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2011-01

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。
ども、草之です。
 
年が明け、2011年となりました。
今月は成人式ですね。
 
特に語ることも多くはないのですが、キネクトを友人宅で遊びました。
巷の評価はあまり芳しくないようなのですが、充分面白かったです。
ソニックフリーライダーズがさらに欲しくなった。だが、キネクトを購入しても家では遊べない。
なにせ、古い家ですからねー。揺れる揺れる(笑)。
 
 
テンションがおかしくなりつつ、31~1の夜は一睡もせず友人宅ですごしました。
帰宅後、一気に眠る。初夢を見た。
 
コンビニで買い物をしていて、レジに商品を出すと、「210円です」と言われたので、小銭を出そうとしたが小銭がなく、仕方なく千円札を取り出したところ、ついうっかり二千円だしてしまったので出す必要のない千円を財布になおそうと思ったところ、店員(女の子)が無理やり二千円をひったくり、「790円のおつりです」とおつりを返してきた。「なんで千円返さない」と文句を言ったら無視された。怒り狂ったら目が覚めた。
 
意味のわからない夢でした。
 
 
では、以下拍手レスです。
 
草之でした。
 
 
 
 

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テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

背徳の炎  track:39

 
 「驚きました。これがタイムマシーンというものなんですね……!」
 
 どこか興奮した様子で、ネギ先生は手元の懐中時計を眺めている。
 超鈴音から渡された懐中時計だ。何かがあるとは思っていたが、まさか時間旅行とは……。
 
 ネギ先生を他人のように眺めていると、しばらくは子供らしくはしゃいでいたが、ふと、その表情に陰りが映った。
 
 「これがあれば、あのときに戻れるのかな……」
 
 ぎゅっと握りしめる懐中時計は彼の問いには答えない。
 喧騒にかき消されながらも、カチコチと時を刻むだけだ。
 そんな先生に声をかけることもなく、しばらく学園祭の人混みの中を進んでいたときだった。
 正面から、見知った顔が近づいて来た。エヴァンジェリンとその人形のチャチャゼロだったか。
 
 「なんだ、ぼーやじゃないか。何をまたそんなクソが詰まった顔してるんだ? 懐中時計?」
 
 「あ、ま、師匠……。いえ、これは、その……」
 
 「ケケケ、コイツ懐中時計隠シヤガッタゾ」
 
 素直というか、単純というか。
 どれだけ賢くても、まだ子どもということだろうか。
 こんなだからお嬢様も先生のことを心配してしまうのだろう。おかげで、つい「お嬢様がするくらいなら私が」とか余計なことまで口走ってしまい、結果、こんな超科学的とも超自然的ともつかない現象に巻き込まれるハメになってしまった。
 身体に悪影響はないのだろうか。今度会ったら、あのとんでもないクラスメイトを問い質す必要がありそうだ。――さて、超鈴音は一体なにを考えているのか。
 もし、お嬢様を狙う刺客だとしたら――。冷静に見極める必要がありそうだ。
 
 「いいから貸せ。お前の物は私の物。私の物は私の物だ」
 
 「横暴だーっ!? に、逃げましょう、刹那さん!」
 
 「え? あ、ちょっと……っ!」
 
 独り物想いに耽っていると、先生に急に手を引かれた。
 人混みの中をすごいスピードで駆け抜けていく。先生と比べても身体が幾分大きな私は、通行人に肩をぶつけながら彼に引っ張られていく。世界樹の魔力がもれ始めているとはいえ、やはり本調子ではないのか、エヴァンジェリンの姿はどんどん遠ざかっていく。
 しばらく進んだ後、先生がやっと足を止めた。
 
 「どうしていきなり走り出したんですか」
 
 「え、いや、このタイムマシンが師匠に取られそうだったので……」
 
 「ああ、兄貴の行動は正しいと思うぜ。こんな超アイテムがエヴァンジェリンの手に渡ったらどうなることか」
 
 「まあ、一理ありますか」
 
 一先ず納得しておくとして、さて、これからどうしようか。
 先生たちはあのタイムマシンをどうするかの相談を始めていた。
 
 「……とりあえず、時間の余裕はできたって思ってもいいのかな」
 
 「待て待て兄貴。まだそれがちゃんと使えるかどうか決まったわけじゃねえぞ」
 
 「確かにそうですね。たまたま時間が戻っただけで、タイムマシンだというのなら時間が進んでしまう可能性もありますし、それに本当にタイムマシンなのかどうかも怪しい」
 
 「ううん……。じゃあ、どうしよう? 超さんを探しますか?」
 
 つい、と先生が私に目配せしてきた。
 明らかに付き合ってくれという目だが、あいにく私はそこまで暇じゃない。
 
 「……付き合いませんよ」
 
 「ど、どうしてですかっ!?」
 
 「どうしてもこうしても、私としましては、時間が戻ったというのならお嬢様の護衛をしようと思っていますから」
 
 この人の数だ。誰か一人でもお嬢様を狙う輩がいてもおかしくなどない。
 そう補足すると、先生は肩を落とし、カモさんはニヤリと笑った。
 
 「でも、いいのかい? もしコイツの副作用なんてのがあったら……」
 
 「それはそうですね。では、それがどういうものなのかが判ったら仮契約カードの通信で教えてください。それが嫌なら式神を渡しておきます。もし副作用があるのだとしても、それが起きるまではお嬢様の護衛はできるでしょうから」
 
