールと白天王。
 
 「全部隊射線から退避しろ! 着弾10秒前!!」
 
 ヴォルテール、白天王からもそれぞれの殲滅砲撃が放たれる。
 赤炎と紫炎の砲撃で蒼天の砲撃を受け止め、減衰した威力の砲撃をシールドで弾く。
 しのぐための方法は、これだけだった。
 
 「全員対ショック態勢、砲撃の終点を突撃の合図とする!!」
 
 蒼天の砲撃はふたつの砲撃と拮抗し、しかし何でもなかったかのようにそれを貫き突き進んでくる。
 アースラと砲撃の間には、もうシールド一枚を残すのみ。
 
 「来ます!」
 
 アースラが飲まれる。
 生物じみた砲撃に、大口を開けたそれに、アースラが飲まれる。
 モニターが真っ白に染まり、なにもかもの音が食い尽くされていく。
 終わりの見えない砲撃は、それだけで周囲の部隊員や六課部隊員の士気を喰い千切るように削っていく。
 
 おおん、と大気を震わせながら、砲撃が終わった。第二波がくる様子もない。
 ただその瞬間。たった一発だけで、この作戦のほぼすべてが失敗に終わったといっても過言ではなかった。
 誰もが口をつぐみ、誰もが目に光を失っていた。
 その全員に、無意識に共通意識が生まれた。
 
 ――――勝てない。
 
 元より勝ち負けの戦闘ではない、ということを伝えていたはずの本作戦。
 しかし、誰もがユークリッドの言葉に、それぞれの上司、または指揮官の言葉に心震わせていたのもまた事実。
 それが、すべて、ことごとく。
 
 たった一撃の砲撃で崩壊させられた。
 
 実際、そのヴィルヘルムの砲撃は、地上部隊の約3割、航空部隊の約2割を重傷、死亡状態にしていた。
 直撃ではなかったというのに、その砲撃に纏われている衝撃波で仲間が次々と堕ちて行く。
 たった一発。たった一発に宿る覇気と、すべてを征服する威圧感。心の葛藤。“死”の恐怖に震える身体。
 さっきまで隣で高めあっていた仲間が、今目の前で炭と化しているその事実。
 
 老いも若いも、強者も弱者もなく。
 その存在の前では、すべてが蹂躙の対象。
 
 “永遠の疾駆者”皇竜ヴィルヘルム。
 
 勝てるわけがなかった。
 諦めるしかなかった。誰もが手に持った杖や槍、剣といったかたちのデバイスを取り落としていく。
 誰も口が開けない。
 誰もが、“死”を享受した。
 
 
 ただ、一部を除いて。
 
 
 「――――てッ!!」
 
 アースラに纏わりつく煙の中から、何かが聞こえた。
 小さなそれは、次第に大きく。敵砲撃による衝撃でノイズが混じる通信が、次第にそれをとらえて行く。
 
 「震えよッ!! 恐怖ではない、勝利の戦慄きに、その手を震わせろッ!!」
 
 強大な魔力の奔流。
 虹にも似た、光の奔流。アースラを取り巻く黒煙を、その光たちが払う。
 
 まだ、全員が諦めたわけではない。
 人は望む生き物だ。だが、望めば叶うわけでもない。
 それははたして、人という生き物の在り方。
 
 人は、望み叶える生き物なのである。
 
 「機動六課、スターズ01、高町なのは!!」
 
 「機動六課、ライトニング01、フェイト・T・ハラオウン!!」
 
 「機動六課部隊長、ロングアーチ00、八神はやて!!」
 
 「スターズ02、ヴォルケンリッターが“鉄槌の騎士”ヴィータ!!」
 
 「ライトニング02、ヴォルケンリッターが“烈火の将”シグナム!!」
 
 「ヴォルケンリッターが“湖の騎士”シャマル!!」
 
 「ヴォルケンリッターが“盾の守護獣”ザフィーラ!!」
 
 「“祝福の風”リィンフォースⅡ!!」
 
 「“烈火の剣製”アギト!!」
 
 「“竜毀の姫騎”クリームヒルトと……」
 
 「“銀雲の騎士”ユークリッド・ラインハルト!!」
 
 攻撃部隊、本隊。
 機動六課隊長陣を中心に構成された、最強の小隊。
 大半の隊員が士気を削られた今でもなお、その輝きは大きくまばゆい。
 
 誰かが息をのんだ。
 誰なのかはわからない。ただ、それでも、と落としかけていた杖や剣を握る者がいた。
 希望は、まだ失われていないということ。
 
 相手が例え絶対死の体現者であろうと、燃え始めた火を消すには足りない。
 一人ひとりがロウソクの火のごとく小さな存在だとしても、その数数千。
 
 「希望はまだ、ここに燃えている……ッ!」
 
 消えかけていた火も、それぞれが寄り添い合い、その火は繋がる。
 大きく大きく。天に、地に、世界に焼き付ける生命の猛り。
 
 「全軍突撃、オレに続けェええええええええええええええええ!!!!」
 
 決死戦は、始まった。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 隊員たちが息を吹き返した。
 お通夜のような雰囲気だった部隊が、たったこれだけのことで目に目に光が戻っていく。
 雄叫びをあげて、水平線の向こうへ特攻していく。
 改めて、ユーリの口のうまさ、もとい心の動かし方には感心する。
 
 「さぁさぁ、ワタクシたちは、敵の大将までひとっとびしますわよ!!」
 
 ごおん、と魔力を響かせながら環状魔法陣が展開していく。
 幾重にも重なっていく環状魔法陣が、まるで砲身のように伸びていく。
 
 「全員、フィールド系の防御魔法を全開にして、空気との摩擦熱を防いでくださいませ。特に防御の薄いフラウ・ハラオウンと、湖のは入念にお願いしますわよ!」
 
 クーの合図と同時に、全員がせっせと丹念にフィールドを纏っていく。
 得手不得手関係なく、出来るだけ強く分厚くを心掛けて張っていく。その中で、ユーリとクーがなにかを話していたのが気になったのだが、作業に集中していたこともあってよくは聞こえなかった。
 問いただそうとしても、きっとはぐらかされる。なら、全てが終わってから改めて訊くとしよう。
 ならば、生き残らねばな。
 
 「準備は出来ましたか?」
 
 クーが全員をぐるりと見回す。それに全員が頷いて返すと、満足したように彼女は笑った。
 
 「では順番にここを通りぬけてくださいまし。発射間隔は3秒、一番はヴォルケンリッターの面々、次に隊長方、最後にワタクシとユーリが飛びます」
 
 いわく、生存確率の高い者の順番らしい。ユーリが最後なのは、クーとのユニゾンがあることと、バルムンクが最終兵器であることからとのことだ。
 誰もがそれに頷き、いよいよ、飛ぶ時間が来た。
 
 巨大な戦艦並みの大きさを持つ『サベージ』の姿が、遠くにはっきりと映る。
 地上部隊は航空隊と『サベージ』との中間地点。航空隊は錐状に展開、アースラを引っ張るように飛んでいく。おそらく、先陣は地上部隊に追いついた頃だろう。
 ヴォルテールと白天王は、先程の砲撃が破られると同時に全速で突撃。今や斬り込み隊として機能している。
 あの2体が『サベージ』の数を減らしてくれれば、それだけでこちらの有利に戦況が傾く。
 
 あの巨大な『サベージ』2体を、それぞれが抑えてくれれば、断然マシになる。
 
 「では、ヴォルケンリッターの面々、準備はよろしくて?」
 
 頷き返す。
 ヴォルケンリッターの状態は、正直あまりいいとはいえない。
 ヴィータに至っては、デバイスはグラーフアイゼンではない。一般支給されている、ベルカ術者用の槍型デバイスだ。
 『ゆりかご』の駆動炉破壊の際に、グラーフアイゼンが大破したとのことだった。その上、彼女自身、胸に大穴をあけたままの戦闘になる。回復はしたが、穴がふさがっただけで、からだの内部までは完治していない。
 また、ザフィーラは病み上がり。万全には程遠い。
 私はというと、アギトという新たな仲間がいるとは言っても、『ドラッヘン・ズィン』の反動で全身の筋肉が悲鳴を上げ、骨もいつ折れてもおかしくはないほどに軋んでいる。
 この私たちを支えるのが、シャマルだ。
 彼女自身も病み上がりではあるが、今回は、完全なフルバックとして動いてもらう。
 戦闘空域から、戦闘している者の傷をリアルタイムで治癒していく。並大抵のことではない。だが、やらなくてはならないのもまた事実。
 これを伝えたときのシャマルの顔は、強く美しかった。
 
 「私から行く。アギト、ユニゾンだ」
 
 「合点だ!」
 
 アギトも、内心気が気ではないだろう。
 昨夜、地上本部へ帰ったときに、彼女は一目散にゼストを探しに行った。帰ってきた彼女とともにいたゼストは満身創痍。もともと事切れる寸前の身体だったものを、無理矢理命をつなぎとめているだけだ、と医師は言っていた。
 つまりは、危篤状態。アギトがいうには、前々からこうだったという。
 本当は一緒にいてやりたいだろうに、彼女は気丈にもこう言った。
 
 『アタシも出る。ダンナに、アタシの炎を見せてやるんだ。帰ってこれるように』
 
 灯台になる、と。
 
 「《ユニゾン・イン!!》」
 
 立ち上がるは、炎の翼。
 烈火の将はまたさらなる火を加え、烈炎の将へと。
 
 「《お―――――おォッ!!》」
 
 加速補助用の環状魔法陣をくぐり抜ける。
 身体に纏ったフィールド系の防御膜が火花を散らしながらガリガリと削られて行く。
 真っ白な視界を抜けた。眼下に広がる景色が、まばたきひとつでコマを飛ばしたように変わっていく。
 前を向くと、私が飛んでいるという感覚がなくなった。
 むしろ、引き寄せられているという錯覚すら覚える。
 
 何秒もなかった。
 まばたきひとつで戦場を飛び交う魔力がどんどん激しくなっていく。
 目標を、肉眼で捉えた。
 
 「行くぞ、アギト――――!」
 
 《って、待てシグナムっ、おかしいぞ!?》
 
 「む!?」
 
 目の前に来た、“巨大な『サベージ』の頭”を思い切り斬り払った。
 弾けたように竜の頭はのけぞり、騎士服に若干の熱を帯びながら戦闘空域に到着した。
 が。
 
 「どういうことだっ、“ヴィルヘルムはどこにいる”!?」
 
 数秒を開けて続けてヴィータ、ザフィーラと竜の身体にそれぞれ一撃を加えながらの到着になった。
 シャマルが来る。それと同時に、もう一体の巨大『サベージ』の方へ目を向ける。
 数百メートルと離れた2体の距離だからよくわかった。
 隊長2人の音速飛行の魔力光は、あちらに向かっている。
 通信を開く。
 
 「ユーリ、どういうことだっ!?」
 
 『…………』
 
 「黙ってないで、なにか言えないのかっ!!」
 
 『シグナム、黙れ』
 
 「ぐ、う」
 
 『…………巻き込みたくない。ただ、それだけだ』
 
 「ユー――――ッ!?」
 
 『シグナム、かんにんな』
 
 「主はやて!? まさか、あなたも知っていたのですか!?」
 
 二人は答えない。
 ただ、主の方は全てを知っている風ではなかった。この分断を知っていただけらしい。
 違う。論点はそこじゃない。
 
 「ふざけるな、ユーリ、貴様ッ!!」
 
 『……知っていれば、お前らは止めただろう。一人でなんて無理だ、とか何とか言ってさ。優しいから、お前らは、優しすぎるから、言えなかったんだよ……!!』
 
 「どういうことだ、お前、なにを……」
 
 『言っただろ、これは決死なんだと。…………認めるよ、シグナム。ありがとう』
 
 「どう……いう……」
 
 『お前のこと、本当に、苦しかった。ミーアとそっくりで、勝手に重ねて、ズレが出来たら拒絶して……本当にごめん。今じゃないと言えない気がするから、先に言っておく』
 
 「おい、やめろッ!!」
 
 『大好きだった、シグナム』
 
 ブツン、と通信が切れる。
 最後の最後、ユーリが見せた笑みは満面の――男に使うのもどうかと思うが――それこそ花が咲いたような笑顔だった。信じたくない。どうして、なぜそんなことを、そんなに嬉しそうに笑って言うんだ……!?
 
 《シグナム! 上だ!》
 
 「ッ――――がァッ!?」
 
 《うあああああああああああああああッ!?》
 
 地面に向かって叩きつけられる。
 そのままたっぷりと数十メートル、木々をなぎ倒しながら吹き飛んだ。
 まだ混乱が醒めない。どうしてだ、どうしてなんだ……!?
 
 上空を見上げる。
 空の色よりも蒼いアイツの魔力光が、明け方の空を引き裂いて飛んでいく。
 伸ばしたくても、その手は重く上がらない。
 
 伸ばしたところで、届かない。
 ヤツは、勝手に、死の淵へと自ら足を踏み入れた。底なし沼にはまるように、刻一刻とその姿が沈んでいく。
 届かない。
 
 《シグナム、おい、シグナムッ!! 砲撃だ、来るぞ、急いで避けろ、馬鹿ッ!!》
 
 どうせ、届いたとしてもヤツは私の手をはねのける。
 邪魔だと、いつもの調子ではたくだろう。
 
 《聞いてんのか、オイ!! 馬鹿シグナム、おいってば!!》
 
 「――――な」
 
 《おいっ、て、え?》
 
 だからどうした。
 届かない。届いたところで邪魔だとはねのけられる。
 だったら、だったらどうするかなんて、選択はたったひとつだけだろう。
 
 「ふざけるなよッ――――、ユーリぃッ!!」
 
 “無理やりにでも、引き上げてやる”!!
 