 「ぐぬぬ……っ、い、いやでも、このか姉さんの目の前でぶっ倒れでもしたら……、その上それが敵の目の前だったりしただどうするってんだよ!?」
 
 「お嬢様は私ごときを心配してくださるでしょう。ですが、そうなった場合、私も腹を決める覚悟です。相討ちくらいには持ち込めるでしょう」
 
 「……はぁ、わかった。わかったよ。兄貴、こりゃ無理だぜ。俺らだけで超の野郎を探すとしよう」
 
 「そう、ですね。では、詳細が判り次第、通信で知らせますので」
 
 「よろしくお願いします」
 
 そう言って、私は彼らに背を向けた。
 この時間ならば、急げば保健室近くでお嬢様を発見することができるだろう。
 その後は、陰から、修学旅行前と同じように見守っていればいい。合流などすれば、下手をすると保健室に連れ戻されかねないし、これが一番いい選択だろう。
 ――だが、確かにカモさんの言うことが気にならないと言えば嘘だ。
 副作用は私も考えたこと。ありえない話じゃない。だけど、だからどうした。
 身体は動く。脳は考える。
 それでもう充分じゃないか。
 
 「タイムマシン、か」
 
 私が帰りたい時間は、一体いつなのだろう。
 
 
 *  *  *  *  *
 
 
 “ゆらぎ”。
 ヤツのいう“ゆらぎ”は、おそらく、時空の歪みのことだろう。
 だとすれば、生半可なことではそれは起こり得ない。強大な力同士のぶつかり合い。一番単純な方法が、一番難しいのかもしれない。
 
 だが、他の方法を考えている暇はない。
 
 手っ取り早い方法は、坊やに事情を説明して戦うこと。
 だが、それをどこでやる?
 
 ここにいる有象無象を巻き込んでもいいというのなら簡単だが、それでは坊やが本気を出さずに終わるだろう。
 ではどうやってアイツの本気を引き出す? ただ今のアイツと戦っても意味はない。時間の無駄だ。
 
 「――それにしても何人いるんだ、こりゃあ」
 
 有象無象と表現してみたはいいが、ここにいる人間一人くらい死んでも誰も気にしそうにないほどの数だ。
 声が聞こえない場所などないうえに、裏路地に入るとカップルがいちゃついている。
 人人人。気が滅入るほどの人だ。
 いつもは閑古鳥が鳴いているような店でも、この期間はどこもかしこも大忙しらしい。
 
 人通りが少なく、味も悪くないお気に入りのカフェもしばらくはお預けらしい。
 
 一度落ち着いて考えたいのだが、そうも言ってられないようだ。
 学園祭開始の宣言から早2時間。そろそろ昼だ。――が、どうにもよくない。
 
 人が多いのは仕方がないと割り切っていたのだが、どうしてまたアイツがいるのか。
 このまま殺してやってもいいのだが、どうせまた映像か何かだろう。
 
 「――やあ、ここが君の好きなカフェだと聞いて待っていたんだ」
 
 「今度はなんの用だ。“ゆらぎ”はもういいのか」
 
 黒い外套に頭から爪先まですっぽり隠した、ヤツがオープンカフェの一席に座っていた。
 わざわざ座ることもない。いつでも殺せる位置にだけ立って、要件だけを聞き出すことにする。
 
 「ああ、“ゆらぎ”に関してはとんでもないものが起きたからもう問題はない。――だが、その“ゆらぎ”の発生そのものが問題になってしまった」
 
 「あん? どういうこった」
 
 「可能性の多岐化。つまり、時間跳躍による単一個体による単一時間軸中での二元性の可能性の実現。あのアクセルという若者よりもよっぽど性質の悪いタイムトラベラーが出現したようだね」
 
 軽く一言で済ませはしたが、どうやら深刻な問題らしい。
 可能性の多元化、ということだろうか。それとは違うニュアンスを感じ取れるが、さて。
 
 「…………説明を続けろ」
 
 「では続けるよ。人が選びうる選択肢は、常に一つでしかない。それは君もよく解ってるだろう、フレデリック?」
 
 「御託はいい。いいから話せ」
 
 「そうだね、急ごう。アクセルという若者は、常に“自分のいない”歴史にしか飛ばない。バックヤードが定めた世界を壊すような能力を、バックヤード自身が与えるはずがないからね。それは身体の一部を壊すような行為だ。――つまり、だよ。人は常に選択肢を一つしか選べない。それが歴史を創り、世界を創るからだ。では例えば、地点Aに向かうか、地点Bに向かうかを選択する状況になったとする。それはその人物にとってなんでもないことだとしても、世界にとってはとても大きな選択なんだ。Aに行けば戦争は起きず、Bに行けば戦争が起きる。極端だが、そんな感じだよ。では、問おう。この人物が“同時に二つの可能性を実現できたとしたら、世界はどうなると思う”?」
 
 「――つまり、てめえが言いたいのはタイムパラドックスのことか?」
 
 「それをもっと大事にしたものだが、解釈としては大きく外れてはいないよ。アクセルという若者がしていることこそがタイムパラドックスだからね。――だけど、君も知ってるとは思うけど、常日頃からタイムパラドックスなんて起きてるんだよ。パラレルワールドという考え方だね。だが、今回はもっとひどい。多重時間軸での単一個体による多元性の可能性の実現をパラレルワールドと呼ぶのだとすれば、今回の現象はディファレント・マルチプルワールドとでも呼ぼうか」
 
 「単一個体による単一時間軸中の二元性の可能性の実現、か。なるほどな。で、その馬鹿はどこのどいつだ」
 
 「君の知っている人物だよ。名前は、ネギ・スプリングフィールドと桜咲刹那。前者は子供先生、後者はジャパンのモンスターと人間のハーフらしいね。今からなら、ネギ少年の方は急げば飛行船の発着場で捕まえられるはずだよ」
 
 「……てめえがここまでする理由はなんだ?」
 
 「そうだね。大前提として、僕の計画を潰してほしくないから。そのために世界崩壊を食い止めねばならない。まあ、本音を言えば君に死んでもらっては困るからだよ、フレデリック」
 
 「勝手に人の身体を弄り回しやがったヤツがなにをいけしゃあしゃあと……ッ」
 
 「それだ。君に死んでもらっては困るから、君の身体をGEARに変えたんだ」
 
 「ふん……、どうとでも言え。この身体にしたこと自体はそれほど根に持っちゃいねえからな」
 
 「僕を殺す力だからかい?」
 
 「それもあるが……、チッ、いけすかねえ」
 
 「……必要なことだったんだ。何もかも」
 
 「――……話はそれで終わりか? ならさっさと消えろ。あとはどうとでもする」
 
 「やり方は解るかな?」
 
 「アクセルのような特異体質でもない限り、タイムスリップなんざできるもんじゃねえ。あまりにぶっ飛んでやがるが、それを手助けするような道具か演算術式がある。そいつをぶっ壊せば文句はねえな?」
 
 「ああ、それで構わないよ。それを完了したのち、またこちらから必要なことを伝える」
 
 言って、ヤツはすぅっと影が薄れるように消えていった。
 体のいい使いッパシリってところか。
 
 飛行船の発着場、だったな。
 向かいながら状況を整理しよう。
 
 あの小僧と小娘がやったことは、『単一個体による単一時間軸中の二元性の可能性の実現』。
 つまり、同じ時間軸に複数のパラレルワールドを重ねる行為だということだろう。今がどの程度のパラレルワールドを重ねた状態であるかは解らないが、これを放っておくと、可能性の束という『世界』が飽和することになる。そんな不安定極まりない状態での行動を良しとしなかった、というところか。
 不安材料を取り除くのは定石だ。それは悪くないだろう。
 
 曰く『ディファレント・マルチプルワールド』。それが起こった原因というのが時間跳躍。
 原因の原因――。つまるところ、タイムスリップを起こした演算術式、または道具を壊せばそれ以上の可能性の重層化は防ぐことができるのだろう。それを持っているのが、小僧と小娘。
 どこからそんなものを手に入れたのかはわからないが、とにかくそれを壊すこと。
 
 最後に“ゆらぎ”の発生。
 多元的可能性を持つことになった現時間軸がごくごく不安定になったことで発生したのだと考えられる。
 それにしても、まだ“ゆらぎ”に関しては不安が残る。どこかこちらで保険をかけておいても損はないだろう。
 
 ――さて。
 飛行船の発着場についたわけだが、ここにもやはり人はいる。
 広い場所ということもあって、ある程度マシに見えるが、それでも多い。
 すれ違いなんてごめんだし、もしそうなったら見つけるのがとにかく面倒になる。
 
 と、発着場横の戦闘機展示会の方に、小さな子供が入っていくのが見えた。
 この人数の中、これほど早く見つけられたのは幸運だ。さっそく近づいて、話しをつけることにする。
 ある程度まで接近し、時間跳躍の原因捜しを始める。演算術式か、道具か。小僧が身につけているのはただのスーツらしく、その分は楽なのだが、コイツ自身がとんでもない魔力を持っているからか、捜索演算がぼやけて仕方がない。
 どれほど続けたかはわからないが、やっとのことで原因をつきとめた。
 
 懐に隠し持った道具だ。
 どんなカタチかはわからないが、えらく小型だ。
 据え置きの大型機械でなかったことには助かったが、あまりに小さすぎるとそれもまた面倒だ。
 どうするか。
 
 渡せと言って渡すなら簡単だ。
 だが、時間跳躍を可能にする道具などそうそう簡単に手放すハズもない。
 物で釣ろうにもこんなガキが何を好きかなんて知るはずもなく、見せてくれと頼むのも不自然だ。
 
 めんどくせえ……。
 こんなことなら、できるだけ懐かせておいた方がよかったか。――だとしても、柄じゃねえな。
 俺がガキの面倒を見るなんて、おそらく一生ないだろう。
 
 ――そうしてしばらく悩みつつ、いつのまにか世界樹広場まで歩いて来てしまった。
 そんな感じで現在地を確認した瞬間、弾丸が空を駆け抜けた。喧騒のせいで銃声は聞き取りづらいが、しっかりと響いている。弾丸が飛んできた方向を見ると、簡単な造りの塔があった。広場の誰かを狙う分には、あの位置はベストポイントだろう。
 
 それから弾丸を飛ばした方向を向くと、男子生徒が一人地面に倒れ伏していた。
 血が出ていないところを見ると、ゴム弾かそこらの弾丸での気絶目的の発砲ということになる。一体何が目的でそんなことをしている?
 
 今考えても仕方のないことを頭の隅へ放り、小僧の追跡を続ける。
 広場から出て行こうとした直前で、目の前に褐色肌の女が割って入って来た。
 巧く臭いを消しているが、こいつも混ざり者か。
 それに手元の荷物を見る限り、狙撃手はこの女のようだ。
 
 「私のクラスの担任になにか御用かい?」
 
 「あ? あいつは確か――」
 
 あの小僧のクラスの副担任をしていたアクセルが「相手は中学生」だと言っていたから、あの小僧が受け持っているクラスというのも、ほぼ間違いなく中学生なのだろうが……。今目の前の女はなんと言った?
 