 「構えろ、アギト!!」
 
 《お、お、え?》
 
 「構えろ、弾き返してやるッ!!」
 
 《馬鹿言ってんじゃねーよ! 劣化版っつったって、あいつらの砲撃はシャレんなってねーンだぞ!?》
 
 「理屈は知らん。道理も要らん。叩き伏せてやる!!」
 
 《無茶苦茶いってんじゃねー!?》
 
 そう叫びながらも、もう避けるには遅すぎることに気づいているのか、アギトは構えを取った。
 
 「火竜……――――ゥ」
 
 一瞬の動作。鞘に納めた剣を、抜き放つ。
 刹那は無限。その一瞬にこそ、乾坤を斬り裂き、一擲の閃きを成す剣閃を放つ。
 紅蓮の炎を湛え、空間が沸騰する。
 
 「一閃んッ!!!!」
 
 バぎぃん!!
 剣先から火花が散る。私程度なら簡単に飲み込んでしまうだろう砲撃にも押し負けず、徐々に徐々にその砲撃の射線をそらしていく。
 
 「《う・おおおッ!!》」
 
 弾き返すまではいかなかったが、完璧に射線をずらしてやった。
 大地を踏みしめ、一気に距離を詰める。先程の速度を体感してしまったからだろうか、どうも遅く感じてしまう。
 腕を振り回されても、尻尾を叩きつけられても、古代希少種が扱うのは珍しい細かな魔力弾で弾幕を張られても、噛みつきが来ようと、すべてが遅く感じてしまう。
 なるほど、と感心する。
 
 「うまいトリックだ……!」
 
 私たちが一気に成長したわけではない。
 ただの錯覚。普段体験することのない速度での移動の後に、普段の速度での戦闘。
 遅く感じてしまっても、それは道理だ。
 
 「こいつらを片づけて、さっさと引き上げに行くぞ、アギト!!」
 
 《お、おう!》
 
 希望なら、まだある。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 もう一体の方の『サベージ』から、砲撃が放たれる。
 地面に向かって放たれているところを見ると、どうやらさっき尻尾で叩き落とされた人を狙ったものなのだろう。
 
 「なのはっ!」
 
 フェイトちゃんの呼び声で視線をこちらの『サベージ』へ戻す。
 ゆっくりとこちらを向いた『サベージ』が、拳を振りかぶっていた。
 大きく円を描きながら竜の周りを旋回して避ける。地上本部を襲われた時もそうだったけど、やっぱり大きい。
 ダメージを与えられているのかどうかがわからない。
 
 「キャロが来るのを待つしかないよ!」
 
 「そう、なのかな……」
 
 実際、私もフェイトちゃんも万全とは程遠いコンディションでの戦闘になる。
 そもそもこんなことになるなんて、思ってもみなかった。
 どんな事情があるのかは知らない。知らないけど、言ってくれてもよかったんじゃないかと思う。
 でも、きっと、私は反対していた。
 
 「――――だって、だって一人でだなんて……」
 
 正直、私はユークリッド君のことがあまり好きじゃない。
 嫌いか、好きか? と問われれば、もちろん好きだ。でもそうじゃない。
 いつもなにかを隠して、いつもそれで損をして、それでも嬉しそうに笑う、彼のことが嫌いだった。
 さっきだってそうだ。シグナムさんとの会話。
 なんで、あんな顔をして笑えるんだろう。どうして、どうして……。
 
 「――――助けに、行かなくちゃ!」
 
 「え?」
 
 「キャロを待ってたらきっと間に合わなくなる!」
 
 「なのは、何を言って……」
 
 「レイジングハート、行けるね?」
 
 《Yes》
 
 レイジングハートだって、万全じゃない。
 『ゆりかご』の中で放ったスターライトブレイカー。それの反動が、まだ身体の中でわだかまっている。
 魔法を行使するたびに、ズクズクと言いようのない痛みが襲ってきている。
 
 だけど、行かなきゃ。
 どうしてって、訊かなきゃ。
 
 ユークリッド君を、助けなきゃ。
 
 「エクセリオン!!」
 
 カートリッジの出し惜しみはしない。地上本部から、持てるだけのカートリッジを拝借してきた。
 万全ではない今の、頼れるもののひとつ。
 一気に、4発を炸裂させる。
 
 「バスタァ――――ッ!!」
 
 頭は狙わない。
 小さな的よりも、大きな的、つまり胴体。
 穿て、と願いを込めて砲撃を放つ。
 
 「なのは、無理しちゃだめだ!」
 
 「無理をしなきゃ!!」
 
 「なのはッ!!」
 
 フェイトちゃんの叫びが遠い。
 戸惑いはいらない。ただまっすぐに、駆けぬける。
 
 「ブラスター2!!」
 
 《A.C.S.get set》
 
 ジークフリードのような突撃を、レイジングハートは出来ない。
 けれど、真似事なら出来る。
 ジークフリードのような強固なフレームを、レイジングハートは持っていない。
 けれど、それが可能性なら。
 
 「行くよ、レイジングハート!!」
 
 《Charge!》
 
 旋回軌道から一転。直線軌道で、一気に懐へ飛び込む。
 狙うは、胴体。零距離砲撃……!!
 
 「うわああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
 
 衝撃緩和魔法を展開していたはずなのに、腕が折れるかと思うほどの衝撃が走る。
 だけど、今一歩前進!
 
 「エクセリオンバスターっ、いっけええええええええええええええええッ!!!!」
 
 エクセリオンバスターをショートバスタ―に凝縮。一瞬の威力を爆発的に高める。
 A.C.S.ドライバーから、イメージするのは釘打ち。ふと頭によぎる疑問。どうしてユークリッド君は、これを片手で撃てたんだろう。両手で支えないと、レイジングハートを滑り落としてしまいそうだった。
 
 「――――く、ぅ……ッ、いけ、いけ、いけええええええええッ!!」
 
 続けてカートリッジをロード。もう一発、叩き込む。
 返ってくる衝撃は、確実に私の腕を蝕んでいく。軋む骨と、弾ける筋肉。レイジングハートを握る手の平から、血が滲んでくる。痛い。でも、もっと痛い思いを、きっとユークリッド君はしてる。
 気に入らない。
 だとしたら、なんであんな笑顔を作れるのだろう、と。
 
 「なのは、離脱してっ!!」
 
 「――――え?」
 
 言われて、周囲の状況へ目を向けた。
 攻撃したはずの絶壁のような胴体には、小さな傷があるだけ。それどころか、そこから小さな『サベージ』が顔を覗かせていた。
 
 「っなぁ!?」
 
 さらに外側の状況に目を向けると、ほぼ全方位に魔力弾での弾幕が精製されていた。
 避けられない。防――――
 
 「あ――――」
 
 背中に、灼熱感。
 振り向く。小さな口が、私の背中を噛んでいた。
 
 「ああ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いやだやだやだやだっ!?
 
 「なのはっ!」
 
 「は――――ぁっ」
 
 「大丈夫? なのはっ、なのはっ?」
 
 「ふぇ、いと……ちゃ……」
 
 霞む視界で、彼女を見上げた。
 どうやら、彼女が伸びてきていた口を切ってくれたらしい。
 彼女が言うには、噛み傷だけで済んでいるらしい。最悪型が残るかもしれない、とも言っていた。
 そんなことは、どうでもよかった。
 
 「どうして、来ちゃったの……」
 
 「ほっとけないよ、なのはのこと」
 
 「フェイトちゃんが死んじゃったら、私、悲しいよ……」
 
 「それは私だってそうだよ」
 
 魔力弾は檻のように私たちを包囲している。
 逃げ場はないし、防御しようにも、この数はマズイ。
 八方塞がり。
 死神が、もうそこまで来ていた。
 
 「なら、一緒に死ねれば、きっと悲しくないのかな……?」
 
 「そうだといいね」
 
 抱きしめ合う。
 あたたかい。
 
 ユークリッド君は言っていた“死”は享受するものではない、と。
 ところが、どうだろう。
 “死”はこんなにもあたたかい。
 
 でも、と瞼を閉じる。
 
 「ごめんね、ヴィヴィオ」
 
 彼女のことだけが、心残りだった。
 自然と涙があふれてくる。少しの間だったけど、たしかに私の娘だった子。
 だからだろう。
 
 「ごめんね」
 
 こんなに、自虐的に笑えるのは。
 
 天空から光が落ちてくる。
 霞み切った目では、もうそれが砲撃なのか、包囲していた魔力弾の弾幕なのかすら、わからない。きっと、目もおかしくなってしまっているのだろう。あれだけ蒼かった竜の魔力光が、七色に輝いて見える。
 
 「――――のは、――はッ!!」
 
 声が遠い。
 とおくなる。
 身体の芯からあたたかさを感じる。
 それは、フェイトちゃんのあたたかさとは別のあたたかさだった。
 やさしくて、それでいて、情熱的で、背中が熱い。まるで羽根が生えてくるようだ。
 そうか、きっとこれが――――
 
 「なのはっ!!」
 
 瞬間。虹色の雷が竜を貫いた。
 
 「え?」
 
 《Call connected. Magic supply opening completely. We can still fight.Master,please wake up!!(接続完了、魔力供給全開。私たちはまだ戦えます。マスター、起きてください!!)》
 
 同時に身体に魔力が漲っていく。
 今まで感じたことのない充実感が全身を震わせる。
 これはまるで――――そう、まるで……!!
 
 「風は空に、星は天に、輝く光はこの腕に、不屈の心は――――」
 
 初めて、魔法と出逢ったときのよう。
 
 「この胸に……!!」
 
 《Blaster Limit.Over.Drive》
 
 「ブラスター3!!!!」
 
 自分自身すら吹き飛ばしてしまいそうな魔力の奔流。
 隣で、フェイトちゃんも同じく、真・ソニックになっていた。
 顔を見合す。なにが起こっているのだろう、と。
 なにより、レイジングハートの演算処理能力がおかしい。元から優秀な子ではあったけど、ここまでの処理能力を持ってはいなかったはずだ。
 その証拠に、『ブラスター3』の状態であっても、負荷が通常稼働となんら変わらない状態であることが挙げられる。
 
 答えは、すぐにわかった。
 
 
 
 虹の光が、今だ明けぬ夜空を照らし始めていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                Act:Last-3  end
 
 
 
 

テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

まさか、男まで脱ぐとはな……。

誰も思っちゃいなかっただろうよ。
ども、草之です。なんだかかなりお久しぶりです。
とりあえず、風邪とかじゃなかったんですよ。今日が一応いろいろなことの一区切りだったってだけです。
計算書類が怖いです。
 
ということで、14日に更新されたアルトネリコⅢのスペシャルPV。
目を疑うことなかれ、まさか、男まで脱いているだと……!?
もとい、前衛まで脱ぐというのか、このゲームはっ!!
 
……まて待て待て待て!!
みんな、逆に考えるんだ!!
前衛が脱ぐ=ココナが脱ぐ!!??
 
うおおおおおおおおおおおおお!?
自分で言っといて凄いこと言っちゃったよコレ!!
期待してもいいんですよね、ガストさん!!
しかもアレだ! もしココナが後衛になるなんてぶっ飛んだことになっても、脱ぐことに変わりはないということになっているのだよゲームシステム的にな!!
 
とりあえず、ココナ参戦おめでとう!
どうやら敵になることなく進みそうで一安心です。
さて、システム面でのカオスっぷりというか変態紳士っぷりというか、ピュアな紳士も真っ青な脱ぐシステムは置いておくとして、咲が可愛い。
 
何言ってんだお前、とかそういうレベルじゃなくて、咲がかわいすぎる。
というか、志方さんが可愛い。「けんかはやーめーてー」って! ずんずんにゃんにゃん!
このムービーの中だけで明らかに「CERO:C」を超越してる表現がちらほら。
アオトさんの手がソーマさんの中に!!
 
あとはあれですよ、ヒュムノス。
なによりもKOKIAのヒュムノスが耳にくすぐったいくらいに聴いていて気持ちいい。
歌姫が増えたことで、さまざまな人のヒュムノスを聴けそうな今作。これまた逆に考えると、それだけ物語に関係してくるレーヴァテイルが多いということなのかもしれない。
ううむ。結構情報を公開してるのにストーリーが読めないぜ。
あ、ちゃんと予約しましたよ!
 
 
ゲーム関連で行くと、今草之が結構注目してるのが『ゴッドイーター』。
どうやら、ストーリーが総計60時間を超えるらしいです。
PS3を持っていない草之なので、しばらくはこちらにとりかかると思います。
PS3はいつか買う。きっと買う。箱○だってヴェスペリア買ってから一年越しで買ったんだもん、買うんだもん!
 
 
ということで、久しぶりに更新したと思ったら暴走してた草之でした。
ではでは。
 
 
コメントが、ない……だと!?
 
 

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

B.A.C.K   Act:Last-4

 
 空を見上げると、星の光がまだあかるい。
 夜明けはまだ先だと空が語っていた。
 
 「あら、ユークリッド君じゃない」
 
 「どうも、シャマルさん」
 
 急きょ造られた医務室。
 テントというお粗末ながらに、中身が充実していた。
 次々と運ばれてくる怪我人にもテキパキと対応し、応急処置を施していく。まだ相手がガジェットだったから、怪我とらしい怪我をした人はいないようだったが、重傷者は少なくはなかった。
 極端な状態だった。
 
 「ヴィヴィオってどこにいます?」
 
 「手伝ってくれてるのよ、あの子。休んでなさいって言ったのに、『頑張らなきゃ』って」
 
 そう言われたので、しばらくベッドが並ぶ方を見ていると、ひとり、場違いなまでに小さな看護師がいた。
 キャラメルブロンドの髪がひょこひょこと揺れている様は、見ているだけでたのしい。
 
 「あの子が、どうかしたの?」
 
 心配そうにシャマルさんが訊いてきた。
 いまや全部隊にオレが総括指揮官になったことは伝えられているはずなので、そのことも含めて名指ししたことに疑問を持っているのだろう。
 その心配する心を払拭するように、笑いかける。
 
 「大丈夫ですよ。なにも『聖王になって前線で戦え』とは言いません」
 
 「……どういう意味?」
 
 「……相変わらず鋭い」
 
 迂闊なことは言うものじゃなかった。
 まして、相手があのシャマルさんだ。失敗したな。
 
 「ヴィヴィオ!」
 
 「?」
 
 聞きなれないオレの声だろうと、呼ばれたからには振り向く彼女がかわいらしかった。
 シャマルさんがハラハラした様子で見ているが、知ろうとしたのは彼女だ。
 
 ヴィヴィオを手招きすると、やっぱりひょこひょこと近づいてきた。
 
 「?」
 
 「起きてる君と会うのは初めてだったっけな。ユークリッドっていうんだ、よろしくな」
 
 「あ、は、はじめましてっ、高町ヴィヴィオです!」
 
 「お」
 
 もう、高町性を名乗るのか。
 聞いた話では、まだ正式な養子ではないとのことだが、もうほとんど決まっているようなものだそうだ。
 
 「偉いな、ヴィヴィオは」
 
 「そんなこと、ないです」
 
 「…………なぁ、ヴィヴィオ。戦いたいと、思うか?」
 
 「え?」
 
 「ユークリッド君!?」
 
 シャマルさんを手で制し、ヴィヴィオの瞳だけをまっすぐに見る。
 さすがにうろうろと目が泳いでいるが、ただ、その瞳には力が宿って見える。
 こちらの顔色をうかがいながら、ヴィヴィオは、小さく首を横に振った。
 
 「……そうか」
 
 「怖いからとか、そういうのじゃないんです。私の力が、どれだけ大きいものかわかったから、もっとよく勉強しないとダメだって思ったから……だから、今の私は、きっと戦うべきじゃないと思うんです」
 
 「なら、訊く」
 
 「は、い」
 
 「お母さんのこと、守りたいか?」
 
 「それは、もちろん……そう、ですけど……」
 
 語尾がどんどん小さくなっていく。
 動けない自分を、もどかしく思っているのかもしれない。
 もう一押しか。
 
 「なら、守れ。ヴィヴィオ、君にはそれが出来る。確かに、大きな力は怖い。だが、自分が使う以上、それに恐れていたら、いつまでたってもその力の本質を塗り替えてあげられない。恐怖の力は、その恐怖から救ってあげられるだけの力でもあるんだ。もっと言うと、それが大きな力だと気づき、迂闊に使ってもいいものじゃないと解っている時点で、ヴィヴィオにはその力を使うだけの覚悟があるというんだ」
 
 「出来ません」
 
 「……殺すのか。みすみす、母親を殺すのか?」
 
 「え?」
 
 「こんなことを言うのは、はっきり言って嫌いだ。だが、言う。守ってくれ、オレたちを、お前の母を。頼む、守ってくれ、みんなを、ここにいる、みんなを」
 
 「――――、そ、んな……こと」
 
 「君には出来る。そのための舞台だってある」
 
 「ぶたい?」
 
 「そらに浮かぶ、君の戦艦……『聖王のゆりかご』だ」
 
 「ユークリッド君、いい加減にしてくれないかしら。ヴィヴィオちゃんだって嫌だって言ってるじゃない!」
 
 さすがに痺れを切らしたのか、シャマルさんがそう怒鳴る。
 それを気にせずに、ヴィヴィオだけを見つめ続ける。彼女は助けを求める様にシャマルさんをちらちらと見ているが、それでシャマルさんが何と言おうとやめる気はない。
 
 「ヴィヴィオ、どうしたい。オレは君の決定を否定しない。が、軽蔑はする」
 
 「…………っ」
 
 「ユークリッド君、もうやめなさい。それ以上しても、どうしようもないでしょう」
 
 いよいよシャマルさんは実力行使に出てきた。
 オレの手を引っ張り、テントの外へ連れて行こうとしていた。
 だけど、彼女ごときの力じゃあ、オレを動かすことはできない。
 身体だって、意志だって、きっと誰にも動かせない。
 オレの心はオレのものだし、ヴィヴィオの心だって、彼女のものだ。
 だからオレは、否定しない。
 だけどオレは、軽蔑する。
 
 「…………」
 
 そして彼女は――――
 
 「まもりたい」
 
 首を縦に振った。
 
 「ヴィヴィオ、ちゃん……」
 
 「みんなを傷つけちゃった私の力でも、そのみんなをまもれるんなら、私は戦いたい。みんなのことが好きだから、みんなと一緒に、ずっといたいから……!」
 
 シャマルさんの腕を引っ張る力が弱くなった。
 そっと腕を離す彼女の表情は、間違いなく悲しげだった。
 以前、彼女は言っていた。見守るだけの自分が嫌いだ、と。
 ダメだと言うことしか出来ない自分が情けないのだと。
 なにも言えやしない。それが悪いことなのかどうなのかもオレにはよくわからない。
 ただ、それはきっと間違いじゃない。
 
 「ヴィヴィオ、こっちだ」
 
 「はいっ」
 
 テントの出入り口にむかって歩く。
 その途中で振り返り、シャマルさんに笑いかけた。
 
 「あなたはきっと、誰よりも優しい」
 
 その一言を聞いただけで、シャマルさんはその場に崩れ落ちて泣いてしまった。
 心配そうに彼女を見るヴィヴィオの頭をなでて、ついて来るように促した。
 気にしながらも彼女はついてきて、いたたまれなくなったのか、彼女まで泣き出してしまった。
 
 それをあやしながら、向かった先はヘリポート。
 
 「ヴァイス、準備は出来てるか?」
 
 「もちろんだぜ。ストームレイダーにも場所は確認させた。ガジェットどもがいなくなったからな。ジャミングもなしで、楽だったよ」
 
 「よ、よろしくおねがいしますっ!」
 
 ヴィヴィオが勢いよく頭を下げる。
 それをほほえましく思ったのか、ヴァイスは笑っていた。
 近寄って、耳元で囁くように確認する。
 
 「お前の怪我は聞いた。まだ治ってないんだろう?」
 
 「ヘリ動かすぐらいワケねえよ。それに、ここで動かなきゃみんなお陀仏なんだろ? やるっきゃねえだろ」
 
 「……頼んだ」
 
 ぐっと握手をしあう。それだけのことに、彼は顔をしかめていた。
 苦笑いで返され、こちらも苦笑いで返す。
 
 「今回使うヘリは長距離高速運搬用の中型ヘリだ。ちぃとばかし派手に揺れるが、なぁに、無事に届けてやるよ」
 
 ヴァイスは笑ってヴィヴィオの頭をポンポンと叩いた。
 
 「準備はいいか、今すぐ出発しねえと間に合わねえ距離まで離れっちまった。四半球はむこうだぜ」
 
 「給油機の申請は出したのか?」
 
 「準備は出来てるっていっただろ、ユークリッド隊長さんよ」
 
 見てみろよ、とヘリの中を指さす。
 中には、『ゆりかご』突入後の移動手段であるバイクと、軽い食料が積んであった。
 それに頷いて、あとはすべてを任せるだけになった。
 
 「……死ぬなよ、ヴァイス、ヴィヴィオ」
 
 「おっと、そりゃこっちのセリフだぜ総括指揮官。ま、なるようにしかならんってな」
 
 「お前らしいよ」
 
 目と目で交わし、それを合図とした。
 
 「ヴィヴィオ。お前が、この戦いのキーマンだ」
 
 「はいっ」
 
 「どうかみんなを、まもってやってくれ」
 
 「はいっ!」
 
 ヴィヴィオは勇み足でヘリに乗り込む。
 飛び立つヘリを見届けてから、アースラへ足を向けた。
 間に合うかどうかは、もはやあの二人次第になってしまった。
 
 「…………」
 
 見上げる空は、まだ星を散りばめている。
 だが、もう、始まっている。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 天壌を覆い尽くすは、聖王の駆った大戦艦。
 双月の加護を受けずとも、その砲撃は大地を払い、数多くの『サベージ』を焼き尽くした。
 戦況が一気に傾く。
 巨大な『サベージ』ですら、その脅威にたたらを踏む。
 
 「『聖王のゆりかご』……!」
 
 はやてはアースラの遥か上空をゆったりと進む巨大戦艦を目に、驚きで口を閉じられなかった。
 いつのまにここまで来ていたのか、それよりも、一体誰がどうやって操作しているのか。考え出せば尽きはない。
 だがしかし、それ以上に、その光は輝かしかった。七色の光が暁天を照らし、今だけはその光がなによりも心強い。
 
 「まさか……どうなって……!?」
 
 魔力爆撃による『サベージ』の蹂躙。
 隊長陣らが戦う巨大『サベージ』にも魔力砲撃での援護を行っている。
 
 『地上第一中隊、『サベージ』の殲滅を確認! 戦線を押し上げます!』
 『航空第三中隊、『ゆりかご』に接触を試みてみます!!』
 
 通信が飛び交う。
 混乱することなく戦闘を続けるところを見ると、ナカジマ三佐や、フォルクスの指揮能力の高さがうかがえる。
 それぞれの中隊が途切れることなく行動し、戦闘が拡大していく。
 
 「全部隊、前進! 『ゆりかご』は味方と認識、援護を受けつつ戦線を押し上げんで!!」
 
 アースラ艦橋にも微速前進を指示し、徐々に距離を詰めていく。
 
 「シャーリー、ヴォルテールと白天王の現状は?」
 
 『はい。現在、二体は巨大『サベージ』の手前で、大量の小型中型『サベージ』に足止めされています』
 
 「『ゆりかご』にはコンタクト取られへんか?」
 
 『試みてはいますが、なんせ相手は古い戦艦ですから、周波数特定にちょっと戸惑ってます。あと5分くれればなんとかってレベルです』
 
 「了解や。かまわず続けて」
 
 アースラ周辺には、地上航空両部隊の活躍もあって『サベージ』はいない。
 だといっても、ヴィルヘルムの開戦と同時の砲撃は脅威だった。あれを見ては、警戒せずにはいられない。
 それに、ユーリとクリームヒルトのふたり――ユニゾンしてるから実質一人――だけが戦っているという現状。
 巨大『サベージ』の圧力もある。
 確かに戦況は傾いたと言えるだろう。しかし、それで有利になったか、と言えば否。
 
 圧倒的戦力差は覆らない。
 はたしてヴィルヘルムがどれほどの『サベージ』を生み出せるのかも不明。
 無尽蔵だと考えれば、ジリ貧は確実。
 アースラは武装しておらず、実質的な“戦艦”は遥か上空の『聖王のゆりかご』のみ。
 部隊員の魔力も有限。対して、相手は無尽蔵。
 
 「……ユーリ」
 
 ユーリがはやてに伝えた『言葉』。
 
 『太陽が出れば、それを撃て』
 
 たったそれだけだった。
 たったそれだけの言葉に、どれほどの想いがこもっていたのだろうか。
 それを伝えたユーリの表情は、はやてが今までに見たことがないほど、自嘲や自虐に満ちた笑みだった。
 
 「……シャーリー、コンタクトは出来た?」
 
 『ええっと、はい、今……繋がり、ましたっ!!』
 
 ザリッ、とモニターが荒れると、どんどん映像が鮮明になっていく。
 繋がった先は――――
 
 「ヴィヴィオ!?」
 
 『あ、はいっ!』
 
 なぜかはやてよりもヴィヴィオの方が驚いていた。
 もしかしてどころか、はやてはほとんど直感していたことだが、まさか本当にそうだとは思っていなかった。
 なぜなら、ヴィヴィオは地上本部のシェルターにいるはずだからだった。
 
 「なんでそこおるんや?」
 
 『え、と、ユークリッドさんが……』
 
 「ユーリが……?」
 
 『ちょいと失礼しますぜ』
 
 「ってヴァイスくん!? なんでアンタまでそっちおんの!?」
 
 ヴィヴィオに続いて顔を出したヴァイスに、顎が外れんばかりの勢いで叫ぶはやて。
 ヴァイスはそれに苦笑いで返すと、説明を続けた。
 
 『ユークリッドに頼まれてヴィヴィオちゃんを運んだのはオレです。でも、これだけは言っておきますぜ、八神部隊長。この子は、自分の意思でここに来ている。みんなを助けたいって想いで、この艦を動かしてる』
 
 『そ、そうですっ! 私の力は、このふねを動かせるくらいに大きなものだけど、でもそれは逆に、きっとみんなを助けられるくらいに大きな力でもあると思ったから、ユークリッドさんにそう、教えてもらったから!』
 
 「――――そうか」
 
 だが、とはやては地平線近くに見えるヴィルヘルム本体を見据えた。
 こうなって、ヴィルヘルムが黙って見ているとは思えない。
 『聖王のゆりかご』を放っておくほど、あの竜は馬鹿じゃないはずだ、とはやては考える。
 ミルヒアイスの状態でさえ、『ゆりかご』の船底をぶち破るだけの威力を持つ砲撃を行えるのだ。
 そして開戦の砲撃。全力でないことは薄々気が付いている。
 だとすれば、全力で行われる砲撃は――――
 
 「ヴァイスくん、ヴィヴィオ、もうええ! その艦から降りぃ!!」
 
 『大丈夫ですっ!』
 
 「違うっ!! 墜とされるで、それッ!!」
 
 『――――っ、了解しました! ヴィヴィオちゃん、行くよ! 死んだら元も子のない!!』
 
 通信が切れる。
 脱出まで約10分。
 それだけの時間、ヴィルヘルムが『ゆりかご』を放っておくとは思えない。
 
 「……全部、ユーリの手の平のうえ、かな。――――シャーリー!!」
 
 『はいっ!』
 
 「アースラの砲門と、私たちとを連結準備。超長距離砲撃準備っ!!」
 
 『了解ですっ!』
 
 はやては発動形式をミッドチルダ式に変換。
 よりアースラと同調しやすくする。武装は施されていないアースラだが、砲門は変わらず取りつけられている。
 その砲門を介して、はやての長距離砲撃の射程距離を大きく伸ばす。
 ヴィルヘルムとの差し当たっての距離は、数十キロ。フレースヴェルグなら、はやてとリィンだけでも届く距離だ。
 だが、とはやては考えていた。
 
 フレースヴェルグは確かに射程距離はある。
 だが、威力としてははやての持つ魔法の中で十分とはいえない。
 撃つならば、最高の威力を持つ魔法であるべきだ。
 
 だが、その最高威力の魔法『ラグナロク』は、射程距離がフレースヴェルグほど長くない。
 圧縮放射したとしても、届く頃にはフレースヴェルグ以下のものになってしまいかねない。
 
 だが、アースラという砲門があるなら、『ラグナロク』を届かせることが出来る。
 
 「太陽を撃て、ってことはたぶん、そっちの方向にヴィルヘルムを誘導するってことなんやろうけど……」
 
 《誘導と言っても、あれだけ大きな存在ですよ?》
 
 「わかっとる。やから、どないするつもりなんかなって」
 
 連結作業が進む中、一秒ごとに『ゆりかご』がいつ撃ち墜とされてしまうか、はやては気が気でなかった。
 地平線を挟むむこうでは、まだそれらしい動きは見られない。
 その静けさが、逆に気味の悪い空気を作りだしていた。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 《本当に、よろしいのですか?》
 
 クーがオレに再三の確認を求めてきた。
 それに無言でうなづくと、再び飛行に集中する。
 まばたきを数度して、シグナムらが戦う巨大『サベージ』を通過する。
 視界が白く瞬く。さらに加速。全身に張り巡らされた超伝導外郭魔法膜。それが、加速するたびにコンマ以下の秒数ごとに蒸発していく。
 そして、垣間見える。
 
 「行くぞクー、ジーク、バルムンクッ!!」
 
 《S.S.A.C.S.Full Draving――Ready》
 
 「《スターダストストライクッ!!》」
 
 超音速を超え、極超音速への移行。
 弾丸となる感覚。一瞬が永遠にまで加速される。
 風が刃となり、防御膜を切り刻んでいく。
 
 「《うおおっ!!》」
 
 数百メートルと離れていた距離が、刹那、零となる。
 今までに感じたことのない激動、衝撃、炎、痛み。
 歯を食いしばる。目の奥で火花が散る。腕そのものが吹き飛びそうになる。
 
 『ぐ、ぬぅっ!!』
 
 さすがの衝撃に、ヴィルヘルムが態勢を崩す。
 その隙を、逃がさない。怯まない。退かない。
 
 「気張れよ、ジークフリード!!」
 
 《Yes,sir》
 
 「全・開ッ!!!!」
 
 バがァン!!
 ソニックアクセラレイションバスターのフルバースト。
 反撃を受ける前に、ジークで一撃を喰らわせる。このどてっ腹に風穴を開ける。
 穿つ。ただそれだけを願う。
 
 「クー、行くぞ!」
 
 《待ってましたわっ、ジークフリード辛抱なさい!!》
 
 「《スパークドライブ!!!!》」
 
 さらに加速。
 流動する魔力刃、『滅竜』。
 ジークのドライバーにそれを上乗せし、さらに貫通力を高めていく。極悪な音を唸らせながら、『滅竜』とドライバーがヴィルヘルムの腹に抉り込んでいく。
 ビぎん、と甲高い音が響く。手元のジークにひびが走る。それでも、やめられない。
 あと、一瞬。
 
 「穿ち咲き狂え……ッ!!」
 
 《世界を穿孔せし牙……ッ!!》
 
 「《唸れ、啼け、震えよ!!》」
 
 『滅竜』の力を、全てジークのドライバーへ集中させる。
 飽和する魔力刃。一点に魔力を凝縮。決壊限界の一歩手前までその輝きを強くする。
 
 「《ライトニング・バスターチャージッ!!》」
 
 《IGNITION》
 
 「《フルバーストォッ!!!!》」
 
 螺旋を描きながら、圧縮された魔力が解放される。
 爆発的な光の渦。蹂躙の坩堝。凛と咲く花が如く、その魔力刃は解放された。
 もはやそれは“突破する槍”ではなく、“爆砕する槍”。貫けぬのなら、砕くまで。
 そうして脆くなった場所に、本命を叩き込む。
 
 『小癪な屑がァッ!!』
 
 巨体を揺れで吹き飛ばされる。
 手元のジークフリードはすでに満身創痍。スパークドライブをスカバードではなく、ストライクモードで受けていたのだから当り前だ。
 だが、ジークにはもう一仕事残っている。
 それまでは、ゆっくり休んでもらうとする。待機状態へ戻し、バルムンクを起動させる。
 