 「中学の教師だと聞いていたが……ダブってるのか、お前」
 
 「失礼だな。私は正真正銘中学生さ。それに、日本では中学での留年はまずないよ。引きこもりのギークだって自然と学年は進むからね」
 
 「……そんな話か。どけ、俺はあの小僧に用がある」
 
 「へえ。まあ、仕事内容には入ってないから別にあなたの邪魔をしようとは思わないけど、気になるんだ、個人的にあなたのことが」
 
 「つまらん。どけ。怪我するぞ」
 
 「それは勘弁願いたい」
 
 女は素直に道を開けた。
 どこか油断ならないと警戒しながら歩き始めると、女は俺とすれ違うよりも早く、大声を出した。
 
 「ネギ先生。先生もパトロールかな?」
 
 「えっ?」
 
 野郎……。
 にらむと、飄々とした態度でこちらに微笑みかけてきた。
 小僧の方は俺と女を交互に見ながら固まってしまった。クソッタレ。これだからガキは嫌いなんだ。
 
 「あなたは……」
 
 「チッ。おい、どうしてくれやがる」
 
 「なんだ、先生に用事があったんじゃないのかい? それはすまないことをしたね」
 
 「殺すぞ、てめえ」
 
 小僧は明らかにこちらに対して警戒をし始めた。
 ――ああ、くそ。めんどくせえな。
 
 「……ちょうどいい、かも。あの、訊きたいことがあるんです」
 
 「あ? 俺にか?」
 
 「はい」
 
 警戒はしたままだが、小僧はなぜか近くへ寄って来た。
 
 「あなたが強くなる理由って、なんですか?」
 
 「あ?」
 
 「そこまで強くなって、何が見えたんですか?」
 
 「……これだけは言っておくぞ。人並みの強さで満足しろ。お前は今のままで充分だ」
 
 「なんですか、それ」
 
 それはなんだ、と問われても同じ答えしか俺の口からは出ない。
 それを無言で伝えると、小僧はうな垂れて「そうですか」と一言こぼすだけだった。
 が、次の瞬間、反抗的な目と言葉で返してきた。
 
 「あなたのその忠告には従えません。僕はもっと強くならなくちゃいけないんです。みんなを守れるくらいに、もっとずっと、強く」
 
 「ふん。好きにしろ」
 
 時間跳躍の道具を壊すには、もう少し違う方法を考えた方がよさそうだ。
 小僧と女に背を向けるて、その場から離れて行く。
 しばらく歩いたあと、その背中の方から声がかかった。
 
 振り向くと、立っていたのは女の方だった。
 
 「面白い情報を教えてあげようと思って追いかけてきたんだよ」
 
 そう言って、女が差し出してきたのは一枚のチラシだった。
 日本語で書かれている。絵面だけ見ると、どうやら武道大会か何かのようだが……。
 ――こういった大会にはいい思い出がない。できれば話しを聞かずにそのまま去ってしまいたかったが、そうもいかないらしい。
 
 根拠はない。
 ただ、女の表情がやけに挑戦的だったのだ。
 
 「これ、安い武道大会なんだけど……、近いうちに面白いことになるよ。あなた、学園長お抱えの仕事人なんだろ? どうもそんな風には見えないんだ。ムシャクシャしてたりしたら、ストレス発散にでもしにおいでよ」
 
 「……気が向けばな」
 
 あのジジイに関しては、最近はほとんど交流を図っていない。
 向こうからも連絡は寄越す様子がない。自由にしろ、というわけでもないだろうが、何を企んでいるのか。
 まあ、こちらの扱いが面倒になったと見るのもアリだろうが……。
 
 さておき、この武道大会は使えるかもしれない。
 今の坊やは血の気が多いだろうから、少しからかったらすぐに乗ってくるだろう。
 だが、坊や一人というのは荷が重いか。保険としては、アクセルあたりも呼べばいいのだろうが、しばらく顔を見せていない。またタイムトラベルでもしたか?
 他にやりあえそうなヤツといえば、あのガキの姿をしたババアとタカミチ、だったか。呼ぶのも面倒だな。
 
 あまり理論的ではないが、自然と集まるときは集まってくる。あの選考武道会と同じように。
 まあ、この世界の強さを見る分には、いい機会なのかもしれないが。
 
 「――選考、か」
 
 アイツはあの小僧のことを『時間跳躍による単一個体による単一時間軸中での二元性の可能性の実現』と呼んだ。
 同時間軸上に複数のパラレルワールドを重ね、本来一つの可能性しか発現できないものを複数発現可能にした存在。
 それを可能にしているのは、小僧が持っている小型の道具。
 
 そして、この存在のせいで次元が不安定になり、結果として“ゆらぎ”にまで発展した。
 だが、その代償として、不安定な次元のままではアイツが考える作戦を、実行に移すだけの安全が確保できない。
 なので、時間跳躍の原因たるものを破壊する。すなわち、小僧の持つ小型の道具だ。
 
 さて、さきほど会った小僧は“何人目の小僧”だ?
 
 アイツの口ぶりからして、時間跳躍が最初に起こったのはつい先ほどということになる。
 より正確に言えば、『これから』と『つい先ほど』の二回同時発動なのだろうが。
 
 最低、あの小僧は二人目だということになる。
 
 「選考……」
 
 新しいヤツから殺していく、というのもあるいは一つの手だろう。
 だが、どうやって新しいかどうかを確認する? 却下。
 
 では、新しいヤツから道具を奪う。それでこれ以上の被害拡大はなくなる。
 だが、以前のヤツらが使えば……。堂々巡りだ。却下。
 
 「……なんだ、簡単じゃねえか」
 
 アイツはわざわざヒントを言っていた。
 『君も知ってるとは思うけど、常日頃からタイムパラドックスなんて起きてるんだよ』と。
 そう、これから起きるのはただのタイムパラドックス。
 
 常日頃から起こりうる、なんでもない、ただのタイムパラドックスなのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

スイートプリキュアが個人的に激熱。

ども、草之です。
 
まあ、タイトルに関しては後々触れるとしまして、改めましてあけましておめでとうございます。
前回の日記でも「あけましておめでとうございます」とタイトルでばっちり言っちゃってますが、おめでとうございます。
 
 
後々と言いながら、考えてみれば話すことなんてなかったので話題をタイトルの方へ。
 
さて、2月6日から始まるというプリキュア第八作目。
『スイートプリキュア』
どうやらタイトルからも想像出来る通り、音楽関連のストーリーとのこと。
相方の方のキャラ説明とか見てると、「スウィート/sweet」ともかけられている様子?
 