 『その剣……、なるほどラインハルトの騎士か』
 
 《あら、ワタクシのことは覚えていらっしゃらないのかしら?》
 
 『お前には蟲一匹一匹の区別がつくのか?』
 
 《……まったく、レディを捕まえて蟲とは》
 
 『もうその剣に対して慢心などせぬ。時間をやらねばただの鉄屑よ!』
 
 翼が大きく羽撃たいた。
 突風が衝撃波となって襲いかかり、さらに距離を離される。
 空中姿勢を正すのと同時、視界を埋め尽くすほどの弾幕が、それこそ絶壁のように展開されていた。
 津波のように押し寄せるそれら魔力弾を、針の穴を通すように避けていく。そうして、ちょうど中頃まで避け切ったかというところで、魔力弾の動きが全て止まった。
 
 「しま――――ッ」
 
 『馬鹿め、正真正銘塵と消えろッ!!』
 
 四方八方前後左右天地上下。
 どこを見ても、光の渦。包まれていく感覚。逃げ道はない。
 ないなら、
 
 「切り開くまで!!」
 
 《Die Furcht!!》
 
 バルムンクを振り抜く。
 ゴぅ、と耳元で風が唸る。フォルムツヴァイ、ブリューエンシュベルト。
 剣と言うには大きすぎるそれを、心眼に構える。
 敵はひとつ。その敵を意中に据える。
 
 「咲け、顎剣!!」
 
 《Explosion!》
 
 カートリッジの炸裂と同時、バルムンクが樋を中心として真っ二つに裂き割れた。
 “刃持つ樋”は、ブリューエンシュベルト本来のカタチになって始めて機能する。
 
 その咲き割れた姿は、大鋏。
 内と外、諸刃の大鋏を大きく掲げあげる。
 
 「狭顎!!」
 
 《Schere des Kinnes!!》
 
 シェーレ・デス・キネス。
 鋏顎の剣閃。カートリッジを2発ロードし、魔力刃をそれぞれの刃へ宿らせる。
 延長し、翼が如く広がる諸刃。両の刃は弾幕を突き抜け、一気に閉じる。
 ザ、ん――――、と巨大な刃がひとつに戻る。
 切り裂かれた弾幕の間を抜けて、さらに刃を振りかぶる。
 
 「《おおおおおおおおッ漆刀壱刃!!!!》」
 
 《Kinn des Schwertes!!》
 
 ジークが抉り取った腹を目掛けて、剣顎を振り下ろす。
 
 『甘ァい!!』
 
 魔力刃の両側から拳を打ちつけ、魔力刃を折られる。
 回転の勢いをそのままに、もう一度魔力刃を展開。
 
 「《まだまだあああああああああああああッ!!》」
 
 今度はその片腕を狙って振り下ろす。
 裏拳気味に払われたそれで、またもや魔力刃が砕かれる。
 だが――――、
 
 《体が開きましたわよ!》
 
 「いけえええええええええええええッ」
 
 『ふんんッ!!』
 
 ガッシャあん!!
 三度目の剣戟は、ヴィルヘルムの顎で噛み砕かれた。
 凝縮された魔力刃を味わうように、竜の顎が動いている。
 表情などあってないようなものだというのに、確かに感じた。
 笑っている。せせら笑っている。
 “屑は屑”だと、人間であることを否定されているような気分になる。
 
 『我とは、神の域。神とは我だ!! 創造主が神なのではない、絶対的蹂躙者が神なのだ、絶対的存在こそが神なのだ、然り、神とは我なのだッ!!』
 
 「御託並べてんじゃねえぞッ!」
 
 『御託を並べてなにが悪い!? お前らには、否定できるだけの力もないだろうがッ』
 
 ヴィルヘルムはそう言って、大空へその翼を進めた。
 その見下ろしている様がまるで、神であることを強調するように。
 
 『届くか、ラインハルトの屑が、ここまでェッ!!』
 
 「《スパークドライブ・フルドライブ!!》」
 
 魔力が一瞬で凝縮、排気、集束、嵐を起こす。
 纏われるのは流動する魔力刃『滅竜』。
 
 「《漆刀弐刃ッ!!》」
 
 バチバチと、半質量を持った魔力が空気との摩擦で鳴く。
 ごぼごぼと水の中へ落ちていく感覚。トーレとの戦いの疲労が残っている証拠だった。手足に水がまとわりつくかのように重く鈍くなっていく。
 ただ、その感覚とは逆に、力が漲っていく。無理矢理強化した肉体は、それでも動いてくれる。
 バルムンクを構える。
 もう、ここまで来て迷いなどない。それはクーもきっと理解してくれている。けどきっと納得はしてくれていないはずだ。オレが誰を好きでいるかを、知っているから。
 
 「《白刃――――、》」
 
 届くか、なんて悠長なことは、もう言わせない。
 誰が何と言おうと、届かせる。届かせなきゃ、ならない。
 届かなきゃ、意味がない。
 
 《Licht Blau Explosion NOVA!!》
 
 「宿れ、邪を薙ぎ払う、恐れとなれッ!!」
 
 《震えよ!!》
 
 流動魔力を、全てバルムンクに叩き込む。
 刃が咲く。二又の剣、大鋏。宿る力は、竜を滅する刃。
 
 「《我が乞うは、蒼き新星の裁き。竜を滅し、灰燼へと帰する天蓋の劫火――――!!》」
 
 断て奔れ。
 
 「《滅竜刃・超新星!!》」
 
 上空から見下ろしてくるヴィルヘルムめがけて、バルムンクを振り上げる。
 まるでそれは断頭台のように、翼刃がヴィルヘルムを挟み込む。
 
 「《狭顎!!》」
 
 はたして、断頭台の刃は閉じ往く。
 長大なそれからは想像の出来ない速度で、それが閉じて往く。
 
 『ふぬぅっ!!』
 
 しかし、それもヴィルヘルムに阻まれる。
 さすがに流動し続けている魔力刃を砕くことはできないのか、両脇から迫りくる『滅竜』を受け止めた。
 ギギ、と手元のバルムンクが軋む。
 
 『っく、この』
 
 万力を締めあげるようにバルムンクが刃を閉じていくものの、ヴィルヘルムは苦しげな声を出しつつも耐えている。
 ヴィルヘルムは両手の平から血飛沫をあげながらの、こちらは軋みをあげながらの力比べ。
 
 『おおおおおおおおっ!!』
 
 「《あああああああああっ!!》」
 
 流動速度を上げる。
 もちろん、オレ自身にかかる負荷も大きくなるが、そんなことを言っている場合ではない。
 あと少し、耐えるだけでいい。
 そうすれば、そうすれば――――!!
 
 《ユーリ、来ましたわよ!!》
 
 「撃ち抜け、ヴィヴィオッ!!」
 
 『な、にィっ!?』
 
 七色の雷撃がヴィルヘルムを撃ち貫く。
 バルムンクが一気に動く。ズるる、と肉を断つ感覚がバルムンクを伝う。
 流動魔力刃『滅竜』が、閉じ切った。
 
 瞬間。
 
 か――――ァッ!!
 音が消え、視界は爆光で埋まる。
 流動し震える魔力素は、下手に集束した圧縮魔力よりも密度が高い。
 それに対し、激しい衝突で衝撃を加えるとどうなるか。
 それが同じだけの高密度の魔力であればどうなるか。
 
 それ自体が臨界点近くでカタチを保っていられているのなら、限界と限界がぶつかりあえばどうなるか。
 魔力の量は倍近くになるが、臨界点は変わらない。
 臨界を超えた、震える魔力素は互いに反応し合い、強烈な融合を繰り返し、震えぶつかる。
 
 ――――魔力反応爆発。リンカーコアの暴走による臨界爆発よりもさらに凶悪な、掛け算の威力。
 
 それが、『滅竜刃・超新星』。
 おおんおおん、と爆発の余韻が空間に木霊するなか、煙の中からシルエットが浮かび上がる。
 
 『ぐ、お、おっ!』
 
 「しぶとい……!!」
 
 爆心から離れていたためにまだ被害は少ないが、オレ自身もダメージは受けている。
 脳がまだ揺れている。耳の奥が痛い。目がかすんでいてよく見えない。
 筋肉が軋みを上げている。骨が数本折れている。肌は黒くくすんでいる。
 
 全身に力がうまく入っていない。
 
 『貴様、キサマきさま貴様ァ!!』
 
 吼える声だけだというのに、それ自体が衝撃波を伴って押し寄せてくる。
 その衝撃が打ち付けられるたび、身体がバラバラに砕けそうになる。
 
 「吼えるなよ、馬鹿に見えるぞ」
 
 いつか、これに似たセリフをはやてにも言ったっけなァ、と他人事のように思い返した。
 バルムンクを持っていられるのが、もはや筋肉の硬直ゆえだと自分自身でも分かる。握っているのではなく、引っかけている、と言った方が正しい。
 今地面に立ってしまえば、きっと次はもう立ち上がれないほどに崩れ落ちてしまうだろう。
 
 『『聖王のゆりかご』だと……!? 小生意気な聖王がまだ生きているのか!!』
 
 だから、動けてあと一撃。
 魔力も、カートリッジも、体力も、あと一撃。あと一撃に、全てを賭ける。
 あと一撃にしか、全てを賭けられない。
 
 『全て貴様か、ラインハルトの屑がッ!!』
 
 白い煙を全身から上げながら、ヴィルヘルムがこちらを恨めしそうに見下ろしてきた。
 それに笑って返すと、あからさまにヤツは歯ぎしりをした。
 
 『これがお前が言う希望か!? ふざけるな、遊んでやれば、これはなんだ、消炭にしてやる、消えろ、消えろ、消えろ消えろ消えろ消えろォ―――――ッ!!!!』
 
 その激情とは違い、澄みきった鐘のような音を響かせながら雲をも突き抜けるような魔法陣を展開し始めた。
 戦場全域から見えるような、すさまじい魔力の猛り。
 
 「そいつを、待ってたぞ……ッ!!」
 
 集まりくる魔力で、夜闇が切り裂かれていく。
 蒼昏き集束。夜の空を吸い込むように、星の光さえ飲み込んでいく。
 
 「《スパークドライブ・フルドライブ――――》」
 
 横取りするように、その魔力の一部をリンカーコアへ集束していく。
 魔力保有の限界点を超えた魔力は自然に身体の外へ逃げ出し、しかし、リンカーコアの引力に引かれまた集束されていく。終わらない集束と排気。回転する魔力は、いつの間にか質量を持つ。
 バルムンクをクラインフォルムに戻し、構えを解く。
 準備は出来た。舞台は終幕へ、そして、幕を下ろすのはオレたち。
 
 《全魔術式拘束具解除しますわよ!!》
 
 「《ゾネリヒトドライブ!!》」
 
 スパークドライブが弾ける。
 鋭い雷撃のような輝きを放っていた面影は消え、ゆらゆらと蒼い炎が噴き出す。
 全身に魔力が奔る。存在だけは知っていた、クリームヒルトのリミットブレイク。
 ゾネリヒトドライブ。
 クリームヒルトが魔術式拘束具を解除し、演算能力を爆発的に高めた結果、今までのような荒々しい制御ではなく、完璧な制御を手にした『竜毀』の力。『竜毀』の刃。流動する魔力素はなめらかに展開し、触れれば全てを焼き斬る葬炎の魔力刃と化した。
 もちろん、彼女の能力以上の演算をしているのだ。リスクはある。
 完全な破壊。ペルソナリティを含め、機能、フレーム、すべてが壊れる。
 それは、彼女の性格を鑑みれば、どんな死よりも耐えがたい屈辱。
 その可能性を背負ってまで彼女は今ここにいる。
 
 「破滅より来たりて、栄華を咲かす」
 
 《栄華導きて、早急な破滅をもたらす》
 
 バきん、と鉄が弾ける音がする。
 バルムンクが、その詠唱に反応している。
 
 「輪廻する運命の護り手」
 
 《輪廻する運命の破壊者》
 
 「《矛盾する運命の天秤、貫くは世界、照らすは闇》」
 
 バルムンクを大きく掲げる。
 瞬間、ヴィルヘルムの集束が結末した。
 
 『させぬぞ、愚か者がッ!!』
 
 光が飽和する。
 光に墜ちていく。
 
 『消し飛ぶがいい、屑がッ!!』
 
 砲撃の音だけが響き渡る。
 音が喰い千切られていく。世界が抉り取られていく。
 『デュルヒ・ブレッヒェン』。
 古代ベルカ語で、『咲き穿つ』を意味し、暗意に『世界を破壊する』ことを意味する。
 虚数空間すら引きずり出すこの砲撃は、まさに世界の破壊者たる覇を持つ。
 
 「《天空を焼き続けるは業深き神の朱。大地を焼き払うは罪深き鋼の黒》」
 
 だが、バルムンクは、その砲撃を放つ“死”すら超越する。
 その砲撃の一部を喰い返しながら、さらにその輝きを増していく。
 
 『ば、馬鹿なッ! ありえん、我は絶対的蹂躙者のはずだ、なぜ膝をつかぬ!?』
 
 「絶対的蹂躙者だか神だか知らねえが、そんなに知りたきゃあ教えてやるよ」
 
 『があああああああああああああッ、黙れ、黙れッ!! 屑に教えられるなどッ!!』
 
 「好きな女を殺させねえためだよッ!!」
 
 『黙れえええええええええええええええええええッ!!!!』
 
 その巨体を活かした特攻で襲いかかってくる。
 それに、バルムンクの一振りで応える。
 拮抗する間もなく、ヴィルヘルムが吹き飛んでいく。
 
 『な、鉄屑が、また我を――――殺すのかッ!!』
 
 最後の詠唱を唱える。
 
 「《ここに君臨せし刃の魔王、我が栄華を見よ、我が破滅を導け!!》」
 
 “バルムンクを拘束する刃が剥がれていく”。
 
 「バルムンク、御剣型拘束具解除――――、リストレント・レリーズ!!」
 
 《Annahme!!(受諾!!)》
 
 天空の輝きが、オレの手に墜ちてくる。
 大地の鋼が、オレの手に刻まれる。
 
 《Form Null.Sonne Schwert Form》
 
 「《震えよ、跪け、刻み込め!! これが貴様の終焉の光だッ!!》」
 
 バルムンクを束縛していた剣型の拘束具が完全にはじけ飛ぶ。
 唸りを上げ、冷徹な光を湛え、しかしそれは、天を焼く劫火。
 
 ゾネシュベルトフォルム。
 バルムンクの真の姿。
 太陽と栄華と破滅の剣、否、太陽そのもの。
 天空を焼いては栄華をもたらし、大地を焼いては破滅をもたらす太陽の姿。
 輪廻する運命の天秤者。
 
 天空を焼き尽くし、大地を焼き払う光が。
 オレに宿る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                Act:Last-4  end
 
 
 
 

テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

いろいろとなにをやっていいのわからない。

ども、草之です。
もうすぐテストが本格的に始まります。終わったテストも授業もあるけど、これからが勝負だ。
 
改めて、『優星』『背炎』の読者様にお詫びを。
『B.A.C.K』が残りわずかとなったので、そちらを一気に更新します。
といっても書き貯めているわけではない。
 
とりあえず、『B.A.C.K』を完結まで持っていくまでは、もうしばらくお待ちください
すいません。
 
 
 
ということで、一番頭の記事にもありますように、草之は合同誌に参加させていただきました。
身に余る光栄。
 
特設ページにも飛べるので、興味がある方はクリック&ジャンプ。
まぁ、草之のなのは系の読者がどれほどいるかは不明ですが、また、その中から合同誌を買おうと思う方がどれだけいるかは不明ですが、ぜひ手に取っていただきたい。
手にとって、読んで、感想なんてくれたら涙がチョチョ切れます。
 
SS作家さんが草之を含めて5名。
表紙を担当してくれた絵師の方は東国四季先さん。(→ぴくしぶ)
スペシャルなゲストが裏表紙を描いてくれているらしい。
 
ということで、また前日あたりにでも宣伝させていただきますよ。
答えられる範囲でなら質問もどうぞ。ちなみに、誰も期待してないだろうけど草之の絵は載っていません。
サークルカットは描かせてもらいましたがね(笑)。
 
 
 
 
ということで、以下拍手レスです。
以上、草之でした。
 
 
 

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テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

B.A.C.K   Act:Last-the lost

 
 いまさらこの選択が間違いだとか正解だとか考えるつもりはない。
 いまから選ぶならまた話は違ってくるだろう。
 だけど、オレはもう選んだんだ。一歩も二歩も、選んだ道を歩いたんだ。
 
 それが崖への一歩なのか、未来への一歩なのかは、この剣が決める。
 死ねば崖。生きれば未来。
 なるほど、栄華と破滅とはよく言ったものだ。
 
 天秤の剣。栄華と破滅。
 秤にかけるものは自らの“命”。傾くのは生か死か。
 
 「これで極める」
 
 静かに、太陽を掲げた。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 それは突然の出来事だった。
 アースラの遥か上空を悠々と飛行する『聖王のゆりかご』が、光に飲み込まれた。
 その十数秒前に、ヴァイスのヘリが降りてきたところを考えると、本当に間一髪だった。
 
 「くぁっ!!」
 
 衝撃波が戦場を襲う。
 『ゆりかご』すら飲み込む光は、遥か地平線から放たれていた。
 上空の『ゆりかご』がその威力と衝撃に耐えきれず、光の中で爆散した。
 巨大な『ゆりかご』のかけらがアースラにむかって墜ちてくる。
 
 「シールドを上部に限定展開! 当たったら終わりやで!!」
 
 『了解!』
 
 『聖王のゆりかご』が崩れ墜ちる様は、まるでひとつの都市が上空で大爆発を起こしたようだった。
 落ちてくる欠片も、ひとつひとつが建造物レベルの大きさばかり。
 ある意味、砲撃よりも怖いものがあった。
 
 「う、わっ!?」
 
 アースラのすぐ隣を艦以上の大きさの欠片が落ちていく。
 こんなんが直撃したら元も子もない。ぺしゃんこなんてレベルの話じゃない。
 
 「アースラ前進や! ここにおったらいつか当たる!!」
 
 『了解、全速前進!』
 
 軽やかな加速を続け、最高戦速にまで加速した。
 
 『あ――――ダメですッ後退します!!』
 
 「どないしてんっ」
 
 『『ゆりかご』の大きな欠片が目の前に落ちてきます!!』
 
 言うが早いか、最高戦速だったアースラが急停止する。
 そうは言っても、減速するまでには時間を要する。後退ともなれば、余計に時間がかかる。
 ごごぉっ! と、数キロメートルという大きさの、欠片というには大きすぎる巨大な装甲が落ちてくる。
 
 「う、あああっ!!」
 
 突風を巻き込みながら、巨大な装甲がものすごい勢いで目の前を落ちていく。
 まるで絶壁が沈んでいくさまにも似て、壮観ではあった。当たらずに済んだことで気が緩んだらしい。そういう楽しみ方が出来ているなら、そういうことなんだろう。
 
 『八神部隊長! よ、横見てください!』
 
 「よこ……あ――――」
 
 砲撃の光ではない、温かな、それでいて力強い光が装甲の向こう側から差していた。
 これが意味するところは、日の出。
 
 「行くでぇリィン、最後の大一番やッ!!」
 
 《はいですぅ!!》
 
 はやてとアースラの砲門とのリンクは良好。
 魔力の巡りも、何もかもが良好。これを撃てば、きっとこの戦いが終わる。
 時間にすれば、たったの一時間もない小さな戦争だった。
 
 その一時間にも満たない戦争の中で、一体どれほどの人が死んでしまったのか、はやてはましてや誰も知らない。
 数千いただろう隊員たちも、今では一体何人生きているのか。
 
 「終わりや、なかったな――――」
 
 《はやてちゃん?》
 
 「これは、きっと始まりなんやよ」
 
 《――――始まりを導く、終焉の笛》
 
 「それを超えて、世界は生まれ変わった」
 
 だからと、はやては落ちていく絶壁の向こうを見据えていた。
 このむこうの太陽を見たとき、一体、世界のなにが変わるのかを。
 一体、なにを変えてしまうのかを。
 
 『八神部隊長、砲門とのリンク完了しましたっ!!』
 
 「詠唱開始――――」
 
 目の前の巨大な装甲も、もうすぐ視界から消える。
 そのとき眼に入るものがなんであれ、はやては迷わないと決めた。
 この杖を振り抜くと決めた。
 覚悟を決めた。
 
 《……砲門のシステム、全把握完了です。連結作業開始しますです》
 
 「シャーリー、コントロールもこっちに寄こしてんか。タイミングはズラしとうないから」
 
 『わかりました!』
 
 はやての目の前で、夜天の魔導書がものすごい勢いでページをめくっている。
 彼女を取り巻く魔力が、次々と眼前へ集まっていく。
 
 詠唱を唱えながら、はやては考えていた。
 昨晩、ユーリに言ったことを考えていた。
 
 『しばらくは恋人続けたってもええんちゃうかなって思ってる』
 
 そんな言葉でよかったのかと。
 もっと強く、もっと重く、彼を、ユーリを拘束しなくてもよかったのかと。
 ああ、そうだとはやては思い出す。
 ユーリとはこんな他愛のない話はしても、やらなきゃならないことをしていない、と。
 
 「約束、せえへんかった」
 
 《はやてちゃん?》
 
 「うん。ユーリはな、みんなを死なせとうないって言っててんよ。でもな、絶対に自分も死にとうないって言わんかってん。今思ったら、『ちゃんと帰ってきて』って、約束してないなぁって」
 
 《なに弱気になってるですかっ!》
 
 「弱気にもなるっ! やって、やったらなんで……」
 
 その言葉とは裏腹に、はやては詠唱を加速させる。
 その思いを振り切ろうと、疑問なんてあとでいくらでもぶつけられると。
 
 ――――本当に?
 本当に――――!
 
 「く」
 
 だったらなぜ、あのとき、あれほど悲しい笑顔を見せたのだろうか、と。
 自嘲や自虐に満ちたあの笑みが、あの青年のなにをあらわしていたのだろうと。
 考えれば考えるほど、撃つことにためらいが生まれていく。
 掲げた杖を、持てあましてしまう。
 
 《はやてちゃん……》
 
 ――――ごぉんっ!
 巨大な装甲が全て通過した。
 その巨大な装甲一枚で隔たれていた視界が、一気に開く。
 身体にあたる太陽の光と、眼に痛い眩しさ。
 
 「響け、終焉の笛――――ッ」
 
 アースラのバレルが展開される。
 全てのコントロールをはやてが握っている今、撃つも止めるも、彼女の意思。
 
 《はやてちゃん!》
 
 「――――撃つしかあらへんのや。これ以上の被害を防ぐんやったら、ここで私が撃たな、全員が死んでまう。撃ったら、もしかしたら、死ぬのはユーリだけで済むかもしれん。それに――――」
 
 もしかしたら、ユーリは生きて帰ってくるかもしれへん。
 誰にも聞こえないように、彼女は小さく呟いた。
 言って、はやては吹っ切れた。波打つ前の、心に戻った。
 
 「……一か零か。あるかないか。可能性はふたつにひとつ。誰にも解かれへんこの答えに無理矢理解をあてはめるんやったら、それは実行の二文字だけしかあらへん。当たって砕けろ、砕けば直せ」
 
 《――――分の悪い賭けは、いつものことです!》
 
 より一層の輝きを宿しながら、真白い魔力光が唸りを上げる。
 今はただあの太陽を目掛けて、撃つ。
 
 感情を置き去りに、理性を固め、本能を殺す。
 
 ただ機械のように、だけど限りない情熱を持って。
 
 「《太陽と月は狼に、神々は巨躯とともに、破滅を以て世界新生を成す》」
 
 真白い魔力は、世界を塗りつぶすように。
 巨大な白い水滴を、世界へ落とすように。
 悪意の権化に、種を撒く。
 新たな世界の幕開けとするように――――。
 
 「《太陽となせ、戦の風よ。祝福の風が、今、駆け抜ける――――!!》」
 
 はやては決めた。
 死なせない。彼がそう誓ったように、彼女も誓った。
 ユーリが誰も死なせたくないと願うなら、私はあなたに死んでほしくないと願う、と。
 この光は終焉への灯台ではない。終焉の光などにはさせない。
 
 「いっけえええええええええええええええええええええッ!!!!」
 
 黄昏ではなく、黎明を引き連れて。
 終焉ではなく、創成を引き連れて。
 
 はやての剣十字の杖が天を衝くかのように掲げられる。
 夜を従え、導くは明日の夜明け。
 踏み出す足は、太陽へ向けて。
 
 「《導け、創成の光……ッ!!》」
 
 真白い光が飽和する。
 掲げ上げた杖が微動する。太陽をめがけて、はやては剣杖を――――
 
 「《ラグナロク――――ッ!!》」
 
 振り落とした。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 瞬間。
 ヴィルヘルムは“死”を覚悟した。
 目の前に堕ちた太陽は、間違いなくかの竜の死神に相違いなかったからだ。
 
 その巨躯に似合わぬ速力で、小さくも核熱を湛えた太陽に踏み込んだ。
 
 『うぬが我の死神ならば――――、その死を食い潰す!!』
 
 魔力を拳に集め、それを自らの爪に込める。
 魔力によって肥大化した巨爪は、より大きな顎となってユーリに襲いかかる。
 
 「《じゃッ!!》」
 
 それを一蹴。
 魔力の集束を斬り裂きながら、進む。
 まっすぐに、太陽が近づく。
 
 『認めん、認めるわけがない!! 神たる我を殺すなどッ!!』
 
 「お・お!!」
 
 『認めんぞおおおおおおおおおおおおおおッッ』
 
 斬り合いが加速する。
 双爪、両翼、顎、剣尾。持てる全てをもって、ヴィルヘルムが太陽を喰らいにかかる。
 対し、ユーリはその腕に掲げる太陽ただひとつで“神”へと反逆する。
 
 肉を裂かれては熱で閉じ、血を流しては熱で爆ぜる。
 筋肉が切れれば、燃える蒼炎の魔力で筋繊維を補う。
 ひとつ傷つくたびに、その身を魔力へ変えていく。
 
 《こ、れ以上は――――ッ、ユーリ!!》
 
 「見ろよ、クー! 目の前のかみさまは、どうして必死にオレたちを殺そうとしてると思う!?」
 
 《――――やはりあなたは、ラインハルトの子ですわねっ!!》
 
 踏み込む一歩が、彼に恐怖を芽生えさせていく。
 遅い。とにかく遅い。なにもかもが遅い。
 もっと早く、速く、疾く。燃え盛る蒼炎が、気迫が、“神”の首へゆっくりと鎌を添えて行く。
 遅い遅い。もっとはやく、神の元へとどくほどにはやく。
 
 「《は・あッ!!》」
 
 がむしゃらに、ただ不格好に、無意識に。
 ユーリは“剣”を振るう。
 ヴィルヘルムにとって今のユーリが死神であるように、ユーリにとっての死神もまたヴィルヘルムなのだ。
 ともすれば、これは神の殺し合い。
 
 人のカタチを保つ、“栄華と破滅”、“太陽”の神。
 竜のカタチを保つ、“永遠と絶対”、“支配”の神。
 
 大地を割る剛爪が揮われるたびに、それを破滅の核熱で振り払う。
 天空を裂く剣翼が羽撃たくたびに、それを栄華の核熱で振り払う。
 心魂を貫く剣尾が伸ばされるたびに、それを太陽の核熱で振り払う。
 
 叩く、斬る、払う、薙ぐ、衝く。
 終わりすらわからない神戟。
 ここにきて、ユーリはようやく気付く。
 やっと対等の舞台に立っているのだ、と。
 
 終わりが見えないのは、力が拮抗しているから。
 肉を断ち、骨を砕かれる。骨を砕き、肉を断たれる。
 どれだけ身体が壊されていこうと、ユーリの中の信念に届くに至らない。
 
 誰も死なせたくない。
 その願いはすでに破られている。
 だが、とユーリは喰らいつく。腕を千切られようと、足を引き裂かれようと、顎を砕かれようと。
 その心に、震えがあるなら生きてやる。
 
 恐怖のない闘いなどない。恐怖を感じられない闘いは、すでに闘いではなくなっている。
 支配か、蹂躙か。
 ゆえに、ユーリはこのときようやく気がつけたのだ。
 お互いがお互いを“死神”と認識できた瞬間から、これは支配でも蹂躙でもなく。
 どちらかが生き残る、生命の闘争へ変わっていたのだと。
 
 『ぬうあああああッ!!』
 
 「かァッ!!」
 
 お互いがお互いの首筋へ死神の鎌を据えながら、縮まる刃の内側に生命を賭しながら、今一歩、今一歩とお互いの生命を近づけて行く。
 “死”は享受するものではない、“死”は覚悟をするものだ。
 その“死の恐怖”と向き合うだけの、覚悟をすることだ。
 
 相手の魂を刈り取るという覚悟を、自らの魂を差し出すという覚悟を。
 殺意を玲瓏な信念に湛えて、闘争するどちらかの刃が折れ尽き果てるまで。
 
 「《お、ぜ――――ァッ!!》」
 
 『ぐ、ンん――――ッァあ!!』
 
 肉が弾け、血の代わりにお互いの魔力が噴き出していく。
 もはや、魔力こそが血。血こそが魔力と化した。
 生命を燃やし、核熱が燃え盛る。届け刃と、命が奔る。
 
 《ユーリ、砲撃きますわよ!!》
 
 「迎え撃つ!!」
 
 《よろしくてよ!!》
 
 埒が明かないと判断したのか、ヴィルヘルムが動いた。
 
 『雌雄を決するぞ、ラインハルトの鉄屑!!』
 
 魔力の収縮が始まる。台風のような強烈な烈風。天を衝くかのような巨大な魔法陣を前面に展開して、その中心に天地の魔力が集束していく。地鳴りを響かせ、大気を震わせるそれは、間違いなく世界を穿つ。
 生命の猛り。
 
 隙だらけのそれは、その実、飛び込めば一撃で蒸発させられる。
 退路すらない。ならば、その生命に正面から立ち向かうのみ。臆せば死、退けば死、そして、進んでも死。
 ならば、せめて前へ前へ、その玲瓏な信念を押しだす。刃と駆けて、死線を絶殺せしめる。
 生命の咆哮。
 
 《ユーリ。後方、約10秒後に直撃しますわ》
 
 「来たんだな」
 
 『覚悟は済ませたか、神屑がッ!!』
 
 「《竜滅す、咆哮の剣閃――――漆刀核熱刃!!》」
 
 一秒がまるで永遠のように感じた。
 動く手足が遅く、それだけに迫りくる殺意の砲撃が心臓を握り潰しそうなほどに圧迫してくる。
 いよいよ、お互いの首にかけた鎌が滑り始めた。
 皮を破り、肉を裂き、骨を断ったその先に、狙うべき生命がある。
 