まあ、そんなことはどうでもいい。
どうでもよくはないですが、個人的に注目すべきはそこじゃあない。
まあ、最近まで公式のサイト見てなかったから本当に最近知ったことなんですけどね(笑)
 
主人公その一。
キュアメロディこと北条響。
スポーツ少女で食べることが大好き(特に甘いもの)と書かれている。
 
 
声優:小清水亜美
 
 
 
……ん?
 
 
 
声優:小清水亜美
 
 
声優:小清水亜美
 
 
声優:小清水亜美
 
いやっほおおおおおおおおおおおおおおおおう!!
あみっけktkr!! YATTA! YATTA!
 
これはもう、ね。DVDまで買い集めるレベルじゃないですか?
ガッツポーズをとりましたからね。なんか無性にうれしくなってガッツポーズとりましたからね。
 
 
それはともかく、公式サイトのストーリー紹介になるのかな。
あらすじ的な。
 
「絶対に許せない!」はもう、狙ってるとしか思えない。
もう許してやってよ……。
 
 
 
 
ということが言いたかっただけです。
あと、キャラデザの人がまた変わったみたいですね。
サンライズっぽいデザインになったと思う。
サンライズといえばあみっけじゃないかな。たぶん。
 
 
今回は拍手レスはなしです。
では以上、草之でした。
 
 
 
 

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その優しい星で…  Navi:44

 
 いわく。
 アリシアさんは灯里先輩のことを叱ったことがないらしい。
 それどころか、怒ったところも見た記憶がないという。
 
 それを聞いた藍華先輩は「アリシアさんなら仕方ない」みたいな感じで、自らを言い聞かせるように、もしくはそう思い込まないといけないといった、ある種の信仰心を遺憾なく発揮していた。そして出たのが「ミスター・パーフェクト」という性別無視の特大ファールだったのですが。――灯里先輩に突っ込まれてましたし。
 
 ただの一度も怒ったり叱らない。
 そんな完璧な人間が本当にいるのでしょうか、と自問自答をした瞬間。
 
 「あ、でも拗ねてるところはよく見るかな」
 
 ごちそうさまです。
 
 
 ――とにもかくにも、そんなことはでっかいありえません。
 アリシアさんだって一人の人間。人知れずイライラしたり、ピリピリする時が絶対にあるはず。
 ましてや灯里先輩のことを本当に大事に思っているのなら、叱るべきときはきちんと叱って指導するはずです。
 
 そう最初は思っていた。
 
 あれから数日、アリシアさんのことをじっと見てはいるけれど、怒るどころか常にニコニコと楽しそうに過ごしている。
 確かに、灯里先輩の言う通り、ときたま士郎さんに対して拗ねるような態度を取っているときはあるけれど、怒ったり叱ったりということは一度もなかった。
 
 やっぱり、アリシアさんは怒ったり叱ったりなんてしないのだろうか。
 そう思っていた矢先のことだった。
 ――ガシャーン!
 
 「はひーっ、どどどどどどうしようっ」
 
 「大丈夫ですか?」
 
 「んもー、何やってるのよ」
 
 「これ……、アリシアさんの一番お気に入りのマグ……」
 
 「ええっ!」
 
 「しかも、士郎さんからのプレゼント……」
 
 「ええーっ!?」
 
 「あらあら、何の音?」
 
 「ぎゃーす!」
 
 マグの割れる音を聞いて、アリシアさんが近寄って来た。
 まるで油の切れた機械のような擬音が聞こえそうなほど、ゆっくりと灯里先輩がアリシアさんの方を向く。
 いつも通りの笑顔を浮かべるアリシアさんに、目に涙をためながら顔をひきつらせる灯里先輩。
 あまりに対照的な二人の時間は、灯里先輩の告白であっという間に終わった。
 
 「ごめんなさい。私の不注意で……」
 
 怒られたら怖いと思う心の隅で、「さあ、怒って見せてください」と期待をしてしまった自分が愚かしい。
 しかし、アリシアさんは無言で見るも無残に砕けてしまったマグカップの前に屈みこんで、割れた一欠片をつまみながら、苦笑いを浮かべてこう言った。
 
 「よかった。みんな怪我はしてないみたいね」
 
 「本当にすいませんでしたっ!」
 
 灯里先輩はいよいよ泣きだして、ふるふるふるえる手で欠片をつまんではアリシアさんに渡している。
 藍華先輩も片付けるのを手伝い始め、私もじっとしているわけにもいかず、箒を手に手伝い始めた。
 
 ――でっかい、叱りませんね。
 
 安心と期待外れと、そしてやっぱりそんなことを思ってしまう自分がどことなく恥ずかしい。
 と。
 
 「ぷいにゅー!」
 
 割れてしまったマグカップもほとんど拾い終わったというところで、一階からアリア社長の叫び声が聞こえた。
 あまりにも切羽詰まった声だったので、みんなで作業を中断して見に行くと、灯里先輩がいつもつかっているゴンドラが沖に流されてしまっていた。
 
 「大丈夫、私が行くわ」
 
 アリシアさんはそう言うなり、素早くゴンドラに乗り込み、難なく流されたゴンドラを引いて帰って来た。
 灯里先輩は「しっかりと結んだはずなのに」と小さくこぼし、アリシアさんは聞くが早いか、繋げていた縄を手にとって見始めた。
 
 「どうやら、鋭い金属片か何かがぶつかって、係留ロープが切れちゃったみたいね。すぐに気付いて本当によかったわ」
 
 「ありがとうございます、アリア社長! えらい子よい子ですっ」
 
 「にゅ」
 
 ロープをしっかりと結び直し、アリシアさんは何事もなかったかのように立ち上がる。
 まるで、今会社に帰って来たような調子で「みんなでお茶にしましょう」と声をかけ、とんとんと階段をのぼっていく。
 
 一連の事件が終わると、ふふん、と藍華先輩がなぜか自慢げに胸を張る。
 
 「さっすがアリシアさん。これが晃さんだったら、絶対早とちりして『お前の結び方がなっとらーん!』って怒ってたわ」
 
 「はい。冷静沈着な対応でしたね」
 
 今回は事故だったようだけど、もしこれが灯里先輩のミスだったら、さすがに叱っていたはず。
 叱っていたはず――ですよね?
 