 怖い。
 ユーリは身を震わせた。“死”を覚悟していたはずだった。
 例えそれが本物の“死”を招こうと、享受するつもりはなかった。
 今まで殺したモノの命を背負うつもりも、その責務から逃げるつもりもなかった。
 今まで積み上げた屍を踏み越えて、さらに高みへ。死人にくちなし。死んだ魂に意味などなく、ただそれを意味としてとらえるのが、人という生命。
 どうして死んだのか、どうして生きていたのか。
 
 死んだから死んだ、そんなことも理解せずに、なにか意味を求めて、慰める。
 ユーリも意味を求める人だった。父親の死に復讐というカタチで応えた自己満足。
 ならば、その意味を失った今、彼が思うのは如何様な“意味”か。
 復讐という意味の過程で彼が刈ってきた命は、彼にとっても“過程”という意味でしかなかった。
 しかし、その復讐を終えた今、振り返ってみればどうだろうか。
 意味らしい意味ももたずに摘んできた命の数を見て、彼はなにを思ったのか。
 
 背負うつもりも、逃げるつもりもない。
 そこに嘘はなかった。本当があるのかと問われれば、首をかしげてしまうかもしれない。
 もうすでに、その命たちは“過程”として昇華されてしまった意味だったからだ。
 
 なら、その“過程”とは一体なんだったのか。ユーリは考える。
 復讐を完了するための、邪魔者であったかもしれない。あるいは復讐を成すための糧だったのかもしれない。
 ただひたすらに、目的だけを見てきた彼の目に再び映った“過程”は、どれだけ重いものだったか。
 
 「震えよ、バルムンク」
 
 その一切の思考を、ユーリは踏み潰した。
 それを考えることになんの“意味”がある。
 考えること自体に意味などなく、その答えにこそ意味があるとするならば、もう答えなどとうに出ている。
 
 「その光は極寒の心痛を、その核熱は滾る神剣を」
 
 “誰も死なせたくない”。
 それは辿りついた答え。復讐だけが“意味”を持っていた彼の人生に新たに芽吹いた“意味”。
 もう、復讐が“意味”を持った瞬間など体験はしたくない。血涙で頬を濡らしたくない。
 
 転じてそれは、彼の命を捨てていた。
 そんなことになるくらいなら、誰かを死なせることになるくらいなら、そんなものは見たくない。
 その想いの先にある選択肢は二つ。
 
 ひとつ。死を運ぶ全ての“死神”を絶殺する。
 ひとつ。自分自身を、消してしまう。
 
 奇しくも、それはバルムンクの銘に似ていた。
 栄華と破滅。前者を選べば、辛き道のりを往く破滅。後者を選べば、安寧のうちに逝く栄華。
 選べなかった。ユーリには、それを選ぶことが出来なかった。
 ならば、賭けてやる。
 栄華と破滅を司るこの剣に、己が運命までも賭して、終撃とする。
 
 目の前まで迫った殺意の砲撃へ、ユーリは飛び込む。
 前へ前へ。ただひたすら前へ。
 
 「《おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!》」
 
 『消えろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおウッッ!!』
 
 生き物じみた咆哮が刻一刻とユーリの身体を蝕んでいく。
 吐き出される血はすでに魔力。叫びは衝撃となって空間を走り、大質量を誇る砲撃に向かって驀進する。
 砲撃を切り裂きながら、砲撃に切り裂かれながら、それでもユーリは止まらない。
 止まれば、己が運命は選択するまえに消えてしまう。進むことでしか運命を切り拓けないというのなら、それもまた良し。今この選択に“意味”など必要はなかった。
 なぜなら、この選択は“過程”でしかないのだから。
 
 ユーリが求める本当の答え、自らの運命を定める“意味”は、この剣閃の先に宿る。
 
 瞬く間に周囲の空間が激動する。
 天地咆哮。この限定的な世界で、世界の全てが啼いていた。
 拮抗はそう長くは続かなかった。
 時間にして、5秒もない。
 
 《ラグナロク、来ますわ!!》
 
 「貫けええええええええええええええええええええッ!!!!」
 
 『バ―――バカなッ!!?』
 
 殺意の砲撃を捻り喰い千切りながら、貫いた。
 狼狽するヴィルヘルムを視界に収めながら、ユーリは吠えた。
 真白い光が、すぐ後ろから迫ってきていた。
 ラグナロクの光を背に湛え、さらに太陽としての輝きを増していく。
 
 『我は死なん、貴様らなどに殺されはせんぞッ!! 痛みだけを残してやる、その魔法、使ったことを後悔するんだな!! ふは、ふふあはははははっはははあははははははっははははははあははははッ!!!』
 
 「《滅竜刃・天蓋劫火!!!!》」
 
 《Nukleusfieber》
 
 その言葉が、その魔法が全てを結末させた。
 抗う暇もない。護ればその防御ごとを蒸発させ、至近距離で破裂した核熱は、避けることさえままならない。
 天空を、大地を、余すところなく、その轟く範囲全てを、バルムンクは焼き尽くした。
 
 「はやて――――」
 
 ユーリはそう言った。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 彼方の空は、真昼のような明るさだった。
 どこかでこれを見たことがある、と、私は考えていた。
 混乱する戦場。飛び交う言葉を聞いていれば、『サベージ』が崩れ落ちていっているらしい。
 
 ――――ユーリが勝った。
 
 すべての隊員がそう思っていた。
 彼方に見える太陽のような輝きも、それはすべてヴィルヘルムを倒したという証拠程度にしか、思えていなかったのだろう。どぉん、と衝撃波でアースラが揺れる。数十キロと離れた位置にいるというのに、烈風が身体を叩く。
 その輝きをどこかで、私は見たことがあった。
 
 「ユー……リ?」
 
 今の私には、あの光が希望の光ではなく、絶望の光にしか見えなかった。
 ユーリに死んでほしくない。そう願った。
 だから――――、“だから”?
 
 「水爆…………」
 
 力なく紡いだ言葉は、人類史上最凶兵器の名称。
 その最大威力は、地球を三周するほどの衝撃波を伴ったという。
 ――ご、ご、ご。
 地鳴りを響かせながら、地平線に立ち上るのはキノコ雲。
 それを戦勝の狼煙と勘違いする管理局の人々。それはそうだ。あんな戦略質量兵器、ミッドチルダでお目にかかれるはずがないのだから。
 この現状を理解しているのは、第97管理外世界出身のなのはちゃん、私、長い間そこで住んでいたフェイトちゃん、そしてヴォルケンリッターのみんな。
 
 通信越しに聞こえる勝ち鬨が、これほど憎いと思ったことはなかった。
 それも敵ではなく、味方に対しての感情でだ。
 
 「あんなん……生きてるはず、ないやん」
 
 《はやて、ちゃん?》
 
 魔力素と魔力素の、それも、魔法を使うことを前提として圧縮された高密度魔力同士を任意反応させ、その振動同士をぶつけあい、融合する瞬間の莫大なエネルギーをそのまま放射する。
 言ってしまえば、砲撃と砲撃がぶつかり合った時のあの爆発の、超強力なものだと考えれば簡単に想像できる。
 
 キノコ雲の後ろから、今頃“本物の太陽”が顔をのぞかせた。
 そして――――
 
 「あ、あああっ、あああああああああああっ!!」
 
 “私がユーリを殺した”という事実が、私に追いついた。
 
 「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
 
 《はやてちゃんっ、だいじょ――――》
 
 ユニゾンを解く。こんな感情を、リィンに知られたくなかった。
 誰にも知られたくなかった。このきれいな手が、自分の眼にはひどく汚れて見えてしまう。
 どろりと、幻覚が見える。
 血が降り注いできた。やけに重く感じるそれは、小さな滝のように私の頭にかかってくる。
 嘘だと信じたい。生きてるんだと信じたい。でも、あんなのを見せられて、どうやって信じろなんていう。
 どうやったって、爆心地にいたユーリが生きている道理なんて、どこにもない。
 
 「ひゅ、か、あ――――ひゅゥッ!!」
 
 「はやてちゃん!? だ、誰かっ!!」
 
 うまく息が出来ない。過呼吸だった。
 そこで出来ることなら、私も死んでしまいたい。
 そう思いながら――――考えるのをやめた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 目を覚ますと、やはりというか、病院だった。
 個室ではないところを見ると、病院も今は患者が多くて大変らしい。
 窓があったので外を見ると、昼間だった。
 
 どれくらい寝ていたのだろう。
 
 「あーあ、死なれへんかった」
 
 呟いたのは、そんな言葉だった。
 もしかしたら、ユーリもそんなことを思っていたのかもしれない。
 今なら、彼がなんで、あんなに自虐に満ちた笑顔をしたのかが、わかった気がする。
 わかった気がするだけで、きっと私は理解していない。
 足りない、のだと思う。彼の心を理解するのには、きっと、なにかが足りていない。
 それはきっと、誰かを憎むという心。
 
 そんなことを思ったことがあったか、と自分の手を見た。
 血色のいい、肌色をしていた。
 
 「殺して、もうたんやで?」
 
 自分の手で、大切な人を。
 病室に私の知り合いが誰もいないのが幸いした。
 涙を流しても、嗚咽を漏らしても、構う人なんていない。
 好きなだけ、泣ける。
 
 泣けないと、いけないはずなのに。
 
 「……あ、は。泣かれへん」
 
 どれだけ瞳をこすっても、どれだけ痛みを与えても、泣こうという気になれなかった。
 ぼうっと、ただ空を眺めていることしか――――出来なかった。
 
 
 翌日。
 医者が朝一で回診に来たので、他の六課のメンバーのことを訊いてみた。
 すらすらと答えて行く医者を見ると、みんな、それほどの重傷者はいないようだった。
 
 「ただ、高町さんでしたか。彼女、相当無理をなされたのでしょうね。リンカーコアに影響が出ていて、身体が回復したとしても、魔導師としての力は、数段落ちてしまうでしょう」
 
 もっと詳しく話してください、と頼むと、快く頷いてくれた。
 
 「魔導師ランクとしては、Sを保てるほどの力は持って復帰するでしょうけど、瞬間最大出力や、変換効率が落ちてしまうでしょう。砲撃魔導師として大成している彼女にとっては、痛手でしょうね」
 
 「治されへんのですか?」
 
 「長期の入院と、リハビリとで“だましだまし”元と同じ力には戻せるでしょう。ですが、度を過ぎた激しい戦闘や、教導中の行き過ぎた模擬戦などは、危険でしょうね。まぁ、今までの生活を続けて行く分には、まったく問題はありませんが、仕事は今まで以上に休みを挟まなければいけなくなると思います」
 
 「さいですか……ありがとうございます」
 
 「八神さんはすぐに退院できますよ。早ければ明日にでも、ね。精密検査を受ければすぐ」
 
 「あ、はい」
 
 言うとおり、午後は精密検査を受けた。
 身体の事はもちろん、リンカーコアにも。
 日が沈みかけて来た頃に、やっとのことで検査から解放された。
 病室にはもどらず、病室棟の中央にあるナースステーション前のフリースペースで暇を潰していた。
 雑誌や、週刊誌、文庫本を読み耽り、結局、病室に戻ったのは看護師から「就寝時間ですよ」と言われてからだった。
 
 誰かがお見舞いにやってくるということはなかった。
 それはそうだ、みんなも同じように入院しているんだろうから。
 
 「3日、ねえ」
 
 寝ていた時間。
 いまさらそれを長い時間なんて言っていいのかがわからなかった。
 事件は終わり、私の恋も終わった。
 そのすべてが、私自身の手で。
 
 「ふー」
 
 次元航路が回復するのは、まだあと1週間はかかるらしい。ヴィルヘルムの砲撃のせいもあって、回復が遅れているらしいのだ。
 絶対的に足りていない物資の補給と、人員の確保。
 本格的に忙しくなるのは、陸と海が繋がりを取り戻すときになりそうだった。
 
 「…………なんやねん、アホ」
 
 こうして落ちつけているのが不思議だった。
 考えることもなにもない。あるはずなのに、それが思いつかない。
 だから、今日は寝ることにした。
 
 
 起きたら、騒がしかった。
 何事かと病室を出て急いで走る看護師に声をかけた。
 早口に説明されたことをまとめると、どうやら、重傷者が運ばれてきたらしい。
 どうせ暇なので、見に行ってみることにした。見に行って会えるかどうかなんてわからないけど、とりあえずの暇潰しは出来るだろうと思ったからだ。
 
 人混みを辿り、最初に着いたのは病院の正面玄関だった。
 看護師数人が床を拭いていた。どうやら、血を流していたらしい。
 今はまだ拭き始めた頃だったのだろうか、まだ点々と血が滴っている。
 
 「…………」
 
 暇だから、なんていう理由はもうとっくに忘れていた。
 なにか胸にざわつきを覚えながら、その血を追った。
 ところどころに看護師が床を拭いていたが、迷うほど拭きとられてはいなかったし、ある程度進んだところでどこに向かっているかが分かったので走り出す。
 病院で走ってはいけません、という、石田先生の言葉が不意に蘇ったが、昔の恩師の言葉ですら今は関係なかった。
 集中治療室。この角を曲がればすぐ、というところで角の向こうから言い争う声が聞こえてきた。
 
 「ですから、あなたも――――」
 
 「Sorge unbrauchbar(心配無用)。それに、ワタクシは普通の医師には治せませんのでね」
 
 流暢な古代ベルカ語と、特徴的なその口調。
 どこかで聞いたことがある、なんて思うほど私はボケていなかった。
 
 「クリームヒルト!」
 
 「おや? はやてではありませんか。ごきげんよう」
 
 「ごきげんよう、ちゃうわっ! アンタ、なんでここ……」
 
 「なんでもかんでも、居るのですから居るのです。『我思う、ゆえにに我あり』とは、あなたがたの世界の哲学者の言葉だったと記憶しておりますが?」
 
 「ンなことはどうでもええ!」
 
 「ユーリなら、一応生きていますわよ」
 
 「!!」
 
 「ついでに、ミルヒアイスとヴィルヘルムも生きていますわ」
 
 「な、ん……!?」
 
 会話はそこで中断させられた。
 看護師が割って入ってきたのだ。とにかく精密検査を、とクリームヒルトを連れて行ってしまった。
 クリームヒルトが帰ってきたのは、それから数時間経ってからだった。
 
 昨日ずっといたフリースペースに移動して、改めて話を聞くことにした。
 まず私がある程度の推測を並べ、確認してもらうことにした。
 
 「あなたが考えている通り、バルムンクの原典は剣ではありません。剣に見えるあれはただの拘束具ですわ。……正式名称、高密度魔力素核融合爆弾型アームドデバイス『バルムンク』。ゾネシュベルトフォルム。それが彼の本当の姿。普段はそれそのものが超高熱、超高密度の流動魔力刃として機能していますが、『ヌクロウスフィーバー』という起爆コードを入力したときに初めてその姿を爆弾に変えますの」
 
 「そう」
 
 「基本的な威力としては、大体爆心で数百万度、太陽を覆うコロナと同等以上の熱量を有し、その圧力は数十万気圧。その威力の余波としては数キロ先まで及びますわ。検査中にいろいろと訊いておきましたが、あなたの騎士たちや隊長たちが火傷を負わずに済んだのは、おそらく分裂した巨大なヴィルヘルム……あなたたちは『サベージ』と呼んでいたのでしたかしら? その陰にいたおかげでしょう」
 
 「それで、その数百万度の熱の中、なんでユーリらを助けられたんや?」
 
 「ミルヒアイスですわ」
 
 「は?」
 
 「ミルヒアイスが助けてくれたのです。彼女の中へ逃げるヴィルヘルムの片腕を引き千切り、その中へワタクシたちを放りこむことで、シールドでなんとか防げるレベルまで持ってこれたというところかしら」
 
 「何でもありか」
 
 「ええ。彼女に常識を求めてはいけませんもの」
 
 「さようで」
 
 そこからクリームヒルトはこの病院が気に入ったと話し始め、その理由が優秀なデバイスメンテナンスを施されたからなのだという。シャーリーとかマリーさんとかにメンテナンスしてもらったら求婚してしまいそうな勢いだった。
 
 だけど、それが全てあることから話をそらそうとしていることに、すぐ気付いた。
 こちらからも言い出しにくい。正直、聞きたいのに、怖くて聞けない。
 
 「なぁ、クリームヒルト」
 
 「クーで結構ですわよ」
 
 「……んなら、クー。ユーリは……」
 
 「……――――知らぬが仏なんてよく言ったものだと思いますがね?」
 
 「――――っ」
 
 遠回しに、彼女は「もう彼に構うな」と言っていた。
 そのまま黙っていると、クーが急にポツポツと話し始めた。
 
 「ユーリは、管理局でワタクシたち三人がバラバラになる直前に教えてくれましたの。『すぐに迎えに行くから。それで、みんなでずっと幸せに暮らせる場所に行くんだ』って。彼は、過去に囚われすぎていたのですわ。過去こそが幸せの全てであると思って、ずっとずっと。戦闘機人に復讐を誓い、管理局という組織の闇を憎みながらも、ずっとずっと」
 
 それは私の知らないユーリだった。
 なぜ、彼女がそれを私に教えようと思ったのか、よくわからなかった。
 クーは続ける。
 
 「けれども、聞いてくださいはやて。彼と再会して彼の表情を見て彼の心を覗いて、もう、過去に囚われてなどいないと分かった時、ワタクシ、本当に嬉しかった。彼のそれは、“決着を着ける”というカタチに変わっていた。確かに、それも私怨だったのでしょう。けれども、それがすべてではなくなって、どこか救われたような顔になっている彼を見ていたら、嬉しかったのですわ」
 
 あ、と思わず声を漏らした。
 なによりも、それを話していたクーの表情が、優しくて、素敵で。
 そして、その笑顔を私に向けてくれていたということ、その事実。
 
 「わ、私?」
 
 「そうですわよ。あなたですとも、はやて」
 
 「私、別に、そんな、なんにもしてへんのに?」
 
 「あなたはそうかもしれません。ですが、そのあなたを、ユーリは愛したんですもの」
 
 恥ずかしかった。面と向かって、それも客観的に言われるとこんなにも恥ずかしいものなのかと思った。
 自分で言う分には全然恥ずかしくもないのに。
 それはともかく、だ。ユーリが私に出逢えて救われたと、言われた。
 それは名誉なことだと思うし、もし本当にそうなら私自身も彼を選んでよかったと思える。
 
 「……ですから、ワタクシは」
 
 「え?」
 
 「――――あなたにはこれを話したくないし、だから、もうユーリとは会って欲しくないのです。だって、それは……きっとユーリの心とも違う。ここを退院したら、ユーリのことはもうお忘れになってくださいまし。お願いです」
 
 「…………意味わからへんわ」
 
 「意味など、わからなくてもいいのです」
 
 「よぉあらへんわ、ボケ!! 私は誰や、ええ、言うてみい!?」
 
 「八神はやて、ユーリの愛する人ですわ……」
 
 「そうやろ、やったらなんで……そんなこと」
 
 叫んで、怒鳴ってから自分は馬鹿だと思った。
 目の前で肩を震わせている融合騎は、一体どんな気持ちでこのことを話しているのか。
 言ってしまえばどうなるかぐらい、分かっていて話したに決まってる。それに、これはきっと、私のためでもあると思って言ってくれたのに、私は――――ああ。
 
 「……アホか」
 
 「……申し訳、ありません」
 
 「違ゃうよ、クーのこと違ゃう。私ンことやから……。ありがとう、んで、ごめん。私のこと、思って言うてくれたのにな……」
 
 「……とにかく、お願いです。もうユーリとは関わらないでくださいまし」
 
 「やから、さ。その、関わらんといてって止めようや」
 
 お互い、だんまり。
 これ以上やっても、押し問答になってしまうのは目に見えていた。
 だったらもう、私が覚悟を決めるしかないってことなんだろう。
 金輪際の別れを選ぶか、それとも。
 
 「会うわ。ユーリに」
 
 「はやて……!」
 
 「会わせてほしい。それでどんだけ私が傷ついても、沈んでしもても、忘れてしまうよりずっとええ」
 
 「本気、なのですね?」
 
 「本気本気。本気も本気、大本気。女はやて、二言はあらんってな」
 
 「――――ありがとう、ございます」
 
 ごめんと言われるよりも、ずっと嬉しかった。
 今まで見たことのない、彼女の涙も見れた。それは、きっと大事なこと。
 大事な大事な、私たちの絆になる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 春。
 別れと再会の季節などともいう。
 JS事件が終結してからというもの、なにかと大変だった。
 六課メンバーはほぼ全員が無事に帰還。今ではあの戦争の前と変わらないほどに回復していた。
 
 ミルヒアイスは、重要参考人として、また容疑者として、管理局に捕まった。
 しかし、容疑は洗脳による強制だったことを管理局が知ると、すぐさま解放した。
 そして、そんな彼女が最初に向かった先はミッドのベルカ自治区だった。
 その時期、ちょうど教会ではヴィヴィオの待遇をどうするかが議論されていた。コピーとはいえ、なんといっても聖王だ。管理局の一士官にいつまでも預けておくには手に余る、と、そう判断されたからだった。
 その扱い如何で聖王教会のこれからが決まると言っても過言ではなかった。
 カリムは「高町さんに任せる」という少数派のリーダー格として動いてくれ、なんとか「成人するまでは高町なのはに預ける」という結論に収まったのだという。
 とは言うものの、ミッドの成人と、地球の常識的な成人の年齢は違う。
 
 「私が聖王よ。文句がある人はどうぞ前へ」
 
 ここでミルヒアイスだった。
 ヴィヴィオを庇ったのか、それともなにか責任を感じていたのかはわからない。
 ミルヒアイスはそのまま聖王教会を説得し続け、数ヶ月と経たない間に正式に現代に生きる聖王としての座を、聖王教会を牛耳るだけの地位を手に入れてしまった。
 メディアでもそれは騒がれ、一時期、容姿が瓜二つなシグナムが外に出歩けなくなるという事態が発生した。
 それにシグナムはぶーぶーと文句を垂れていたが、どこか嬉しそうだったのはきっと見間違いじゃない。
 
 六課を卒業するみんなは、それぞれの道へ進む。
 フォワードメンバーもほとんどバラバラ。それがわかっているからだろうか。フォワードメンバー全員の表情が少し固く思えた。それに笑いかけてあげると、ゆっくりと、だけどしっかりと笑い返してくれた。
 機動六課が始まった場所に経って、機動六課の終わりを告げる。
 
 「長いようで短かった一年間。本日、機動六課は任務を終えて解散となります。みんなと一緒に働けて、戦えて、心強く嬉しかったです」
 
 本当に、長いようで短い。ついこの間機動六課を立ち上げたと思ったら、もう解散。
 少しだけ鼻頭がつんとした。それを我慢して、締めるとする。
 
 「次の部隊でも、みんなどうか元気に……、がんばって」
 
 わっ、と拍手がわく。
 滝のような音に送られながら、最後の一言を言った。
 それが、どうしようもなく終わりを告げていて、一刻も早く背を向けたくなった。
 
 「解散」
 
 しばらく拍手がやむことはなかった。
 みんながその場に直立し続けて、本当に泣いてしまいそうになった。
 ああ、こんなに愛されていたんだなぁと、そう思うと、とても嬉しかった。
 
 「ほんなら、行こか、クー」
 
 「ええ、はやて」
 
 相変わらずフルサイズで、浮きながら隣へやってきた。
 事件が終わってからたったの数ヶ月の間に、彼女は執務官資格、デバイスマスターを含む様々な資格を手に入れてしまった。
 さすがというか、なんというか。ミルヒアイスを介して執務官試験を繰り上げるまでの過程はさすがとしか言いようがなかった。
 魔導師ランクは文句なしの空戦AAA+。次の所属は、その頭脳を買われて前線にではなく、開発部へと駆り出されることになっているという。
 
 「半年ですか……、ワタクシにしてみればほんの一瞬の出来事に変わりないのに、とても長く感じましたわ」
 
 クーがしみじみと言う。千年近い時を生きてきた彼女にすれば、彼女の言うとおり、ホンの一瞬だったのだろう。
 うんうんと、一人で言って一人で納得していた。
 私を取り巻く環境は、特に変化はなかったと思う。
 劇的な変化と言えば、やはりミルヒアイスとクーだけのようなものだし。
 それだってすぐに日常になってしまった。
 
 
 隊長陣との最後の模擬戦と二次会も無事に終わり、いつものように帰路につく。
 六課が解散する前に隊舎の荷物は全て家に送っているので、今頃家の中はごった返しているに違いない。
 わいのわいのと家族全員で騒ぎながら、道を行く。そこにクーが加わったのは、事件が終わって間もないころだった。どうせ身寄りもないだろうと思って声をかけると、「保存水の中でも生きられますわ」などと言ってのけたので、さすがのそれにはカチンときて無理矢理にでも引き取ることにした。
 何だかんだと言いながら、割とすぐに打ち解けてくれたようでホッとした。今ではリィンの先輩として、融合騎のなんたるかを教えているらしい。ときどき、アギトのところにも顔を出しているらしいが、向こうはいつもツンケンしていてつまらないのだそうだ。
 アギトと言えば、残念なのがゼストさんだ。
 事件終結後、しばらくは意識を持っていたのに、一週間と経たないうちに逝ってしまった。
 そのときに最初に声をかけたのも、クーだった。
 
 「……みんなも、お疲れさんやったなぁ」
 
 「なんだよはやて、改まっちゃってさ」
 
 ヴィータが答えてくれた。
 彼女も、本当に頑張ってくれたと思う。なのはちゃんを守ると誓ってから、危なっかしくはあったけど、それでも歪むことなく、まっすぐに育ってくれた。
 大破したグラーフアイゼンも、三ヶ月ほどで戻ってきた。さすがはマリーさん、と言える職人業だった。
 
 「んー、なんかな、これが一区切りって思うんよ」
 
 「人生の、ですか?」
 
 「まさか。仕事の」
 
 続いてシグナム。
 外に出れなくなった一時期を除いて、聖王教会との橋渡しを手伝ってもらった。
 まだ混乱から抜けきっていないミッド地上本部と聖王教会のふたつを行ったり来たり、大変だったに違いない。
 それに、聖王教会に行けばミルヒアイスと会う確率は自然と高まる。
 いつまた殺し合いをしようとけしかけてくるか、ヒヤヒヤしていたという。
 
 「後半はほとんど六課にいることができませんでしたねー。忙しい時にすいません」
 
 「シャマルは地上本部側で医療チームの中心で働いてんやろ? しゃあないやん」
 
 「そう言っていただけると、助かります」
 
 シャマルは、言った通り管理局本局との航路が繋がるまで、地上本部で医療チームを率いていた。
 なんだかんだで一番忙しかったのは彼女かもしれない。
 ザフィーラは、やはりあの身体で戦ったのが無茶だったのか、六課の中で一番入院期間が長かった。今ではヴィヴィオにすっかり懐かれて、高町家にやっかいになっている。まぁ、仕方がないといえば仕方がないことだった。
 
 家の近くまで来ると、誰も彼も疲れてしまったのか、さすがにみんな黙り込んでしまった。
 二次会のお酒もほどよく抜けてきて、ちょうど眠気が襲ってくるタイミングだったのもあったのかもしれない。
 
 「慣れましたか、はやて」
 
 今まで黙っていたクーが突然小声で話しかけてきた。
 それに苦笑いで応えると、申し訳なさそうな笑顔を向けられた。
 
 「今でも思いますわ。あの時、無理矢理にでも止めておけばって」
 
 「私は後悔しとらへんよ」
 
 「そう言ってもらえると、救われますわ。ワタクシも、彼も」
 
 そう言って、力なく笑うのだった。
 そこからはまた黙ったままの帰り道になった。
 
 家の前に着くと、電気がついていた。
 慣れたか、と訊かれとき、自然と苦笑いで返してごまかしている自分がいた。
 慣れていない。それが現実。
 
 「……誰かを想うってのんはさ、きっと、相手が覚えてなくても続くもんやと思うで。それに、な。よう言うやろ? 恋は下り坂、愛は上り坂。やったら、私のこれは、きっと愛」
 
 一度大きく深呼吸をしてから、ドアノブに手をかけた。
 それをひねって、玄関を開けた。
 
 
 
 
 
 
 
 「おかえりなさい、みんな」
 
 「うん。ただいま、ユーリ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                Act:Last-the lost  end
 
                    To epilogue

テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

B.A.C.K   Epilogue -Never More-

 
 
 新暦81年9月1日。
 その日、管理局本局は大々的な進宙式を開く予定だ。
 
 管理局による、『超長距離航行部隊計画』。
 それは今現在存在し、認識している次元世界群のさらに外を目指す調査船団を組織するというものだった。
 XXA級超弩級次元航行船『タンホイザー』を旗艦とし、XV級艦船を主とする総勢100隻にも及ぶ大型船団を組織するまでには様々な紆余曲折を経たが、新暦80年12月末日、4年の歳月をかけ『タンホイザー』は完成した。
 全長50,810m、全幅8,480m、最大高4,200m。搭乗員数は最大80万人。しかし、元より人員不足を嘆く管理局であるから、『タンホイザー』の航行に最低限必要な約2万人での運転となる。
 武装は、かのJS事件当時、前地上本部司令レジアス・ゲイズ中将発案の『アインヘリアル』を改良したものを、50門。従来の中口径魔導砲を1200門、大口径魔導砲を560門。主砲アルカンシェルはさらなる長射程・広域爆砕改良を受け『グーングニル』という名に改名したものを搭載された、今までの管理局にはない、大戦艦に仕上がっている。
 
 これほどの重武装を施した理由には、未知なる世界への対策と、昨今囁かれている次元宇宙に存在する巨大生物『スペースイーター』に対抗するためであると発表されている。
 管理局が管理する次元世界外への調査のほかに、『スペースイーター』の調査も任務に含まれているとのことだ。
 
 外宇宙進出までは道中の管理世界へ立ち寄り、物資の補給を細やかに行いつつ、計算上10年分の保存食料を積んでの進出となるとのこと。
 『タンホイザー』のその任務期間は、4年を予定されている。この10年分の食料を積む理由としては、道中に次元難民や管理局入局の意志のあるものを集めるという計算もあってとのことだ。
 
 しかし、その『タンホイザー』には未だ謎がある。
 クルーの名前は発表されているというのに、肝心の艦長を誰が務めるのか、ということが5月現在公開されていないのだ。管理局に問い合わせてみるも、その質問についてはノーコメントという姿勢を貫いている。
 サプライズとして、当日に発表するつもりなのか、それとも発表はしないのか。しないならしないでそう発表してくれてもいいものの、それもないのである。
 
 また、その『タンホイザー』を狙った次元犯罪者集団のテロ計画も薄々ウワサされており、そのテロの成功がもたらす管理局側のダメージを考えると、社会に与える反感の念はJS事件以上のものとなるだろう、と予想されています。
 この意見に対して、現時空管理局本局海上警備部隊捜査司令八神はやて女史にお話しを聞かせてもらった。
 