 
 *  *  *  *  *
 
 晩冬の空。肌寒さは拭えないけれど、建物に囲まれて見るそれはどこかあたたかいと感じられる。
 
 風は日に日にあたたかさを増していき、やがてその風は花びらを舞わせる。
 そう考えると、今のこの冷たい風も、私たちに来年までさよならを言ってくれているようで愛らしい。
 
 「今日のいい天気ですね、社長」
 
 「にゅっ」
 
 仕事の合間、ちょうど小腹も空いてきたところで寄ったカフェはちょうど人がいない時間帯なのか、私と社長の他にはご婦人が一人と親子が二組。店内のウェイターさんとウェイトレスさんも少し退屈そうだ。
 私も、どうせこの時間はまったりするしかないわけだし、この雰囲気を楽しむとしよう。
 
 と、思ったところに見知った若草色の髪をした女の子――アリスちゃんが席に座り、パフェを頼んでいた。
 そういえば、このごろアリスちゃんは、特にみんなといるときに私のことをじっと見ているけれど、何か聞きたいこととかあるのかしら。そう考えると、今の状況はとってもいい感じかもしれない。
 
 アリスちゃんの前にパフェが運ばれてきて、スプーンで一口すくいとり、口に運んだところで、彼女はやっと私のことに気がついてくれた。なぜかビクリと身体を強張らせたけれど、なにか怖がらせるようなことしたかしら。
 ――ともかく、こちらからも手を振って合図をする。
 
 社長を抱いて席を立って、アリスちゃんの関の前まで近づいて行く。
 
 「奇遇ね。今、学校帰り?」
 
 「は、はいっ」
 
 そういえば、地理的にはここはちょうどオレンジぷらねっとと学校の間にあたるのか。
 
 「ご一緒してもいいかしら」
 
 「どっ、どうぞ」
 
 それにしても、やけに緊張しているなあ。
 こっちまでつられて緊張する前に切り出した方がいいかしら……。
 紅茶を飲みながらそんなことをぼんやりと考えていると、アリア社長が私の袖を軽く引っ張った。
 なんだろう、と思って視線を向けると、アリスちゃんのスペシャルパフェを食べたそうに眺めていた。
 
 ウェイターさんを呼んで、同じものをください、と注文する。
 声を出したついでだ。思い切って話しかけてみるとしましょうか。
 
 「ねえ、アリスちゃん」
 
 「はっ、はい」
 
 「もしかして私達、二人っきりって初めてかしら?」
 
 「えっ? あ、はい。そういえば……」
 
 「ずっと前から知り合っているのに、なんだか不思議よね」
 
 「ですね」
 
 うん。
 やっぱり、二人っきりっていう状況にアリスちゃんも緊張していた様子。
 私から話しかけたら、見て判るくらいにほっとして、緊張を解いてくれたみたいだ。
 さて、と。じゃあ、本題にいっても大丈夫かな。
 
 「で、アリスちゃん。私に何か聞きたいことある?」
 
 そう、私が聞いた途端に彼女は固まってしまった。
 スプーンの上にのった、おいしそうなクリームが器と口の真ん中あたりで止まってしまっている。
 ――もしかして、二人っきりっていう状況に緊張してたわけじゃないのかしら。
 
 「なななな何の話ですか?」
 
 「うふふ。最近ずっと私のこと見ていたでしょ? すごく熱い視線だったから、ドキドキしちゃった。今なら二人っきりだから、遠慮なくどーぞ」
 
 とは言ってみたものの、アリスちゃんは“聞きたいこと”を聞くことにまだ戸惑いがある様子だ。
 聞きにくいこと……。ということは、ウンディーネ関連のことじゃないのは確かかしら。
 そこまで踏み込んで聞かれるようなことも、身に覚えはないのだけれど。
 
 もしかして、恋愛関係?
 うぅん。とするとあんまりいいアドバイスとかはできそうになさそうだなあ。
 た、確かに私には士郎さんという恋人がいるわけだけど、士郎さんがそういう関係になる初めての人だから、人に相談されるほどの経験があるわけでもないのだけれど……。
 とは考えてみたものの、アリスちゃんの態度を見ていると、どうやらそういうことを聞きたいわけでもないらしい。
 
 アリア社長のために注文したスペシャルパフェが届いて、社長が食べ始めるのとほとんど同時に、彼女は口を開いた。
 
 「アリシアさんは、どうして叱らないんですか?」
 
 ――。
 
 「灯里先輩が言ってました。アリシアさんが怒ったトコを一度も見たことがないって。……どんなに深刻なミスを後輩がしても、叱らないんですか? それって、冷たいんじゃないんですか?」
 
 世の中には、『怒られる内が華』という言葉さえある。
 アリスちゃんが言っていることは、確かに一理あることだと私も思う。
 ――思うだけだけど、ね。
 
 ……んー。
 さて、どうすれば説明できるだろうか。
 いや、そもそもこれは説明するようなことなのだろうか。
 
 そういえば、ポケットの中に飴玉を入れていたかな。
 
 それをひとつ取り出し、アリスちゃんに微笑みかけてから、パフェを食べ終わった社長に渡す。
 
 「すみません、アリア社長」
 
 「にゅ?」
 
 「あすこの小さい女の子に、これ、あげてきてくれますか?」
 
 「ぷいにゅっ」
 
 「あの……アリシアさん?」
 
 「うふふ」
 
 アリア社長は寄り道を繰り返し、まるでアスレチックで遊ぶようにカフェを駆け巡り、やっとのことで女の子に飴玉を渡してくれた。帰りは、行きでできなかったこと、試したいと思ったことを存分にやり遂げてからの到着。
 飴玉をもらった女の子はといえば、楽しそうにアリア社長のことを眺めている。
 
 やっと帰って来たアリア社長は、寄り道のことなんか気にせずとても誇らしげで、それに私もつられるようにとてもうれしくて、たまらなくて。
 
 「アリア社長っ、すごいじゃないですか! おつかい大成功ですね。あの子もとても喜んでいますよ」
 
 続けて、同じようにポケットから飴玉を取り出してアリア社長に渡す。
 
 「じゃあ今度は隣のテーブルの男の子にお願いします」
 
 「ぷいにゅ!」
 
 社長は私の言葉に頷くと、一目散に男の子のところへ駆けて行った。
 さっきまでの寄り道が嘘のように、あっというまにおつかいを終えて帰って来た。
 
 「すごいすごいっ。さっきより全然早いです!」
 
 「にゅ! にゅ!」
 
 静かに覗きこんでくるアリスちゃんに視線を戻しながら、「どうかしら?」と少しの期待を込めて彼女のことを見上げてみると、戸惑いながら返事を返してくれた。
 
 「お届け物、成功しましたね……。でも、一回目は時間がかかりましたよね。なんで途中、寄り道や違う所に行ったときに間違いを教えてあげなかったんですか?」
 
 やっぱり、こういうのはちゃんと説明しないと普通はわからないわよね。
 抱えていたアリア社長を降ろして立ち上がる。ずっと座っていたこともあって、少し伸びをして身体をほぐす。
 
 「うん。多分ね、『違う、違う』と叱り続けていたら、アリア社長は間違えるのがだんだん怖くなって、最後には身動きできなくなっちゃうと思ったの」
 
 アリア社長は誇らしげにくるくると私の周りを走り回っている。
 それに合わせて、私の視線は社長を追いかけて、すっと手を差し伸べた。
 
 「もし社長と一緒にスイカ割りをするなら、『そっちじゃない、そっちじゃない』ではなく、『こっちこっち』と声をかけ続けるわ」
 
 私の手を取った社長に合わせて、私自身もくるくる回る。
 
 「――それが私のやり方」
 
 いつものことだけど、こうして自分のことを話すというのは結構恥ずかしい。
 それでも話してしまうのは、きっと私を理解してほしいからなのだと思う。話して、話されて、話したくないことがあったら、無理して話してくれなくてもいい。話してもいいと思ってくれる日がくるなら、待っていてあげるのもきっとありだと思うから。
 
 それはともかく、どうして怒らないか、叱らないか、か。
 初めはどうだったのか忘れてしまったけど、気が付いたら私はそういう風に生きていた。
 知らないうちになっていたことは、きっと意識して治すことは難しい。
 
 だったらそれでいいじゃないか。
 
 私は私で、いいじゃないか。
 そう、思うのだ。
 
 「……でももし、いつまでも失敗し続けたらどうするんですか?」
 
 「うん」
 
 カフェの支払いを済ませ、アリスちゃんの帰り道に付き合っていたところ、彼女からそんな問いが出てきた。
 そうだろう。きっと、具体的に「こうだよ」と教えてあげないとできないこともきっとある。私がやっていることは、相手のこと、灯里ちゃんや藍華ちゃん、そしてアリスちゃんたちを信じて待つだけの、責任の押し付けとも見える行動だから。
 だけどそれでも、私は信じて待つことをやめないだろう。どんなにできないと泣くことがあっても、私はずっと彼女たちを信じ続けるだろう。
 
 もちろん願い続けても叶わない夢もある。
 でも、見続けるのが夢なのだ。
 諦めたら、夢はもう見れなくなってしまう。
 
 「その時は私も一緒に、自分自身の勉強不足を大いに反省するわ」
 
 「え?」
 
 それでも、夢を諦めることや泣き続けることはいっぱいある。
 私だって、その一人だ。もしいつまでも失敗し続けるようなことがあれば、それは私のせいでもある。
 責任を押し付けて、それでいて何もせずにおしまいなどにはしたくはない。
 どうやって導けばよかったのか。どうやって声をかけてあげればよかったのか。
 
 「だって、私も不完全な一人の人間だもの」
 
 裏を返せば、それは私の強がりでもある。
 強がっていないといけないということでもある。
 
 「先輩として、後輩を指導する時に、どうしても上手くいかないことも起きる」
 
 夢に導く人が、笑顔にする人が。
 
 「そんな時、つくづく思うの。ああ、教えることと教わることって、実はとっても似ているんだなって」
 
 夢を信じ続けなくて、笑顔のままでいなくて、いったいどうするというのだ。
 私は後輩たちの前では“パーフェクト”でいなければならない。パーフェクトであろうと努力しなきゃならない。
 大きな壁の一枚として、背を押す幸運の追い風として。
 
 私は私で、いなきゃいけない。
 
 そして、それは――
 
 「だったら、私にできることは、灯里ちゃんと一心同体になって、たんと挑戦して、たんと失敗すること」
 
 そう。
 挑戦すること、失敗すること。
 成長するのは後輩だけじゃないってこと。
 
 未熟な後輩は、いつか立派なウンディーネに。
 完璧で在り続ける先輩は、もっともっと素敵で完璧なウンディーネに。
 
 二人で成長していくということ。
 
 「そして最後の最後は一緒に、たんと喜びをわかちあいたいの」
 
 「――あの、でっかい蛇足的な質問なんですが」
 
 「あらあら。なにかしら」
 
 「それは、士郎さんにも同じなんですか?」
 
 「……そうね、ええ、違うと思うわ。士郎さんとは本気で喧嘩なんてしたことないし、彼も私のことを本気で叱ろうとしたことなんてないんじゃないかしら。……その意味では、アイナさんはちょっとうらやましいかもね」
 