 「JS事件の前例を考えると、管理局本局に対してのテロも確かに考えられます。そして、地上本部以上に複雑広大な本局の内部事情は、お恥かしながらそれぞれの部署や部隊のトップでも、完璧に捉えられていません。やはりかの事件のことを鑑みると、内部からの崩壊、というものが可能性としては一番大きいと考えています。このことから、今管理局内では、一斉摘発運動を計画しています。同時に、高ランク保持の次元犯罪者の逮捕や行方の捜査、また軌道拘置所から社会復帰した元・次元犯罪者たちの動向にも注意を向けています」
 
 この後、『タンホイザー』艦長について質問すると、「お教えできません」と苦笑いで返された。
 また、彼女が率いる海上警備部隊の次期旗艦、LS級艦船『ヴォルフラム』は、『タンホイザー』の兄弟艦として建造されていることから、なんらかの関係があるのではないか、と思われている。
 謎に包まれた管理局最大最強の超弩級戦艦『タンホイザー』。続報が入り次第、特集をまた組みたいと思う。
 
 
 
 新暦81年5月13日
 ミッドチルダ出版社『ポスト・ストライカーズ』より抜粋。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 約4ヶ月後
 新暦81年9月1日。
 
 『一度起きた大規模なテロにも屈せず、『超長距離航行部隊計画』の要、旗艦『タンホイザー』も無事にこうして皆様の前に姿を表わせたことを、大変うれしく思います』
 
 遠く向こうで進宙式のあいさつをしていた。
 甲板はもはや地平線が見えるレベルの戦艦。そんな規格外の戦艦の進宙式に呼ばれるのは、まぁ、名誉なことだった。
 個人的にも、用事はある。
 
 「さて、と。はやて、次に会うのは、4年後ですわね」
 
 「早ぉて4年な。とにかく、無事に帰ってきてくれたらそれでええ。もう、クーも家族なんやから」
 
 「身に余る光栄ですわ、夜天の王。なぁんて、ね」
 
 「あはは。王さま、か……」
 
 この式典には、ミルヒアイスも来ているらしい。
 らしいというのは、もしかしたらシグナムと入れ替わっているかもしれないからだ。
 この5年で、数十回とそんなことがあった。そのたびにシグナムは迷惑そうに逃げ回り、結局捕まって、ミルヒアイスの代わりに聖王の職務をやらされる羽目になる。
 そしてミルヒアイスは遊びまわる。下手をすれば私らさえ巻き込んで街に繰り出す始末だ。
 
 あと聖王関係で変わったことがあるとすれば、この5年でヴィヴィオはミルヒアイスから帝王学を学び始めた。
 オリジナルからの遺伝的なものが残っていたのか、ミルヒアイスにライバル心が芽生えた、となのはちゃんから聞いている。
 
 「今やあなたは司令官。初めて会った時の、あの情けない仔狸のようなはやては、もういないんでしょう?」
 
 「……そうやと、ええんやけど」
 
 「まぁ、期待せずにお待ちください。この4年で、必ず」
 
 「――――無理はせんでええんやで?」
 
 「ワタクシの辞書に無理という言葉はありませんわ。よくお知りでしょう、はやて」
 
 「そやったな」
 
 約束。
 それは、必ず帰ってくるからという家族としての約束と、もうひとつ。
 親友としての約束。
 
 「待たせてごめん、クー」
 
 「遅いですわよ、ユーリ。レディを待たせるなんてなってませんわ」
 
 「ごめんごめん。あ、なんだ姉さんもいたんだ」
 
 「ついでみたいに言われたらお姉ちゃん傷つくわー」
 
 「愚痴んないでよ。……うん、それじゃ、行ってくるから」
 
 無邪気な笑顔で、ユーリが笑う。
 目の前にいるユーリは、ユーリじゃあない。
 こうして話せているのに、目の前の彼は、彼じゃない。
 
 
 
 
 5年前。
 目を覚ましたユーリは、発狂寸前まで精神に負荷がかかった。
 半狂乱状態が、数日に渡って続いた。
 起きてすぐの彼との会話は、忘れられそうにない。
 クーが私に、「彼ともう会うな」と言った理由が、よくわかった。
 
 「だれ? 誰だよ、オレ、オレ? ボク? え、誰? え、え?」
 
 「ユー……リ?」
 
 「誰だよ、あんた……知らない、誰だよ、オレ、ぼく、え。誰だよォ」
 
 そのままユーリは気絶した。
 医者が言うには言葉を発したことから、消えた記憶はエピソード記憶だろうとのことだった。
 リンカーコアの過負荷による、魔力の逆流。それが総じて全身、そして脳へとダメージを残した。
 結果、エピソード記憶が消えてしまった、とのことらしい。そこで、医者に「そんなピンポイントで消えるのか」と訊いてみると、「ありえる」と返ってきた。実際問題、他の記憶にも混乱は見られるし、ピンポイントに消えた、というわけではなく、エピソード記憶に一番ダメージが行った、と考えるのが妥当らしい。
 
 そのときクーの方を向くと、視線をそらされた。
 リンカーコアへの過負荷。それは、間違いなく彼女の能力による障害だったからだ。
 
 「ユーリ。今日から、私がユーリのお姉ちゃんやで」
 
 「お姉、ちゃん? はやてさんが、オレの?」
 
 「そ。私が、ユーリのことを引き取る。家族になるんや」
 
 「家族……。家族、か。うん、よろしく姉さん」
 
 「お、さっそくやな。うんうん」
 
 泣きそうだった。
 何度目かも分からないほど、泣きそうだった。このとき、笑顔でいられたのは、きっと奇跡だと思う。
 こんな奇跡は、いらなかった。
 
 奇跡ならもっと、もっと、もっと……。
 
 「姉さん、大丈夫? うなされてたけど」
 
 「ん。おはよう、ユーリ」
 
 「おはよう、姉さん。もう10時だよ」
 
 “姉さん”。
 そう呼ばれるたびに違いを思い知らされる。
 胸に、ぐさりと刃が突き立つ。
 息をするのも辛くなる。
 だったら、なんで、あのときクーの言う通りにしなかったのか。
 いまさらな疑問に、苦笑いしか出てこない。
 
 ユーリのことが好きだから。
 本当の本当に好きだから、だから、忘れるなんて出来なかった。
 忘れたくないから、私は傷ついてもいいから。
 だから、私がここにいる。
 
 
 
 
 『タンホイザー』艦長は、ユーリだった。
 JS事件時の、本局からのユーリの指名手配取り下げ令の裏には、こんな事情が隠されていた。
 責任を、艦長と言うカタチで取らせるのだと。
 
 ユークリッド・ラインハルト特別提督。
 
 それが、ユーリに渡された新たな地位だった。
 正規の提督よりは実質的な権限は劣るが、戦闘時はその限りではないというもの。
 追い越し追い越され、結局艦長という役につくところを見ると、やっぱり私たちは中々にお似合いなのかもしれない。
 そんなことを考えて過ごしていると、つい最近、クーがこう言った。
 
 『ワタクシが記憶を取り戻してみせますわ』
 
 なんとも無茶な話だった。
 そもそも5年戻らなかった記憶をどうやって戻すというのだろうか。
 彼女のことだ、何か考えがあるのかと思えば「そんなのありませんけど?」だった。
 久し振りに笑った気がしたから、それはそれでよかった。
 
 「? 姉さん、どうしたの」
 
 「うん? ああ、まぁ、家族が一気に二人もおらんなるから、寂しいなァ思て」
 
 「死なないよ、絶対」
 
 「あ」
 
 凛とした表情で、ひたすらにまっすぐ見つめてくる。
 同じ顔で、違う人。ユーリがシグナムに感じていたのも、こういうものなのかもしれない。
 それがわかったからって嬉しいかといえば、全然そんなことはない。
 むしろ、こんなものは、出来ることなら知りたくなかった。でも仕方ない。だって私は――――
 
 「ええっ!? ちょっと、クー、そんなの、い、言えないって!」
 
 「いいから言いなさい。これは命令です」
 
 「?」
 
 ふたりしてなにやら話していた。
 どうやら、クーがユーリになにかを強制しているらしい。
 さっきとは違う、恥ずかしさで真っ赤になった顔を向けながら、ユーリが言う。
 
 「……き」
 
 「ん?」
 
 「ほら、ユーリ、聞こえてませんわよ。もっとしっかりしゃきっと。男の子でしょう?」
 
 「男も女も関係ねえーっ! 恥ずかしいもんは恥ずかしいだろっ!?」
 
 「四の五の言ってないでさっさと言う! ワタクシに叫ぶ暇があるならはやてに叫びなさい」
 
 「こんなの叫んで言えないから!」
 
 「とりあえず、時間は大丈夫なんか、二人とも」
 
 「ほら、時間ももうありませんわよ!!」
 
 「だーッ、もうわかった、わかったからっ!!」
 
 ごほん、と咳払いをひとつ挟みながら、ユーリがこちらを向きなおした。
 赤くなってはいるが、今度は凛とした顔に戻っていた。
 
 「え、と。その……姉さん」
 
 「ん。なに?」
 
 「大好きだから。絶対、戻ってくるから!!」
 
 「――――あ」
 
 クーをにらんだ。
 へらへらっと笑って、クーは先に『タンホイザー』の中へ向かった。
 それを追うように、ユーリも走り去って行った。
 それを止めることもできず、だったら、出来ることなんて限られていた。
 
 「私も――――っ!!」
 
 声を張り上げる。
 誰に聞かれてもいい。
 だって、この言葉に、間違いなんてあるはずはない。
 だから、いつまでも待ってる。
 
 今のユーリは家族として。
 私が愛したユーリは、私の――――
 
 「私もユーリのこと、だ――――っい好きやでぇ――――っ!!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 そのさらに4年後。
 
 「――――おかえり、ユーリ」
 
 「――――ああ」
 
 “銀雲の騎士”ユークリッド・ラインハルトは。
 
 「ただいま、はやて」
 
 八神はやてと再会した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                B.A.C.K  END
 
 
 
 

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一戦が終わり、次の戦いが俺を呼んでいる。

ども、草之です。
ということで、『B.A.C.K』が完結しました。
今まで読んでくれていた方々、感想をくださった方々。
まことにありがとうございました。
 
『優星』と『背炎』がこれから更新速度がひとつぶん早くなります。
若干書き方を忘れ気味なので、今週中の更新はすいません、ありません、もうしばらくお待ちください。
あと今週はテスト中なのであまり書けないのもあるんです。
 
まぁ、のちのちこの『B.A.C.K』という作品に対してのあとがきのようなものを単品で日記調で書きますが(笑)
 
 
 
 
さて、みなさん。
アルトネリコ3、ゴッドイーターと興味は尽きませんが、今回はFateについて考察してみようと思います。
というのも、草之がライダー姐さんの真名を独自解釈で調べたから言っておきたいだけなんですがね(笑)。
 
ということで、今回のライダー(アーチャー?)と言われている姐御。
なんでライダーって毎回魅力的なんでしょうね。あれはヤバい。
 
ということで、いま確認できる情報だけでライダーの正体を考察してみよう!!
 
まず開いてもらいたいのがエクストラのHPだ。
そこからキーワード、サーヴァントのページへ飛んで、動画を見ていただきたい。
ここに、今回のライダーの正体をさぐるヒントが隠されている。
 
ライダーのスキル『カルバリン砲』
 
このカルバリン砲というのは、実際の海戦にも使われた砲台だ。
そこで、この砲台が使われた一番有名な海戦を調べてみたところ、『アルマダの海戦』であることがわかった(wiki参照。
このアルマダの海戦は、スペインの無敵艦隊が英国への侵攻を行った海戦の総称として用いられる。
ということで、この戦い、結局は英国が防衛に成功したのだが、さて、ここで考えられる『ライダー』たる要素。
 
まず、ライダーは“騎乗兵”である。戦車や馬があったことから、船もありだろう、と考えられます。
そこで、まずは彼女の服装に注目してみよう。とてもエロいです。もとい、海賊・女傑といった雰囲気が感じ取られますね。
そこで、この海戦に注目して考えた場合の“女性関係者”は、見る限り一人しかいません。
 
エリザベス1世
 
「よき女王エリザベス」「グロリアーナ(栄光あるもの)」と謳われた彼女のどこに『ライダー』たる要素があるのか。
 
アルマダの海戦が開かれた理由のひとつ、つまりスペインが英国侵攻を決意した理由のひとつに、英国の“海賊”に襲われたため、エリザベス1世にこの取り締まるように申し入れたが、彼女は聞き入れるどころか、
“海賊行為に加担した”ことがあげられている。
 
はっきり言って、これだけではライダーたるゆえんが少々弱い。それに彼女はもともと女王であり、船乗りではない。
ではもうひとつ考えられる可能性を話していくとしよう。
 
『Fate/stay night』に見られるキング・アーサーの扱いを考慮すると、彼女が歴史上では
“男性として扱われていた”として考えていこう。
 
そこで浮上してくる『ライダー』候補の一人が彼。
 
フランシス・ドレーク
 
英国艦隊副司令官であり、実質的な指揮官であった彼。異名「エル・ドラコ(ドラゴン=悪魔の権化)」。
重要なのが、彼がスペインに対し恨みを持っていた、ということと、海賊上がりであったことがあげられる。
アルマダの海戦以外での偉業といえば、マゼランに続く、史上2番目の世界一周を達成したこと。船に対する『ライダー』たる実力は十分であると考えられる。
 
また、彼の死に際は西インド諸島襲撃時。しかしスペインの艦隊の守備を突破することは出来ずに無念で終わっていることから、願望を持つ者としてもあてはめられる。
 
 
 
 
とまぁ、こんな感じ。
エリザベス1世だったりしたら萌える。理由はお察しください。
ドレークだったりしたら燃える。
まぁたぶん違うでしょうけどねー(笑)。
 
でも草之はこれと信じておくとします。
 
ていうか、今草之が持ってる情報量だとこれくらいしか思いつかない。
 
 
ということで、以下拍手レスです。
では草之でした。
 
 
 

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テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

勝負時と逃げ時を間違えるととんでもないことになる。人それを、死亡フラグなどという。

ども、草之です。
タイトルに特に意味はありません。
強いて言うなら、投稿作品を書こうと思っていることぐらいです。
出来るだけ連載スピードも落とさないように頑張りたいと思います。
 
この時期に「グレンラガン」のDVDを出すのは狙ってるのだろうか、と疑ってしまう。
なんせ「Fate」「なのは」「遊戯王」と、映画が固まってますからね。
まだ映画はどれも見てないんですけど、グレンラガンは見ました。
後半30分近くはセルフエコノミーです。いや、あれで泣かないっていうか、感動っていうか、心が魂が震えなきゃ間違ってる気がする。
 
アレンジといいますか、編集の仕方が上手い。
あれはすごいわ。ていうか、アニメもすごかったけど、映画もすごい。
どっちも正史だよね。認識宇宙では、そう認識すればどちらもが正史になるんだよ!!
アニメにはアニメの、映画には映画のいいところ悪いところがある。
それを含めて愛することを、誓います。こんなことであらそうなんて、グレンラガンを見た後だとバカらしくなるとは思いますが。
 
 
草之はゴッドイーターを応援しています。
 
 
ということで、以下、拍手レスです。
 
 
 
 

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草之 敬

Author:草之 敬
ブログは若干放置気味。
『優星』の完結目指してラストスパート中。
 
現在は主に一次創作を書いて活動中。
過去作を供養する意味もあって、いい発表の場はないものかとネットをさまよっている。

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