 「……ごちそうさまです」
 
 「あらあら、うふふ」
 
 その通りだ。
 私たちはお互いに怒ったり叱ったりしたことはない。
 だから、きっとそのぶんお互いを理解するのに時間がかかる。かかったんじゃなくて、時間がかかる。
 
 私自身も、まさかこんなに嫉妬深い人間だなんて思ってなかったから、それを考えただけで私も、きっと士郎さんもまだまだ時間はかかると思う。
 若輩者の言うことだけれども、それがいいのだと思う。
 時間をかけて、一緒に歩いて、いつか手を繋いで、最後に笑いあえたらそれでいい。
 
 この人と出逢えてよかったと思えたら、きっと何よりも幸せなはずだから。
 
 でも、私も士郎さんも、その感情を抱くにはまだまだ早い。
 
 「――アリシアさん、なんだかでっかい嬉しそうですね」
 
 「え? あ、あらあら。ごめんなさいね、なんだかすっかり耽っちゃって」
 
 「いえ、その顔を見てたら、アリシアさんが言ってたことなんとなくわかった気がしましたから」
 
 さすがにもうお腹いっぱいですけどね、と彼女は笑う。
 そっか。なんとなく、わかってくれたのね。
 
 ――願わくは。
 
 「アリシアさーん、アリスちゃーん」
 
 「あらあら、今日は奇遇続きね」
 
 橋の向こう側に、手を振って私たちを呼ぶ灯里ちゃんの姿があった。
 まさか話題に出ていた本人が現れるなんて、ほんとに奇遇。噂をすれば、というものかしら。
 
 「アリスちゃん。今のお話は内緒ね」
 
 「どうしてですか?」
 
 「……だって、恥ずかしいじゃない」
 
 「…………。内緒にする意味はないと思います」
 
 「え?」
 
 「私だってなんとなくわかっちゃうくらいですからね。きっと、灯里先輩もアリシアさんと同じ想いです。お二人は、見てるこっちが恥ずかしくなるくらい、一心同体ですから」
 
 願わくは、なんて。
 言う必要もなかったのかしらね。
 
 「すいませんっ、叱ってください」
 
 慌てた様子でアリスちゃんは私のあとをついてくる。
 けれど、彼女のどこを叱ればいいのか私にはまったく見当がつかない。
 嬉し恥ずかしな、くすぐったい感情。
 
 「あらあら」
 
 ――願わくは。
 この日が長く続きますように。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                Navi:44   end
 
 
 
 
 

テーマ:自作小説(二次創作) - ジャンル:小説・文学

すいませんでした。

 
 まずは、今回の『その優しい星で…』のコメント欄(ザッキー様への返信)に暴言を書きこんでしまい、すいませんでした。どんな事情があるにせよ、あそこで我慢できずに暴言を書いてしまったのは、明らかに私の責任です。
 
 ザッキー様以外の方からの忠言をいただいてしまいましたので、こちらとしてもさすがにこれ以上放っておくわけにもいかなくなり、この記事を書いています。
 
 ただ、こちらとしても一方的に悪いとは思っていません。
 あくまで、コメントを受け取る側としての対応が不適切だったことに対する謝罪です。
 
 名指しになってしまいますが、ザッキー様。
 私が暴言を書き込むようなことに心当たりがないかどうか、今一度考えてくれればと思います。
 もし、個人的に言いたい事があるのであれば、メールフォームからのご連絡をお待ちしております。
 
 
 今後このようなことがないよう、私自身に自制を掛け、理性を持って日記やコメント返信に努めていきたいと思います。
 
 このような場ですが、今後とも『歯車屋敷』をよろしくお願いします。
 
 

心機一転。

と、いうことで改めましてこれからもよろしくお願いします。
草之です。
 
いろいろと精神的に拙いところを見せてしまいましたが、そちらの方もこれから頑張って育てていきたいです。
 
 
 
というところで、ちょっと脱線。
去年の11月に発売されていたゲームで、ちょっと気になっていたけど結局買わなかったゲームをつい最近買ったんです。
店頭PVとか見ててもどうにも地雷臭しかしなかったので結局はスルーしてたんですよ。
 
で、買ったゲームというのが……
『クリミナルガールズ』です。
少女おしおきRPGという、ムスメ調合RPGと同じくらいわけのわからんジャンルを立てていたこの作品ですが。
と、いうよりもあの3がC判定だったのに、このゲームD判定ってどういうことなの……。
 
で、まあいざやってみるとランが可愛くて生き返るのが楽しみ状態でした。
時給3000円は伊達じゃねえ!ってもんですよ。
 
そんな感じで、パーティ内も気分屋だらけでだらだらーっとこの馬鹿っぽい(いい意味で)空気が続いてめでたしめでたしのキャラゲーか……、と思っていたら違う意味で地雷を踏んだ。
 
とある場面で物語の雰囲気が一変。
今までのコメディチックな雰囲気から一気にシリアス方面へ。
某AA状態。何を言ってるかわからねーと思うが、俺も(ry
 
戦闘バランスも良好。好み(浪漫)で編成しても、それがガチ編成になるほどバランスの取れたキャラステ。
それでもやっぱり、パーティのメイン盾であるランがいるかいないかで難易度はダンチ。これの縛りプレイをするとなると、ランを戦闘パーティに入れるかどうかになると思われる。つっても、ラン抜きだとレベルを上げて攻略するしかないんじゃないだろうか。
 
ということで、まとめ。
◆ランかわいいよラン
◆ランはパーティのメイン盾
◆行き(物語前半)はよいよい、帰り(物語後半)はこわい
◆さわさわ指導は鬼畜
 
 
 
 
語ることも語りましたので、また次回。
以下、拍手レスです。
 
草之でした。
 
 

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『優星』の完結目指してラストスパート中。
 
現在は主に一次創作を書いて活動中。
過去作を供養する意味もあって、いい発表の場はないものかとネットをさまよっている。

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